無責任アルバイトは誰の敵か?
世界的デザイナー、深澤直人氏の妥協なき努力のたまもの、INFOBAR2に発売早々、ケチがついたかと思うと、今度は狂牛病騒動から立ち直った吉野屋で、それに続いてKFCでと心なきアルバイター(フリーター?)の心ない書き込みが火種になった情けないニュースが元でネット上で大騒ぎになっている。
知っている人には今更、説明する必要もないし、知らない人に、あえて教えたいとも思わない不快な、そして聞いていて情けなくなるニュースだ。
知らない人で、どうしても知りたい人は「infobar2 告白」や「テラ豚丼」、「ケン〇ッキー 告白」といったキーワードで検索してみるといい。
こういうニュースを情けない、と思う人がいる一方で、「いいぞ、いいぞ。やれやれ!」と楽しんで、けしかけている人もいるのかもしれない。しかし、そういう人は、例えば自分がアルバイター、フリーターの場合、自分の将来を危うくしていることに気がついているのだろうか。
あるいは自分が今、定職についていても自分の子供の世代や、親戚筋、知り合い筋の若い世代に迷惑をかけていることに気がついているのだろうか。
今回、こうした事件が同時多発的に起きたことで、日本人アルバイターへの信頼は地に落ちた、と思う。
これまで、日本が単一民族の島国という文化的背景もあり、なんだかんだいっても雇用主も、相手が日本人だというと、無条件で信頼している部分もあったように思う。
しかし、これら一連の事件が、その砦を壊してしまった。
これからはむしろ「彼は日本人じゃないから、ネットの変なところに書き込みをしない」、「彼は日本人じゃないから、ネットに変な動画に投稿する危険が少ない」ということも増えてくるかもしれない。
ああした事件が起きたことで、ダメージを受けたのは、そうしたアルバイターによる無差別テロを受けた企業だと思っている人もいるかもしれない。
しかし、本当は一番の犠牲者は、これからアルバイトをしようとする人、これから就職しようとしている人々ではないかと思う。
ああいう事件を起こしているアルバイター達の周りには、きっと周囲でその様子を見て黙認している同僚がいるはずだが、彼らも同罪だ。
そういう場面になったとき、「1人だけマジメに反論」するのはシラけた奴で、一緒に悪ノリした方がクールだと思っている人もいるのかもしれないが、そんなの大間違いだ。
そんなことをしなくても、もっとクールに楽しめることはいくらでもある。
職場にそういう空気をつくってしまっていて気がついていないならマネージャーも悪いのかもしれない。
例えば技を磨いて、他の同僚達が真似できないような凄い、仕事を効率化する技を編み出すーーこれは本当にクールだ。
「ブロークンウィンドウセオリー」というのがある。マネージャーも本当のクールを激励する一方で、大きな悪いことを誘発する小さな悪いことをできるだけなくすように努めるべきだろう。
自分たちの理想とする人物や理想とする行いを掲げるのもいいし、
常に身近に「美しい」と思うものを置くのもいいと思う。
最近の若い人達は希望を失っているということをよく聞く。
もしかしたら、そんな心の余裕もない人も多いのかもしれない。
就職難で、状況は苦しくて、ぜんぜん希望の光が見えないのかもしれない。
でも、日本よりも雇用率が低い国はたくさんあるし、
雇用率がてんで低い国の未就労者でも幸せにやっている人はいくらでもいる。
自分の不幸自慢、荒み(すさみ)方自慢をして、非道の限りをつくしても何の解決策も見えてこない。
そのループにハマって、世の中、何をみても「どうせ〜〜」という見方をするようになると、もしかして目の前に本当のチャンスが広がっていても、それをみすみす見逃すことになるかもしれない。
ネット上のいろいろなブログとかを読んでいると、
他の見知らぬ仲間達と、不幸な状態で、なれ合って、いつまでもそのぬるま湯状態につかりながら、じわじわと落ちていきたい(そういう不幸な自分を楽しんでいる)という印象を受けるときがある。
しかし、今から10年後の自分が、まだそれを続けていたとして「気持ち悪い」と思わないか?
本当は「どこかで変わるための一歩を踏み出さなきゃ」と思いつつも、ただただそれを先延ばしにしているんじゃないか?
でも、そんなことをやって、いつまでも先延ばしにしていると、そのうち「負」の重力に負けて、成層圏の外に飛び出せなくなってしまうんじゃないかと心配になる。
今の自分が「かっこわるい」と思っているかもしれない「マジメ」、「勤勉」、「正攻法」なやり方ーー最初、恥ずかしければ、例えば人の見えないところでもいいので、ちょっとずつでも「マジメ」を演じてみる。
そういう行為をすることが少しずつ「気持ちのいいこと」に変わっていけば、いずれきっと自分にとっても、自分の友達にとっても本当にいいことにつながるんじゃないかと、私は信じている。
少なくとも世界的スケールで見た「社会」は、そうしたマジメこそを評価している。
日本人が本来、もっとも評価されていたのも、そうした「勤勉さ」のはずだ(それが行き過ぎたり、考えの伴わない勤勉さだと間違った方向に進むこともあるが)。
これからネットを通して世界がグローバル規模でつながっていくと、(為替レートや物価水準などのおかげもあって)日本人よりももっと低賃金で、より勤勉な人達に仕事を頼むのが当たり前の時代もやってくる。
そうした波が本格的に押し寄せる前に、もっと「自分達世代」のブランド力を磨く努力をしてみてもいいのではないか?