2012年のお気に入りその1:「パロットZik:美しさと最先端の融合」
このままではブログの更新が年1ポストで終わってしまう!それでは本ブログをホストしてくれているCPIサーバー(突然、大量のアクセスがあっても落ちない堅牢性を持つ)にも、世界に誇れる日本生まれの先進ブログシステム、a-blog CMSにも申し訳ないので、年賀状も書いていないけど、急遽、ブログを更新することにした。
1つ目はしばらくブログ離れをしていた身体にブログ更新を馴染ませるために、あまり考えずに書ける記事「2012年、私のお気に入りアイテム」。
実はここ数年はモノを買うことに興味が持てなくなった。
TEDでも講演をしているEdward Burtynskyの映画「Manufactured Landscapes」の影響かも知れない(大量生産によって山などが削られていくことを紹介したドキュメンタリー。予告編だけで憂鬱になれます。)。
この映画を見た後からは、ただ売り上げを立てるためだけに浅い考えで企画され、過剰に大量生産された商品にはちょっとした嫌悪感すら抱くようになった。一気に量販店からも足が遠のいた。
でも、そこは21世紀人、新しいものが一切、欲しくない訳ではないし、それなしで生きられる分けでもない。
ただ、今みたいにモノが大量に乱造される世の中ではなく、本当によく考え抜かれたモノだけが必要な量だけつくられるのが理想だと切に思う。
実はアップルのiPhoneはその点でも素晴らしいと思う。今では1年で日本の人口と同じくらいの台数が出荷されるiPhoneだが、1年につくるモデルは1種類だけ。
考えに考えに考え抜いて企画し、素材を厳選し、それをどのような形で成形し、どのように流通させるかまでしっかり考えて売り、しかも、1度、販売したら、その後、数年間、売り続ける。
実際、私のブログを読むIT寄りの人はiPhone 5にしか注目しないかも知れないが、今でも2011年開発のiPhone 4Sも現役なら、2010年開発のiPhone 4も現役だ。最近、シリコンバレーに行くと、ショッピングモールに中古携帯電話の査定をしてくれる自動販売機が置いてあるが、これで予想金額を調べてみても他のスマートフォンは新品同様でも数十ドル(数千円)なのに対して、iPhoneだけはきれいな状態であれば数万円の価値がつく(Samsung製もiPhoneよりは安いがそれなりの価値がつく)。半年も経たないうちにどんどん旧機種に成り下がってしまう他のスマートフォンと、じっくりとつくられ、何年も売られ続けるiPhoneでは、まったく別の種類のスマートフォンと言っても過言でないだろう。
そういう意味では、今年のお気に入りアイテムの筆頭にあげるべきは「iPhone 5」かも知れないが「iPhone 5」や「iPad mini」の話はITmediaやascii.jpにたっぷり書いてきたので、ブログではそうした媒体ではなかなか紹介されない逸品に触れられればと思う。
今年は運良くいくつか本当に気に入り、肌身離さず持ち歩く気になれる自慢のアイテムをいくつか手にすることができた。あまりテクノロジーを感じさせず、見た目にも美しさを持ち、それでいて使っていてウキウキする
今年は運良くいくつか本当に気に入り、肌身離さず持ち歩く気になれる自慢のアイテムをいくつか手にすることができた。あまりテクノロジーを感じさせず、見た目にも美しさを持ち、「アッチの製品よりイイ」の論理でつくられたのではなく、そのモノ自体がオリジナルであり、新しさを感じさせ、使っていてウキウキし、所有していることを誇りに思える、そんな製品達だ。
紹介したいアイテムの筆頭は「Zik」だ。
正直、この製品を紹介(自慢)したいがためにこの記事を書きたいと思っていた(本当はITmediaで書こうと思っていたが、クリスマス前に仕上がらなかった)。
「Zik」は、あのフィリップ・スタルクがデザインした、仏パロット社製の先進のテクノロジーを美しい形に仕上げたワイヤレスヘッドホンだ。
IT系の媒体でもいくつかレビューが載っているが、どれもテクノロジーと音質ばかりに焦点をあて、その造形の美しさにあまり触れられていないのが残念だ。日本の家電メーカーの工業デザイン軽視の一端はそうした媒体の姿勢にもあるのではないだろうか。ガラクタの乱造を減らし、メーカーを健全な方向に導きたいつもりががあるなら、もう少し製品の美醜についても語っていいと思う。名機として唱われたパソコンにしても、携帯電話にしても、デジタルカメラにしても、1年も経てばスペックを覚えている人はほとんどいない。だが、それがいかに美しい製品だったかは、数年経っても多くの人々の記憶に刻まれているはずだ。世の中を、もっと愛着の持てる製品を増やしたいと思うなら、メディアは工業製品の美醜についても、もっと厳しい目を向けるべきだろう。
「Zik」は、元々、パロット社のエンジニアが「生物学からのインスピレーション」で、基礎となるテクノロジーを開発(おそらく、より直感的なタッチ操作や着脱で音楽再生の停止と再開などのことだと思う)。そのコンセプトをスタルクが受け、身体の自然な延長となるような生物学的な形状でデザインをした。イヤーパッドを下側から円弧を描くように取り囲み、細くなりながらまっすぐ上へ伸びるアーム部分は生物の骨の形をイメージした、という。この細い伸縮アーム部分の中に12本もの信号線を通すのはエンジニアに取って頭痛の種だったと言う開発苦労話を聞いたことがる。
着色をしていないメタル素材と黒という色の組み合わせはiPhone 4シリーズなどにも通じるシックでエレガントな赴きを持つが、伸縮アーム部分が吸い込まれるヘッドバンドの内側がオレンジ色に塗られ、ちょっとした色の隠し味となっている。
(ちなみに同様に付属のUSBケーブル(充電用)とステレオミニプラグのケーブル(飛行機など電波が使えないところやバッテリー切れの際に使用)も端子の内側が同じオレンジ色で塗られているが、これがなんともかっこよい)。
開封せずに商品が見える製品パッケージや、コード部分のファブリックにもこだわったUSBケーブルやミニプラグと、製品の細部に至るまで徹底的なこだわりを見せている点でも非常に満足感が高い製品だ(それでも、あえて唯一、問題点を見つけるとしたらヘッドホンのポーチだけは、もう少しマシな素材にできたかもしれない。だが、素材が悪いおかげで自分のテイストにあったポーチを探してきて持ち運び方をカスタマイズできるのも、このヘッドホンの楽しみの1つかもしれない)。
このヘッドホンの最大の目玉は、音質が大幅に向上したBluetooth 2.1という最新無線技術で、ケーブルをつながないでもiPhoneやAndroid、Macなどの音を聴けること。まずはこのワイヤレスで聴くという体験の素晴らしさだけで、相当心地よいものがあるが、耳に装着すると、すぐに優秀なノイズキャンセリング機能がONになり、自分の選んだ音楽の世界に飛び込んだような感覚になる。
さらに、トドメとして右側のイヤーパッドがタッチパネルになっていて、これを前後または左右にスワイプして、曲送りや音量調整ができるのだが、この操作の快適さが本当にたまらない。
中には同じ価格帯でもっと音質がいい(コード付き)ヘッドホンがある、という人もいる。確かに徹底して音質を追求するならもっと上があるだろう。
でも、音楽を聴くという行為を、日常の中でもここまで楽しい時間にしてくれるという点においてZikを上回るヘッドホンはなかなか出てこないはずだ。
入手したばかりの9月頃には、まだ販売チャンネルも少なく、持っている人を滅多に見かけることがなかった。ユナイテッド航空の空港ラウンジで初めて見かけた自分以外のZikユーザーには思わず、それだけで声をかけてFacebookでも友達になってしまった。
その後は、販売チャネルが広がったこともあり、既に数人、Zikのユーザーを見かけてきたが、Zikを持っているということで、同じ価値基盤を持っていることがわかるので、自己紹介の後の話も早い。
持っていることの歓びにおいても、一瞬にして幸せになれる度合いにおいても「Zik」は(iPhone 5とiPad miniを除くと)2012年、私にとって満足度筆頭のアイテムだった。
さて、このお気に入りアイテムの記事。最初は10製品くらいまとめて紹介しようかと思っていたが、そうすると記事がいつまでも仕上がらず、どんどん先送りになりそうなので、1本1本バラバラの記事にすることにした。
記事タイトル下の「2012 Review」というカテゴリーを選択するか、こちらのリンクをクリックしてもらえれば、他の記事も一気に見渡せるようにするつもりだ。
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