夢を描く力
帰国後も風邪を治す間がなく悪化している。昨日は丸一日、一歩も家からで図静養したが、まだ本調子ではない(体力つけないと、本当にマズイ)。
火曜日のセミナーはなんとか乗り切れたけれど、よく考えたら来週も講演が...
『ユーザーインタフェース(UI)新潮流』
〜携帯・スマートフォン・カーナビ・PND市場へのインパクト〜
なんとか、それまでには声を取り戻そう!
[ENIAC]
さて、そんな中、突然だがイベントのお知らせ(ただし、先約があり私は参加できず)。
最近、オライリー社から発売された『CORE MEMORY - ヴィンテージコンピュータの美』という本の出版記念トーク。開催は今夜!
■「ヴィンテージコンピュータの美を語る」
『CORE MEMORY - ヴィンテージコンピュータの美』出版記念 トーク
マーク・リチャーズ(写真家) × ジョン・ア ル ダーマン(編集者)
通訳:鴨澤 眞夫(翻訳家)
●2008年3月21日(金)18:30開 場 19:00開演
会場:ジュンク堂書店 新宿店8F喫茶
入場料:1,000円(1ドリンク付き) 定員40名
●お申込:ジュンク堂書店新宿店7Fカウンター
お電話(03-5363-1300)でもご予約を承ります。
この「CORE MEMORY」、ヴィンテージというより、前パソコン時代のコンピューターを中心としたコンピューターの写真集。初期の特撮版バットマンに登場しそうな大型コンピューターの中に潜む「美」を驚くほどきれいな写真で描き出している。
実は先週、古川さんがアップル増井さん宅を訪問するときにプレゼントしているのを目撃した(ということは古川さん自身もこの本を気に入って持っているはず!?)。
この写真集を見た後、IPA未踏ツアーで、「The Computer History Museum」を訪問する機会があったので、大感激をした。そして自分でも、この写真集に挑戦とばかりに何枚か写真を撮ってきた。
ほとんどの、コンピューターはグレーでボタンだらけなんだけれど、その中に、たまにこんなコンピューターがあると、「これは'70年代のiMac?」とか思ってしまう。
Museumに飾ってあったコンピューターの中でも、とびきり好きなのが、
高級デパートのNieman Marcusがつくったというこちらの「The Kitchen Computer」。
1969年につくられたもので、価格は1万600ドル。レシピを記録したり、表示したりするコンピュータということだけれど、スイッチと2進数表示のライトしかない。
これでどうやってレシピを管理するのか、ちょっと疑問に思うところもあるけれど、それでも、とにかく新しいライフスタイルを誰よりも早く提案しようとした姿勢を高く評価したい。
実は私がこのコンピューターを見て思い出したのが、telefunken社のピクニック用ラジオだ。
雑誌「Pen」の特集執筆に備えて、and upを久しぶりに訪れたところ、パっと目に飛び込んできたのがtelefunken社のピンク色の手提げのついたなんともかわいらしい真空管ラジオだった。
石井店長に聞くと、どうやらピクニック用につくられたものだといわれて感銘を受けた。
改めて「and up」に置かれたアンティークラジオの数々を見渡してみると、
その1つ1つが、アナログライフスタイルあるいは「音楽のある生活」に対する提案であることに気がついた。
暖炉のようにリビングの中央に置いて、みんなで囲んで楽しめる大型ラジオ。
リビングの隅から、主張控えめでクリアな音を届けるラジオ。
家具との一体化を目指したようなB&O社のラジオ。
ピクニック用のラジオ、LPの収納スペースがあるレコードプレーヤー。
今や音楽ライフスタイルと言えばiPod一色になりつつあるが、
そもそも音楽はどうやって聴かなければいけないなんていうルールはなく、
メーカーが、そしてユーザーが自由な発想で決めることができるものだ。
たまたま、今は、アップルが一番想像力が豊かで、多くの人に夢を与える音楽ライフスタイルを提示しているだけに過ぎない。
これと同様に、コンピューターだって、どんな形でなければならない、という決まりもなければ、
どんな使い方をしなければならない、なんていう決まりもない。
Windowsだ、Mac OSだ、生産性ツールだ、メディアプレイヤーだというのは、
たかだか、30年ほどの歴史の中で、なんとなく人気が強かった使われ方の一例に過ぎない。
なのに、多くのメーカーが、この一例ばかりにとらわれ過ぎて、自由な発想でコンピューターをつくれなくなっている。
これこそが、最近のコンピューターがつまらない最大の原因ではないだろうか。
そう考えると8ビットの時代のパソコンはおもしろかった。
玩具メーカーがつくっているパソコンもあったし、
楽器/オーディオ機器メーカーがつくっているパソコンもあった。
形にも、色にも、OSにも、性能にも、付属アプリケーションにも大きなバリエーションがあった。
このように、明日のライフスタイル、明日の夢を描く力が、
最近のモノヅクリには少し欠けているんじゃないかと思う。
何もなかった時代と違って、既にモノが溢れ過ぎているから自由な発想がしにくい、
というのは理解できるけれど、あまり周りのものを意識せずに
我が道を進む力がこれからは重要なんじゃないだろうか。
実はそういう発想のものづくりをするためにも、
同じ仕事のルーチンの中に閉じこもっていないで、
もっと企画者やエンジニアも「Life」を楽しまないといけないとも思う。
消費者は楽しいモノ、夢のあるモノを求めているはず。
蛍光灯の下に1日座っていては、そうしたものは生み出せない。
火曜日のセミナーはなんとか乗り切れたけれど、よく考えたら来週も講演が...
『ユーザーインタフェース(UI)新潮流』
〜携帯・スマートフォン・カーナビ・PND市場へのインパクト〜
なんとか、それまでには声を取り戻そう!
[ENIAC]
さて、そんな中、突然だがイベントのお知らせ(ただし、先約があり私は参加できず)。
最近、オライリー社から発売された『CORE MEMORY - ヴィンテージコンピュータの美』という本の出版記念トーク。開催は今夜!
■「ヴィンテージコンピュータの美を語る」
『CORE MEMORY - ヴィンテージコンピュータの美』出版記念 トーク
マーク・リチャーズ(写真家) × ジョン・ア ル ダーマン(編集者)
通訳:鴨澤 眞夫(翻訳家)
●2008年3月21日(金)18:30開 場 19:00開演
会場:ジュンク堂書店 新宿店8F喫茶
入場料:1,000円(1ドリンク付き) 定員40名
●お申込:ジュンク堂書店新宿店7Fカウンター
お電話(03-5363-1300)でもご予約を承ります。
この「CORE MEMORY」、ヴィンテージというより、前パソコン時代のコンピューターを中心としたコンピューターの写真集。初期の特撮版バットマンに登場しそうな大型コンピューターの中に潜む「美」を驚くほどきれいな写真で描き出している。
Core Memory ―ヴィンテージコンピュータの美 | |
John Alderman Mark Richards 鴨澤 眞夫 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
実は先週、古川さんがアップル増井さん宅を訪問するときにプレゼントしているのを目撃した(ということは古川さん自身もこの本を気に入って持っているはず!?)。
この写真集を見た後、IPA未踏ツアーで、「The Computer History Museum」を訪問する機会があったので、大感激をした。そして自分でも、この写真集に挑戦とばかりに何枚か写真を撮ってきた。
ほとんどの、コンピューターはグレーでボタンだらけなんだけれど、その中に、たまにこんなコンピューターがあると、「これは'70年代のiMac?」とか思ってしまう。
Museumに飾ってあったコンピューターの中でも、とびきり好きなのが、
高級デパートのNieman Marcusがつくったというこちらの「The Kitchen Computer」。
1969年につくられたもので、価格は1万600ドル。レシピを記録したり、表示したりするコンピュータということだけれど、スイッチと2進数表示のライトしかない。
これでどうやってレシピを管理するのか、ちょっと疑問に思うところもあるけれど、それでも、とにかく新しいライフスタイルを誰よりも早く提案しようとした姿勢を高く評価したい。
実は私がこのコンピューターを見て思い出したのが、telefunken社のピクニック用ラジオだ。
雑誌「Pen」の特集執筆に備えて、and upを久しぶりに訪れたところ、パっと目に飛び込んできたのがtelefunken社のピンク色の手提げのついたなんともかわいらしい真空管ラジオだった。
石井店長に聞くと、どうやらピクニック用につくられたものだといわれて感銘を受けた。
改めて「and up」に置かれたアンティークラジオの数々を見渡してみると、
その1つ1つが、アナログライフスタイルあるいは「音楽のある生活」に対する提案であることに気がついた。
暖炉のようにリビングの中央に置いて、みんなで囲んで楽しめる大型ラジオ。
リビングの隅から、主張控えめでクリアな音を届けるラジオ。
家具との一体化を目指したようなB&O社のラジオ。
ピクニック用のラジオ、LPの収納スペースがあるレコードプレーヤー。
今や音楽ライフスタイルと言えばiPod一色になりつつあるが、
そもそも音楽はどうやって聴かなければいけないなんていうルールはなく、
メーカーが、そしてユーザーが自由な発想で決めることができるものだ。
たまたま、今は、アップルが一番想像力が豊かで、多くの人に夢を与える音楽ライフスタイルを提示しているだけに過ぎない。
これと同様に、コンピューターだって、どんな形でなければならない、という決まりもなければ、
どんな使い方をしなければならない、なんていう決まりもない。
Windowsだ、Mac OSだ、生産性ツールだ、メディアプレイヤーだというのは、
たかだか、30年ほどの歴史の中で、なんとなく人気が強かった使われ方の一例に過ぎない。
なのに、多くのメーカーが、この一例ばかりにとらわれ過ぎて、自由な発想でコンピューターをつくれなくなっている。
これこそが、最近のコンピューターがつまらない最大の原因ではないだろうか。
そう考えると8ビットの時代のパソコンはおもしろかった。
玩具メーカーがつくっているパソコンもあったし、
楽器/オーディオ機器メーカーがつくっているパソコンもあった。
形にも、色にも、OSにも、性能にも、付属アプリケーションにも大きなバリエーションがあった。
このように、明日のライフスタイル、明日の夢を描く力が、
最近のモノヅクリには少し欠けているんじゃないかと思う。
何もなかった時代と違って、既にモノが溢れ過ぎているから自由な発想がしにくい、
というのは理解できるけれど、あまり周りのものを意識せずに
我が道を進む力がこれからは重要なんじゃないだろうか。
実はそういう発想のものづくりをするためにも、
同じ仕事のルーチンの中に閉じこもっていないで、
もっと企画者やエンジニアも「Life」を楽しまないといけないとも思う。
消費者は楽しいモノ、夢のあるモノを求めているはず。
蛍光灯の下に1日座っていては、そうしたものは生み出せない。
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