変遷期のさなかのハイビジョンパネル選び1〜オンスクリーン文字のひどさに幻滅の巻〜
じっくり見ることはできなかったが(いや、正直言ってAV機器関連はまったく見れなかった)、先週のCEATECのキーワードの1つは「フルHD」つまりフルスペックハイビジョンだったと思う。
アテネオリンピックが終わっても、まだまだ普及には遠い印象のハイビジョンだが、一度、この画質を手にしてしまうと、もう後には戻れない。「ビーイング・デジタル」を読んでいた時には、高画質化よりも多チャンネル化というニコラス・ネグロポンテの意見に大きく頷いていたが、実際にハイビジョンプロジェクターを使い出すと、ただただきれいなグリーンを眺めているのが気持ちよくて、それだけでまるで興味のないゴルフ番組を見出す始末だ。
そこで思ったのが、ハイビジョンは、最近注目が高まりつつある「HAPTIC」なメディアなのかも、ということ(左のリンクの本、まだ読むどころか買ってもいないので誤用だったら心苦しいが)。
さて、我が家のハイビジョンはPanasonic製の廉価なハイビジョンプロジェクター(ついに実売価格16万円を切り始めたTH-AE500)、解像度は720p相当で、これはハイビジョン映像の格付けの中では下のクラスだ。
もっとも720pは今日のスタンダードでもある。実は今、店頭に並んでいるプラズマテレビや液晶テレビもほとんどは、720p程度の解像度しか持っていないのだ。
この間、誰だったかと話していたとき、ヨーロッパでハイビジョンが流行らないのはそれが原因じゃないかと言われて「はっ」とした。日米で使われているNTSCの解像度は走査線525本でフレームレート30となっているけれど、ヨーロッパで主流のPAL/SECAMはフレームレートは25だが、解像度の方は走査線625本となっている。これだと720本の720pと大差を感じないかも知れない。よく、考えるとi(インターレース)とp(プログレッシブ)の違いもあるし、そこそこの解像感の違いはあると思うが、なんだか、そんなことを言われると2台目のハイビジョンはフルスペックハイビジョンにしたくなってくる。
ただし、予算は最大でも60万円(それはこのために貯めた!?某○ドバシカメラのポイントが現在、59万5000円程度だから。そう財政的にも厳しいし、話の種にもなるのでポイントだけで購入するのが目標となっている)。
フルHDで60万円台まで、できればサイズは、自信を持って「大型」と言えるギリギリサイズである37か42型。
実はこの注目スペックにぴったりの製品がこの春に発表された。発表は春でも発売は9月。まるで「アテネ五輪にあわせてプラズマ、液晶を買うな」と言わんばかりである。
三菱電機のREALという液晶製品で37型の製品は世界初のリアルフルHDだという。この製品を楽しみにしていた。取材などでなかなか電気店に行けず、日立の新プラズマも発売された後の9月末、ようやく、実物を拝みにいった。
気のせいかも知れないけれど、他の液晶/プラズマよりも映像の線がシャープな感じがした。液晶パネルそのものの明るさも抜きん出ていた。リモコンは?店員に手渡されてメニューボタンを押した瞬間、心の中で叫んだ「え”!?」
メニューが、まるで1980年代の16ビットパソコンを思い出させるようなドットのはっきり見える文字なのだ。それを狙ったデザインなら大したものだが、どう見ても、「気がつきませんでした」、「手を抜いちゃいました」感がありあり。安売り1万円くらいのテレビデオのオンスクリーンメニューのような、緑だの紫だかの文字...
HAPTICなメディアにはおよそ似つかわしくない文字だ。
実はそれを言うと私のパナソニック製プロジェクターのTH-AE500もそうなのだが、こうしたオンスクリーンメニューとかの字体にこだわるのって、そんなにお金がかかるものなのだろうか?
60万円近い価格に比べたら、ほんのわずかな額だと思えてならないのだが...
*ここで、1つ注記しておくと、すべてのオンスクリーンメニューがこうだというわけではない。例えば○ドバシ店員曰く、他社に比べても速いというEPG表示はこんな感じでちゃんとグラフィカルになっている。しかし、それだけに画像モードなどの文字表示のジャギー感がのチグハグさを余計に痛感したのかも知れない*
最近、Creative Bridgeで「BLOGの壁」というエントリーを書いたが、三菱のエンジニアもどこかに「バカの壁」があって。オンスクリーンメニューの字体が変更可能なことすら忘れていたのだろう。
プロジェクターは既に持ってしまっていて仕方がないし、価格的にも3分の1程度だが、60万円近い商品で、この21世紀にあのメニューは許せなかった。約半年間、ふくらみにふくらんだ期待はリモコンボタンを押し次の瞬間に泡と消えた。
Webデザイナーの人とかと話をして「なんでMacを使っている?」かと聞くと、画面上の文字がきれいだから(またはヒラギノ書体が美しいから)と答える人が驚くほど多い。
メーカーの方々も、最後はバランスだとは思うけれど、使っていて気持ちいいかにもっとこだわりません!?