地獄からの6枚

血の池地獄


山地獄

気がつけば2月28日。

このまま行くと、今月はブログの更新がないまま1ヶ月が終わってしまう。

書きたいことは山ほどあるし、下書きのまま眠っている記事もいくつかあるが、貯まっている仕事を優先させると、上の懸念が現実になってしまうので、せめてそうならないように写真中心の短めな記事を投稿したい。

私が大事にしていることの1つに「人とは違った視点」がある。


世の中の見飽きたこと、聞き飽きたこと、いいつくされたことも、ちょっと違った視点を向けるだけでぜんぜん違ったものに変わってくる。

今回、別府の地獄巡りで、自分自身で、それをどれだけカタチに出来るものなのか、iPhoneを使って自分自身を試してみた。

お馴染みの地獄で、どれだけ地獄らしからぬ写真が撮れるか。
「そんなの、蒸気が上がっていないところを撮れば簡単!」なので、
ついでに、どれだけ目が当てられる写真に仕上がっているかも課題とした、皆さんの厳しい採点はいかがだろう。
実際には、これ以外にももう少し撮っているが、ここではそこから6点だけピックアップしてとりあげる。


投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2011年02月28日 | Permalink

ソーシャルメディアの「磁場」を考える

Broken Window

朝4時頃に書いていたため、前の記事で割愛してしまった部分を改めて別記事で書くことにした。

前の記事を書いた後、 .@otoko_ebiharaからもらった意見を聞いているウチに、むしろ、そっちを書くことが重要だったかも知れないと思えてきたからだ(あのMacPeople誌の連載「漢・エビハラ」の人です)。

前の記事は、もの凄くかいつまんで言うと、

ミュージシャンの方々がUstreamでは配信しても、ニコニコ動画で配信しないことを受けて、「場」の持つ雰囲気というモノがあり、そこの水が合うクラスター(人々の集合)もあれば合わないクラスターもある。

 人によって趣味趣向や価値観は違うのだ、という話だ。

nobi.com: 無視できない、「場」の持つ力

 ものすごくおおざっぱな例をあげれば、ヨーロピアン家具のイベントのスポンサーにシャンパンやワインのメーカーは合うし、奇をてらえば厳選した日本酒もありだけれど、焼酎だと(少なくとも今は)なんかちょっと違うといった感じか。

 もっとも、最終的にどのメディアを選択するかは、情報の発信者が選べばいいわけで、ニコニコ動画が好きなミュージシャンもいるだろうから、そういう人はUstreamでなくニコニコ動画で発信してもそれはそのアーティストの自由だし、両方で発信して視聴者数を稼ぐという手もあるだろう。

 さて、こうした「場」(あるいは @bleupasta の言うようにブランドの問題なのかも知れません。)の力をつくる要素はいくつかあります。

 見た目も重要な要素なら、機能や使い勝手も重要な要素だ。

 実はつくった人が持つカルチャーや交友関係も重要な要素だ。

 これらによって初期ユーザーによる空気感(文化あるいはオーラ)が生まれる。

 

 この初期ユーザー(種ユーザー)によってつくられる「磁場」は、

 あるクラスターに対しては「引力」を持ちユーザーを増やすことに貢献してくれるが、

 別のクラスターに対しては「斥力」を持ち、そのクラスターのユーザーを遠ざけることもある。

 

 ここで「磁場」の話を掘り下げて、いよいよ、明日から公開の映画「ソーシャルネットワーク」の題材になっているFacebookの話をしよう。

(ちなみに映画の方は先月、試写で観させてもらった。賛否両論はわかれるが、今の世界を知るために観ておいて損はない映画だと思う。音楽も素晴らしい!観ている人のバックグラウンドによって反応がまったく異なるのがある意味、面白かった)。

 

 さて、facebookといえば最初、ハーバード大学の学生しか入れない、アイビーリーグの大学の学生しか入れない、といったプレミアム感、プレステージ感が強力な「磁場」をつくり、世界から6億人を集めるサービスに育っていった。

 今や失敗と言われるGoogle社のソーシャルネットワーク、Orkutも、最初の頃、Tim O'ReillyやMitch KaporといったIT業界のスーパーヒーローらが愛用しているサービスということで強力な磁場を放ち、その後、日本でも外資系企業の人達や、海外も視野に入れたアントレプレナー、帰国子女といったインターナショナル系コミュニティーを引き寄せていった。ただ、その後、ブラジル人のコミュニティーが急拡大し、そちらの磁場が急速に強まると、以前の利用者の磁場は急速に薄まっていった。

 ちょうど、そんな頃に間口を大きく広げたfacebookのプレステージな磁場が、そっくりそのままOrkutの初期ユーザー層を吸い込んでいった、というのが私の印象だ(ただし、今、facebookは慣性の法則で利用者は増え続けていても、磁場はかなり弱まっているのでリフレッシュの必要がある印象もある)。


投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2011年01月14日 | Permalink

シンプルを突き詰めることの強さ

アップル社が「App Store」を商標登録しようとしていることを受け、マイクロソフト社が「アプリケーションを扱う小売店のサービスを表す総称であり、商標登録できない」意義を申し立てている。

ITmedia: Appleが「app store」の商標申請 Microsoftが異議

Applicationを売るサービスということでApplication Store、ただ、これだと長すぎていいづらいので「App Store」ーー本質に一切、余計なモノを混ぜず、人々が口にしやすくそぎ落としたその名前にアップルの工業デザインに通じる何かを感じた。

余計なものをそぎ落とし、モノの本質に迫った究極にシンプルな形には、
競合他社を「追従者」という立場に追いやってしまう「力」がある。

例えばiPhoneのデザインを例に取ろう。
アップルが、本質をつきつめ、余計なモノをそぎ落としiPhoneをデザインしてしまったことで、
それに追従する現行Android製品の大半は「余計なボタンが付け加わったiPhone 3G/3GS」にしか見えなくなってしまっている。

キーボードを加えた製品でこそ、なんとか独自性を保てているが、他の端末の多くは、そもそも自分たちのカタチを追求する努力すら放棄してしまっているのではないか、と感じさせる製品も多い(それを通り越して、iPhoneと誤解して買ってくれるのを期待しているのだとすれば、ある意味、それは凄い)。
 なお、見た目のカタチだけの点で言えばソニーはさすがで、自分たちのカタチを確立しようとしている印象がある(本体の上に電源アダプターを指す仕様で妥協してしまった点や性能バランスで見ると、個人的に受け入れがたいが)。


投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2011年01月13日 | Permalink

02011:the Revolution Goes On


多様な分野でバラバラに、同時多発的に起きた「変化」ではあるが、 これらの多くにはいくつか共通項があると思っている。

1.既存組織の枠組みを超えたところにイノベーションが生まれている

20世紀後半に効率化のためにつくられた組織構造は、いつの間にかイノベーションを阻み始めていた。優秀な人材が能力を発揮できない組織。異なる部署の多様な視点で揉んでこそアイディアがブラシュアップされるはずなのに、お互い相手の領域には口出しをしないことで「あんなの売れるわけない」とお互い思いながらそれを口にしない会議。 自分の仕事の領域ではないからと、救える人を救わなかったり。

2.小さく始める

今は景気が悪いこともあり電子出版にしても、飲食店の改革にしても、 多額の投資をして、いきなり最初から理想の形を完成させるような真似は出来ない。 だから、まずはできるところから、出来る限り少人数で堅実に改革を始めている。 これはいいことだ。 こうした改革の多くには、経済的な障壁だけでなく、 著作権や放送 vs 通信のような法的な壁もあるし、 消費者の側の受け入れ体制の問題もある。 いきなり、最初から全部やってしまうのではなく、 まずは一番、大事なところは何かを見極めて、できる範囲から少しずつやっていくことが大事だ。

3.フィードバックに習っての改善を重視

 頭がいい人ばかり十人集めてアイディア出しをしても、それは所詮、十人のアイディアでしかない。それよりもCrowdsourcingの方が、正しい応えに到達しやすいことは、いくつかの本で科学的にも証明されている。  同様に出した商品をどうしたら、よりよくできるかにしても、実際に、商品を手にして使っているユーザーの方がよく知っている。  ソフトウェアが主体になり、すべてがネットにつながりつつある今日の世の中では、商品がどのように使われたか(誰が使ったのか、どれくらいの時間使ったのか、どれくらいの頻度で使ったのか、何時頃に使ったのかなどなど)を集めやすい。  時折、改変を加えて、パラメーターにどのような影響ができるかも調べやすい。

4.既存の枠組みを超えた人材集め

今、一番、存亡の危機を迎えているのは、 履歴書の学歴や職歴だけで人材を見極める人事部の人間だろう。 今ではネット系に限らず、多くの分野の人々が、ソーシャルネットワークなどを使って、 必要な才能や共鳴できる仲間を見つけ出している。

見ず知らずの同士で集まっていくことは少なくとも、ネットでの出会いをきっかけに、 何度かリアルで会話を繰り返し、自分とリズムが会う人か 「この人となら飛行場で一緒に一夜を明かすことになっても大丈夫そうか」という点まで、たっぷり試せばいい。



投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2011年01月01日 | Permalink