ナビゲーションを卒業したGPS

Googleearth

「GPS」と聞くとすぐに「ナビゲーション」という言葉を思い浮かべる人が多いと思う。
でも、最近、そこにちょっとした変化が起きている気がする。

この写真はGPSを助手席においての都内ドライブの様子をGoogle Earthで再現しているところ。
再生ボタンをクリックすれば、走った経路を上空からトレースできる。


5年前、アップル社CEOのスティーブ・ジョブズは、身の回りにあるさまざまな電子機器がパソコンとつながることで、新たな楽しみを得る、と語り「デジタルライフスタイル時代」の到来を宣言した。

便利さばかりが強調されていたデジタルガジェット、スペックシートに書かれた機能と性能だけで勝負していたデジタルガジェットに、新たに「楽しさ」が要求されるようになった。

他のメーカーの音楽プレーヤーのできがよくないからと、5年前、アップルが自ら創造したデジタルガジェットこそ「機能」や「仕様」を隠して、「楽しさ」を全面に押し出した「iPod」ではなかろうか。

今、GPSにも同じ変化が起きている。
便利のGPSから「楽しむ」ためのGPSへの質的変化が起きている気がする。

そんな思いもあって「bossa mac」でGPSに詳しいフォトグラファー、三井公一さんの協力を得て
「迷うためのGPS」という特集を組んだ。

「bossa mac」というのは、
これまでのパソコン誌とは違った視点の特集、違った視点のインタビュー、違った視点のレビューで
Macと人の新しい関係を模索しているメディア。

本屋で探してもらっても見つからないかもしれないが、
それはこの雑誌が月刊MacPeopleの中に寄生しているから。本誌MacPeopleとは、申し訳ないくらいに異質な媒体なので、同誌の表紙には目立たなくこっそりと紹介されているだけだ。しかし、毎回インタビューも、数歩先を歩くthink differentな人達をとりあげている(今回は雑誌「Paper Sky」や「mammoth」の編集長で、それ以外にもいろいろなブランド店でみかけるフリーマガジンを手掛けているルーカスBBさんを取り上げた。またレビューコーナーでは、MacTopiaでも取り上げている友人のA3版企画書制作の秘話を語ってもらっている)。

 もし、興味を持たれた方がいたら、ぜひこの機会に手に取って、気に入っていただければアンケートで、この媒体に存続の価値があるのか、この形態でいいのかといった感想をもらえればと思う。


 さて、bossa mac最新号が世に出て、ちょっと困ったことがある。タイミングが少しだけ早すぎたのだ。

私はいつも早すぎてタイミングを逃すことが多い。ブログを最初に取り上げたのもココログが始まるかなり前だった。RSSに触れたのもMac用のRSSリーダー(当時はRSSブラウザとか書いていた)がようやく出始めた頃。今や会員数500万人の会員mixiも会員数が3桁の時代に取り上げている。
 そして、さざ波が大津波に変わる頃には他のことを始めてしまっていた。


 bossa macの特集が早すぎてミスったのはFlickrの「Gmap」機能に触れられなかったこと。
Safariでアクセスしている人は、気がつかないかもしれないが、今、FlickrにFirefoxでアクセスすると、写真の上に「Gmap」というボタンが表示され、これをクリックすると写真に埋め込まれたGPS情報を元に、写真が撮られた場所でGoogle Mapで表示してくれる。

サンプルをいくつか用意したので試してみて欲しい:

Flickr1



上の写真で「Nearby Photo」をクリクすると、どなたかが撮った近隣スポットの写真とかもみれておもしろい。

Flickr2
Flickr3

これまで私はある方がつくられた試験サービスを使ってGPS写真を投稿していた。
このため写真そのものにはGPS情報が埋め込まれておらず、FlickrのコメントにだけGoogle Mapのリンクが用意されていたが、Gmap機能が搭載されたからには、これからはちゃんと写真にGPSデータを埋め込んで投稿しようと思う。



 ソフト/サービスだけではない、ハードでもおもしろい発表があった。SONYがデジタルカメラとの併用を前提にしたGPS、「GPS-CS1」を発表したのだ。
 この製品、価格が安いだけでなくデザイン、カタチ的にも魅力があり、なんだか「GPSライフスタイルを一気に広める起爆剤になってくれそうな気がする。

Gpscs1_with_cara_med


 本当は、ソニー自ら先頭に立って、そんな新しいデジタルライフスタイルを提案してくれれば、それが一番うれしい。しかし、現在、この製品はWindows専用。デジタルライフスタイルに一番敏感なMacをぜひサポートしていないのは残念だ。
 ソニーには、この際、社内で調査をして欲しい。ソニー社内にも驚くほどたくさんMacユーザーはいる。こういう新しいおもしろい製品に敏感に反応するのは、ソニー社内でもMacを使っている人達ではないかと思う。大きな波をつくるのであれば、まずは一番響きやすいところを狙うのが効果的だ。

 もっとも、ソニー自らがサポートしないでも、この製品であれば、遠からず優秀なハッカーがMac用のソフトをつくってくれるのではないかという期待もある。


 昔からGPSが好きだった人は、ここまで書かれていたことを読んで、なんだよそんなこと昔からやってきた、と言うかもしれない。
 しかし、ここ1〜2ヶ月へきて、急にGPSをとりまく空気が変わったと感じるのは私だけだろうか。今はGPSを使った楽しみが爆発する寸前まで膨らんだように感じる。もっとも、まだ、少しだけタイミングが早すぎるのかもしれないが....

  bossa macの誌面では、ここで紹介した以外にもGoogle Earthと連携させる楽しみなど、他の楽しみ方も触れているので、ぜひまずは手に取って立ち読みから始めて欲しい。






 なお、同じMacPeopleのニュースコーナーに、私が個人的に行ったアップル社デジタルライフスタイル戦略のマネージャーのインタビューを提供した。インタビューの中、彼が他にもデジタルライフスタイル関連のソフトをつくっているところが増えてきたと語っていた。特に気になっているところはあるかと聞くと、Google社のPicasaをあげ、「まだまだiPhotoは負けていないが、あのソフトはよくできている」とほめていた。
 そんなPIcasaも気がつけばいつのまにかMac対応している。
 正確にはMac版Picasaが出たのではなく、iPhoto用のPicasaプラグインが登場。
 こちらからダウンロードできる。
http://picasaweb.google.com/

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ちなみに私の写真はこちらです。


ついでながら、今月は初めてMacFanのニュースコーナーにも記事を書かせてもらいました。
前刀さん退社のニュースです。YouTubeでも話題の前刀さんですが、ぜひ、そちらの記事もよろしく!

投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2006年08月04日 | Permalink