ポカポカと暖かい年末

一昨日の東京は24度。4月頃の陽気で、銀座ではソフトクリームが売り切れ、なんていうニュースが流れていた。
昨日はちょっと冬だったけれど、今日はまた春に逆戻り。
そろそろつくしでもはえてきそうな雰囲気。

もしかしたら、外に出ずに、窓ガラス越し、背中で太陽を受けながら仕事をしているから、なのかもしれない。
とにかく、暑くて半袖に着替えてしまったくらいだ。
(とはいえ、夕方からの冷え込みはさすがに冬ですね。暖房入れました。まあ、これにつづく話を切り出すための導入として聞き流して下さい)


最近、「異常気象」っていう単語を聞かない月はない気がするし、
地球も来るところまで来ちゃったなという思いが年々強くなるし、
凶暴な自然災害で命を落とす人々のニュースも、当たり前になってきた。

こうなってくると、2006年の夏に米国で封ぎられ話題を呼んだ、アル・ゴア元副大統領主演の映画(というか、ほとんどフィルム越しの講演)、「不都合な真実」を勧めないわけにはいかない。

日本では1ヶ月後の1月20日公開だ。

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私も先日、最後のプレス向け試写会を見てきたが、あらためていろいろと考えさせられた。

見る人によってはゴアの、売り込みのしゃべりの巧みさなど、映画の本筋に関係ない部分で躊躇や抵抗感を感じる人もいるかもしれない(そういう感想をいくつか聞いた)。プレゼンテーションをしている人物がゴアということで、何か政治的な意図を感じてしまう人もいるかもしれない。だが、映画の中では、ゴアがどういった理由で、こうした問題に関心をいだくようになったかも紹介されている。

 でも、映画の中で語られている事実は、そうした日本と米国のプレゼンテーション文化の違いなんか気にならなくなる。

・歴史上の平均気温のトップ10が、すべて過去14年におさまっていること
(映画の中では、平均気温の上昇を、やや過剰気味な演出で見せるのだけれど、ちょっと疑いたくなるくらいに恐ろしいことになっている)

・ヘミングウェイの小説にもなった「キリマンジャロの雪」も、今ではほとんど残っていない

私が一番ショックを受けたのは、氷河期突入といったような急激な気候変化は、必ずしも何百年もかけておこるわけではなく、ほんの数ヶ月(数週間だったかな?)で起こる可能性もある、という事実。

とにかく、全体の3分の2くらいはアル・ゴアが自ら歩いて集めてきた驚愕の事実の連続。
映画の内容は、京都議定書にも参加しなかったアメリカをターゲットにしているところがあるけれど、もちろん、これはアメリカだけの問題ではない。

最後のクレジットロールに、映画をみた人達が、実際にどのようなアクションを起こせばいいのかの提案も表示され、最後まで見せてくれる映画...

いや、映画というよりは、ほとんど主演、アル・ゴア。助演PowerBook G4+Keynoteによる、Keynoteプレゼンテーション。それにゴアが自分自身で世界中から集めてきた驚愕のフッテージを全編に織り交ぜたものだ。


個人はもちろんだけれど、来年、この映画で語られる事実に目をむけずにモノづくりをする製造業や資源開発系の人は要注意!
経営者の人は、ぜひ、チェックリストの中に、この映画の鑑賞を加えておいて欲しい。

ちなみに、私がこの映画を紹介するのは2回目。

前回はMacTopiaの連載、Apple's eyeで「Macを通して地球を見つめ直そう 〜 6 つの異なる視点で地球を楽しむ」という記事を書いた。
あまり、ああいう場でこういう記事はウケないかな?と心配だったけれど、予想外にポジティブな反応が多かった。

この記事の中で、私の好きなNPO、「Think the Earth」のコンテンツもいくつか紹介しているけれど、彼らのつくっているコンテンツやら本やらは本当に素晴らしいので、ぜひチェックして欲しい。

「不都合な真実」の公式サイトに行くと、PDF形式で「私にできる10のこと」を配っていたり、いろいろするけれど、なかなか、そういつも地球最優先で考えて、自分の生活水準を落としたりとかはできないもの。

「Think the Earth」の発想は、「省エネ」だ、「エコ」だといったものを人々に押し付けるのではなく、人々がアタマの中に宇宙から見た地球のイメージを思い浮かべるようにすること。
おそらく、ただ、そうするだけで、何か行動をするときとかに、その像が思い浮かんで、アクションにちょっとした変化をもたらしてくれるだろう、というもの。

生活水準とかそういったもので妥協せずに、地球にもいいことを考える。
大変だけれど、そういうブレークスルーをするということこそが「モノを考えてつくる」ことだし、実際にそうした素晴らしい仕事をしている人達は少なからずいる。

私のアタマの中では、映画を観て以来、エリーカやeneloopの株が、さらに急上昇中だ(先日、試乗してきました!)

「不都合な真実」の公式サイトに、ゴアのインタビューがある。そこで、ゴアは映画のタイトルについてこう説明している:
「真実の中には、耳が痛いものがあります。なぜなら、本当にそれらに耳を傾け、真実として認めてしまうと、あなたは変えなければならないからです。その変えることが、かなり都合の悪い場合があります」

Think the Earthや、電気自動車でありながらスピードが出て加速性能でポルシェを上回ってしまうEliica、そして充電池でありながら乾電池の気軽さで使えるeneloopといったものに、私が惹かれるのは、この「都合の悪さ」の部分を実にうまく忘れさせてくれる。それどろこか逆にわくわくさせてくれるところにあると思う。
もしかしたら、これは日本人の新しい得意分野?

年始の目標を立てるにあたっても、この1年で起きた出来事を振り返り、何が大事かをじっくり吟味しなければならない。
もしかしたら、ここ数日の陽気は、そのためのヒントだったのかもしれない。



書き忘れていたので追記:
ちなみにアル・ゴアは、アップルの社外取締役で、スティーブ・ジョブズとも仲がいい。
そのゴアが、Keynoteをバリバリに使ってプレゼンテーションをするのだから、Mac好きの人はそれだけでも映画を観る価値があるかも。
ちなみにゴア、2006年はじめのMACWORLD EXPOでも、聴衆としてジョブズの講演を聴いていました:
ex-VP, Al Gore was in the audience


4901818007百年の愚行 ONE HUNDRED YEARS OF IDIOCY [普及版]
池澤 夏樹 アッバス・キアロスタミ フリーマン・ダイソン
Think the Earthプロジェクト 2002-04-22

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B000EWQ1SYSANYO eneloop 充電器 単3形4個セット (単3形・単4形兼用) N-TG1S
三洋電機 2006-03-21

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投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2006年12月29日 | Permalink