MAKE・ミーツ・学研

MAKE MEETS GAKKEN
科学好きな人にとっては、今日は歴史的な一日だった。

少なくとも一部の科学好き、工作好きな人にとっては、アップル社スティーブ・ジョブズのゼロックス社パロアルト研究所の訪問、Google創業者ラリー・ページとセルゲイ・ブリンとの出会い、いや、もっと幅広くジョン・レノンとポール・マッカートニーの出会いにも匹敵するくらいの事件の現場に居合わせることができた。

 科学好き、工作好きの人々の間で絶大な人気を誇る、米オライリー社の雑誌「MAKE」。そのカリスマ副編集長のPhillip Torroneさんと、日本中の子供達に科学の楽しさを教えてきた学研の「科学」のカリスマ、湯本博文さんの2人を引き合わせることができたのだ!!

 あの、1時間半だか2時間の訪問の間に溢れ出たポジティブなエネルギーの強さ、人々の感情を心のそこから大きく揺さぶるエモーショナルなエネルギーのスゴさ。
 こんな素晴らしい日は、滅多にあるものじゃない!!

 あのアドレナリンが止まらない興奮の一瞬一瞬を、世界中のすべての人々と共有したかった。
 特にFirst Compassの外村仁さんと、O'ReillyのChris Stoneの2人が、居合わせることができなかったのは残念でならない。
 私たち3人は、本当に前から「MAKE」と「学研」をひきあわせることを夢にまで描いていたからだ。
MAKE MEETS GAKKEN




投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2007年11月21日 | Permalink

SIer 2.0

Dai-ichi jisho bldg

はてなブックマークをみたら江島さんのブログエントリーにすごい注目が集まっている。

江島健太郎 / Kenn's Clairvoyance:ニッポンIT業界絶望論

読んでみてハッとした。これはまさに私が(今、書いている本が一段落したら)取り上げようとしていたテーマそのものだったからだ。
でも、仕事が遅れていたり、体調不良だったので、何もアクションを起こせずにいると、同じくはてなに、こんなエントリーが注目を集めていた:

[みんなの回答]IT業界進化論: 絶望する前に”SIer 2.0”を目指せ

「SIer 2.0」ーーこれこそ私が秋頃、アクションをスタートした時にキーワードにしようと思っていた言葉だからで、ブログディナーなどで何人かの親しい友人には話していた。
 先を越された!という悔しさは正直ちょっぴりあるけれど、うれしいのは同じことを問題に感じている人が他にもいるとわかったこと。
 しかも、それぞれがまったく別のルートから同じ結論にたどり着いたことだ。

 まだ、あまり時間に余裕がないので、ここでは私がどういうルートで、この問題にたどり着いたかを書かせてもらおう。

投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2007年11月11日 | Permalink

古賀さん、バルマーを食う

IMG_6403.JPG
今朝はマイクロソフト社CEO、スティーブ・バルマーの来日にあわせて、
「Windows Liveサービス」正式版の発表が行なわれた。

さすがのバルマーも日本のプレスを前にして「マスミディア!マスミディア!マスミディア!マスミディア!マスミディア!マスミディア!マスミディア!...マスミディア!」などと言うわけもなく、プレゼンテーションは、ところどころ強気を見せながらも淡々とした様子。


マイクロソフトも箱売りのアプリケーションビジネスだけでなく、サービスにも本格的に取り組んでいるとアピールするものだった:
MSのバルマーCEOが来日。「Windows Liveでソフト+サービスを実現」
「Androidを評価するのは難しい」--MSのバルマーCEO来日
Windows Liveが「ソフトウェア+サービス」の方向性を示す、バルマーCEO
ソフト+サービスはGoogleより上──MSバルマーCEOが来日

そんな中、バルマー氏よりも個人的にインパクトが強かったのがパートナー企業の代表としてただ1人登壇したNTT東日本の古賀さん。
IMG_6451.JPG

私には今でもフレッツADSLの発表をした古賀さんのイメージが強く、あまりいい印象はなかったけれど、マイクロソフトの発表会にきてバルマーの前で、あれだけ強気で好き勝手言える心臓は「さすが」というか頼もしく思った。

 録音していなかったので正確なQuoteはできないが...

マイクロソフトさんも、パッケージにCDと緩衝剤と空気を詰めて、何万円を巻き上げるビジネスをやめて、世界でもトップレベルの光ファイバーインフラの上で提供されるアプリケーションの1つとして料金を徴収するようなモデルに徐々にシフトしていって欲しい

といった内容(と口ぶり)。ちょっと痛快だった。

 少なくとも今のところ日本ほど光ファイバーのインフラが整備されている国はないので、それを使って頑張って欲しい。

 この部分も大きくうなずける。


投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2007年11月08日 | Permalink

Android/Open Handset Alliance:ベールを脱いだGoogle Phoneの正体

Gphone_2

これまで「Google Phone」、「gPhone」と噂されていた技術がついに発表された。
大方の予想通り特定の製品ではなく、世界のすべての携帯電話のためのオープンなプラットフォームだった。

Android
Open Handset Alliance


 残念ながら初期のメンバーに、日本の携帯電話メーカーは入っていないが、NTT DoCoMoとauの2社は参加しており、日本でもOHAの標準に準じた端末が登場することは十分期待できそうだ(ソフトバンクモバイルは、まずはiPhoneを獲得して、しばらくOHAについては様子見、ということだろうか)。
 ただ、オープンというからには、ぜひ、日本のメーカーにも直接、参加してもらって、キャリア経由ではなく、自らの足で立って真のイノベーションを目指して欲しいところだ。

 私としては、iPhoneの登場と、Android/OHAの登場で、世界の携帯電話が一気にスマートフォン時代に突入するのではないかと予想しているのだが、どうだろう。
 ちなみにここでいうスマートフォントは、フルキーボード内蔵端末といったカタチの上でのスマートフォンではなく、これまでの通話専用端末から徐々に進化してきた携帯電話ではなく、パソコン世界の文化を背景に携帯通信機能を融合した製品のことだ。

 日本市場でAndroid/OHAが受け入れられるということは、世界市場で成功している海外の携帯が、今後、ますます勢い良く日本市場に傾れ込んでくる可能性もある。
 2008年にはWiMAXなどの動きもあるし、来年は携帯電話業界激動の1年になりそうだ。

 Android/OHAについては追って、どこかの媒体に詳報を書くつもりでいる。

 なお、日本の携帯電話メーカーに、この激動の時代の生き抜いて欲しいという思いで、ITproにて「iPhoneの衝撃」という連載を書いてきた。興味のある人はぜひとも目を通してみて欲しい。
 (世界中が注目するiPhoneの凄さを例にして、日本のメーカーにそこから何か学べるものがないかというつもりで書き綴った連載だが、コメントを読むと、心配していた通り「それはアップルだからできること」といった具合に最初からあきらめムードの意見も目立つのが少々残念)。

 連載を書いた身としては、このAndroid/OHAとiPhoneが、どのような関係を築いていくのかも気になる関係だ(Safariと、Googleも開発に関わっているFirefoxのような関係?)。

投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2007年11月06日 | Permalink

群衆の叡知サミット、締め切り間近か!

Office Depot (in the very early morning)
気がついたら最後の更新からあまりに時間が経ち過ぎて、nobilog2が真っ白になっていた。

真っ白な状態で、1つだけイベントを告知。

TechStyle社企画の「群衆の叡智サミット2007」が11月1日に開催する。
詳しくはこちらのページから:
http://techstyle.jp/wocs/

「群衆の叡智」と聞いても、ほとんどの人は「?」かも知れない。
英語で言うと「Wisdom of Crowds」で、こちらのWikipediaのエントリーに詳しく書かれている:
Wisdom of Crowds

例えば、ジャック・トレイナー教授の「ビンの中のジェリービーン」という実験がある。
ビンいっぱいに詰まったジェリービーンの数を人に当てさせようと思っても、なかなか正確に当たられる人はいない。
しかし、被験者のグループに予想を出させ、意見を総計したところ極めて正確な数値になったという。
全体予想より正確な人は、常に数人はいるが、全体の予想は常に、かなり正確な答えになるという。

同様にスペースシャトルチャレンジャーの事故があったとき、シャトルに関係のある企業の3社の銘柄の株価が一斉に下がったが、2社は下げ止まった。ただ1つ下がり続けた会社が、実は事故の本当の原因に絡んでいた(と後でわかった)といったこともあったそうだ。

ジェームズ・スロウィッキー著の書籍、『「みんなの意見」は案外正しい』という本では、冒頭からこうした例がたくさん紹介されている。
「みんなの意見」は案外正しい「みんなの意見」は案外正しい
ジェームズ・スロウィッキー 小高 尚子

角川書店 2006-01-31
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テックスタイル代表取締役の岡田良太郎氏とは、一度もあったことがなかったが、いつも近い波長のようなものを感じていた。
ある日、彼がこの「群衆の叡知」をテーマにしたイベントをやりたいと誘いをかけてきた。
私はスロウィッキーの本は、まだ読んでいなかったが(実は今もまだ途中)、伊藤穰一さんがとりあげていたスコット・Eページの本、「difference」との関係も含めて、このテーマには興味を持っていた。
The Difference: How the Power of Diversity Creates Better Groups, Firms, Schools, And Societies
The Difference: How the Power of Diversity Creates Better Groups, Firms, Schools, And SocietiesScott E. Page


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岡田氏と渋谷で会うことにして、Foo Campなどの経験を語ると、彼もそれらの話を気に入ってくれて意気投合。
私なんかで大丈夫?かなり身分不相応なんじゃないかと思いながら、
同イベントの3つ目のパネルに参加することになった。

その他のパネルもそうだが、参加される方々はそうそうたるメンバー。
果たして私なんかがパネルで出てもいいのか、と心配になる。

しかし、スコット・ページもスロウィッキーも、「群衆の叡知」には意見の「diversity(多様性)」が重要であることを強く主張している。

一度はエクアドルに住み、日本でドイツ人幼稚園に通い、外人とイジメられた過去も含め、
人と違った経験、人と違った見方をすることなら、少しだけ得意かも知れない。
最近、同じようなニュース、同じような話題が、同じように紹介されているのをよく見かけるが、
私はそうなりそうだと思うと、すぐに逃げて、「どうやったら人と違うアプローチができるか」と考えてしまう。

このdifferentiation(差別化)、最近、我ながらよくできたと思ったのは、ITmediaのこちらの記事:
Mac OS X 10.5説明会:
「Leopard」店頭デモで確認しておくべき機能は?

Mac OS X "Leopard"の説明会に参加していたプレスは思ったよりも大勢いたようだ。
私は元々、他の仕事で忙しいので参考程度で、記事にするつもりはなかったのだが、ITmediaの編集者に「どうしても」と頼まれた。

しかし、他の仕事のかねあいもあり、あまり時間はかけることができず、1つ1つの機能を説明する記事は書けない。
他のメディアでは、しっかりとした記者の方々が書くしっかりとした記事が載りそうだし、私なんかがあっさりと書いたのでは、誰も私の記事なんか読んでくれない。

そこで記事を書く前に、考えに考え、あの説明会の内容を、翌日、Apple Store Ginzaに並ぶ人達がどのように役立てられるかを考えた。その結果、1人では試せない機能の話にフォーカスを絞り、「店頭デモで確認しておくべき機能」というアングルを取ることにした。その考えにいたる時間は30分もかかっていないが、それによりいつもの私パターンの網羅型記事に比べてトータルの時間は節約できたはずだ。

 このブログの読者ならご存知の通り、私は文章も雑で、散漫になりやすく、推敲が足りない。
 (おまけに語意が少なく、日本語の誤用と誤変換も多い ;-) )
 決してライターというタイプではなく、どちらかというと、この角度とアイディアで勝負をしているタイプだ。

 でも、それだけに、上記のイベントでも、ちょっとだけ他のperspectiveを加えるのに役立てるかも知れない。

 イベントでは、パネルの他にも、いろいろな企画を用意していて、参加者がそのまま「集合知(または集合愚)」の被験者となり証人ともなるかもしれない。

 仕事が溜まっていて、申し込み状況などをあまり把握していないが、もし間に合うようで、興味がある人は、ぜひ、今からでも参加を申し込んでみて欲しい。

投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2007年10月29日 | Permalink