インパクトの少ない情報支援を心がけたい

間違いは、誰でも起こす



 「これは、こうするべきだ」とか「〜〜は間違っている」と強い断定口調で語る人達の中にも、パーフェクトな人はいません。人間は必ず間違いを起こすものです。
 私なんかは、どちらかとうと間違いの方が多いくらい。

 その中で、多くの人が、自分なりに考え、自分が正しいと信じることをしているのだと思います。

 震災後、この状況下で現地の方に対して、被災地の方々に、自分なら何ができるかを考え、ちょっとでもヘルプしたい、という気持ちは私も同じです。

闇雲に情報を提供しても、喜ばれるとは限らない



 ただ、その行動を、あまり考えなしにやってしまうと、かえって現地の方に迷惑になってしまうこともあるんじゃないかと思っています。

 特にそう思ったのは、時折、被災地から離れた場にいる方が、インターネットで見つけたサバイバル情報など、役立ちそうだと思う情報を、 #save_miyagi #save_fukushima #save_yamagata #save_aomori #save_akita #save_iwate #save_ibaraki などの全ハッシュタグ宛に、まとめて情報大量投下している様子が頻繁に目に入ったからです。

 個々のハッシュタグを覗いてみると、その方の顔アイコンだらけになってしまって、現地の方の重要な情報が隠れてしまう。たしかに、インパクトはあるのですが、それが本当に助けになっているのか…


 Twitterというのは、フロー型の、情報がどんどん流れて言ってしまうメディアなので、これをやってしまうと、せっかく現地の方々が、同郷の方に発信した大事な情報がどんどん流れていって見つけにくくなってしまいます。

情報というのは、闇雲に投げかければいい、というものではありません。
情報が増えれば増えるだけ、必要な情報が隠れてしまう側面もあります。


自らを透明にする、というヘルプの方法もある



2つ前の「公式RTのススメ」という記事で公式RTを勧めたことには、そういう意味もあるのです。

公式RTをしてしまうと、あなたの顔アイコンは表示されず、あなたの名前も表示されず、あなたのコメントも表示されません。あなたのせっかくの行為は、誰にも気づかれないかも知れません。
でも、もし「見返りが目当てでなくて」、本心でヘルプがしたい、というのであれば、もしかしたら、それくらいの覚悟が必要なのかも知れません。

自分の存在を出すときは、出すけど、とりあえず邪魔にならないように、最小限に隠してヘルプをする。

そんな助け方もあるんじゃないか、と私は信じています。

私がやった工夫



じゃあ、どうやったら、いいのか?私も地震が起きてから、何度も失敗していろいろな人に迷惑なツイートをしながら、試行錯誤でたどり着いた、3/15の17:13時点でのベスト・アイディアを書きます。

1.まずは #save_県名 などのハッシュタグを見て、すぐにヘルプが必要な困っている人がいないかを一人捜します。

2.つづいて、必要情報を検索するなどした後、ハッシュタグをつけずに、その方に直接、教えるのです。

3.その方が助かったら、その方からハッシュタグをつけて情報を広めてもらう。
(通信環境が悪かったり、ハッシュタグの使い方を知らないなどの理由で、難しいようなら「@〜〜 さん、こちらのリンク http://〜〜〜 で助かったんですね。よかったですね。よければ、他の方もトライしてみて下さい #save_県名 」のような形で、できるだけハッシュタグへのインパクト少なく、さりげなく情報を提供する)。


 私は、できれば、 #save_県名 のタグをつけた情報は、本当に必要な場合以外は、現地の方だけにしていった方がいいんじゃないかと思っています。

 悪意はないけど、思いが溢れている方が、タイムラインを埋めてしまわないように、特に医療情報を扱う「#311care」というハッシュタグについては、あえてTwitterのハッシュタグではなく、つぶやきにくいGoogle Realtimeのページへのリンク http://nobi.cc/311careをつぶやいていたのも、下手にTwitterのハッシュタグにリンクしてしまうと、余計なノイズ情報が増えてしまうんじゃないか、と心配したからです。

 私は、たまたま20万人を超えるフォロワーを持っているアカウントがあるので、被災地にいる方に広めた方がいいんじゃないかと思う情報は、そちらからハッシュタグをつけずに配ってみて、どなたか被災地の方がタグをつけてくれるのを待ってみています(いろいろ、考えた末に、つけているものもありますが、そんなに多くないはずです)。

 もし、ハッシュタグなしで、大勢の方に効果的に情報を広げたいのであれば、ぜひ @nobi 宛に情報を提供して下さい。可能な限り、みなさんのTwitterアカウントをクレジットした上で、情報の拡散につとめてみます。ただし、できるだけ、私の手間を減らすためにも、情報の出所や、その情報を得た時間などを、あらかじめ書いておいてくれると助かります。

通信環境のいいところにいる人は、ひと手間を惜しまない



上で紹介した一人ずつ助ける方法をやるにしても、やっぱり熟考した上で、ハッシュタグに情報を投稿する場合でも、通信環境がいい、被災地でないところにいる人は、ぜひ、よかれと思って情報を投稿する前に、しばらく(3〜4分くらいでもいいです)、以下のことをチェックしてみて下さい(逆に、いつ、どのタイミングで通信ができるかわからない被災地の方は、うんとワガママに、細かいこと気にせずに情報発信して欲しいです):

ハッシュタグを使う場合:
1.投稿しようとしているハッシュタグにどんな情報が、どんなテンポで表示されているか
2.自分が投稿しようとしている情報が、近いタイミングで投稿されていないか
(されている場合は、自分から改めて発信するのではなく、タイミングを見計らって、公式RTをした方がタイムラインへのインパクト==余計な存在感==は減るはずです)

@付きで個人宛にメッセージを送る場合:
1.その方のタイムラインを遡って、自分が見たツイートだけでなく、その方がその後、どうなったか。特に最新のツイートではどういう状況かを調べる
2.その方のツイッターアカウントで、検索を行って、その方に、どの程度、情報が集まっているかを調べる
(既に、何人もの方が、必要としている情報の答えを伝えているのであれば、グっとこらえるのも、やり方かなと)


ちなみに、私は一昨日くらいから、TweetDeckというアプリケーションを使って、#save_miyagi #save_fukushima #save_yamagata #save_aomori #save_akita #save_iwate #save_ibaraki といったタイムラインを監視はしています。
(上の図がそうです)

その他のTips



私はツイッターで流れてくる【拡散希望】という言葉が、あまり好きではありません。
そんなものがついていなくても、大事だと思う情報であれば、喜んで拡散します。
もちろん、被災地から送られてくる切実な【拡散希望】には、喜んで答えますが、それ以外の方からの【拡散希望】や、平常時の【拡散希望】には、本当にそれが必要なのか。

それが拡散されることによって、何か1個、もっと大事な情報が隠れてしまうんじゃないか、と考えてしまいます(と、いいつつ、くだらないつぶやきもたくさんしていますが)。

そこで、拡散希望とメッセージを送られてくる方には、DMを使って、本当に公式RTする必要があるかなどの判断に必要な、詳細な情報を聞いています。

ただ、中には、私のことをフォローしておらず、DMを送れない方もいます。
また、やりとりを可視化することで、他の方の判断や情報も盛り込めるので、15日の午後からは、タイムライン上で質問を送るようにしました(といっても、 @nobi のアカウントは、大勢の方がみていて、重要な情報の滞留時間を長くしたいので、別のアカウント @nobi_com から聞いています)。

もしかしたら、皆さんも、同様な方法が使えるかも知れません。

情報を発することが助けになることもありますが、発しないことが助けになることもあるのではないか、と私は考えています。

もちろん、人によって考えはそれぞれ。
絶対にこうしろ、というものでもなければ、これをやっていない人を人狩りして責めるようなことはもってのほかだと思います。

情報の発信というのは、難しくて、「これが正しい、やり方」なんていうことは誰も言えないと思います。実際に、提供された情報で助かる人もいるでしょうし、あるのは結果だけです。

ただ、Twitterを使ったコミュニケーションについては、他の多くの方々よりも多くの失敗を重ね、その分、学んだ部分もあるものとしての私見を書かせてもらうと、
視点として、自分が情報を発信することで、それがどこに、どのような形で表示されるのか。どのようなインパクトを与えるのか、という部分に対して想像力を働かせる、という視点は、持っていても悪くはないんじゃないのかな?私はと思っています。




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March 14, 2011 被災者の役に立ちたいと考えている優しい若者たちへ~僕の浅はかな経験談~



阪神大震災の時の経験に基づいた記事で、デジタルの話ではなく、アナログな救済ボランティアの話ですが、どこか似ていると思いませんか?
ソーシャルメディアは、デジタルな道具を使いこそすれ、その根本にある活動は、これまで通りの人間の営み。やはり、緊急のときほど助けたいと思ったら、行動を始める前に、まず立ち止まって助けたい人達や被災現場の情報を、集めてくることも大事かと思います。


投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2011年03月15日 | Permalink