モノヅクリに必要なのはラジオ的視点

2つ前のエントリーのコメント欄、書いていたら、寝付けなくなってしまったので、
先週書きかけだったエントリーを仕上げました(ただ、時間に余裕がある方は2つ前のコメント欄も読んでみてください。何か、おもしろいものが浮かび上がりつつある気がしています)。

and up
私が、まだMACPOWERという月刊誌で「ニュースの横顔」というコラムを書いていた頃からの抱いていた「思い」の1つ、それは、日本でソフトウェアエンジニアも含め、モノヅクリをしている人々に、そのやり方をもう1度見直して欲しい、ということ。

「こんな機能をつけたら売れるんじゃないか?」
「お、いいね。じゃあ、それやってみよう」
という作り方では、稀に一発屋になれることはあっても、本質的にすごい製品にはならない。

たくさんある製品の中で目立つことも必要ならば、1度、製品が成功した後、その世界観を押し広げていけるような戦略というか、製品そのものが含有する「広さ」みたいなものも必要だ。

いつも、メーカーさんなどの社内や経営者の方向けに行う講演では、スティーブ・ジョブズの言葉を引用して、製品化する前のディスカッションの重要性を解いたり、IDEOのやり方を紹介してラピッド・プロトタイピングとフィードバックを反映した改良のサイクルを1回でも多く回すことの重要性を説いている。

しかし、今回、話題にしたいのは、その部分の話しではない。
もっとBASICな部分で、「機能の実装というのは、ファーストステップでしかない」という話し。

エンジニア中心のモノヅクリだと、「こんな凄い技術を持っている」からと、その技術にUIやガワだけをかぶせて、「はい、これが製品です」というモノヅクリが行われてしまうことがある。

しかし、消費者が「これはすごい」、「これは心地よい」と思えるレベルに達して、初めてシリアスなモノヅクリだと言える。

このことをどう説明したらいいのか、よく思い悩んでいたのだけれど、先週の水曜日、お腹をひどく壊して、丸1日ベッドから出られなかったときに思いついた。

ラジオなどの音声番組や、学校の授業を思い浮かべればいいのだ。

投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2009年03月04日 | Permalink

Google Mapも凄いけど、Panoramioも凄いことになっていた

しばらくは例の件もあって、英語ブログの対応に追われそうなので、ついでに日本語ブログも頻繁に更新。 ;-)

Street View - Panoramio Integration
今日、Googleから2つの新発表があった。

1つ目は、Google MapのStreet Viewにユーザー投稿の風景写真が統合されたこと。

Google MapのStreet Viewで観光名所などを表示させると、そこで撮られた写真が右上に表示され、Street Viewの撮影とは別のアングル、別の季節、別の時間帯のきれいな写真を楽しむことができる。
パソコンの前を離れて、世界中のきれいな場所をどんどん巡りたくなるような素晴らしい機能だ(それだけに早く、外出先でも使えるAndroidやiPhoneにも対応して欲しい)。

表示される写真は、Google Mapの左側に表示されることでお馴染み、
風景写真を専門にして、人手で中身をチェックしている、Googleのもう1つの写真サービス「Panoramio」のもの。


2つ目は、Google Mapで、地図を表示させると、左側に表示される「このエリアを散策」機能。
Google Mapを見ながら、そのエリアに関するおもしろい情報を次々と発見できるようにするしくみだが、ここに新たに「スポット」という名前で、そのエリアの観光スポットが表示されるようになったほか、表示されているエリアの「マイマップ」をたくさん登録している「街の達人」が表示されるようになった。

ただ、目的地を確認するだけでなくて、おもしろい情報とのセレンディピティをもっと増やしていこうという機能だが、この機能、もともとは日本のGoogleエンジニア、南野朋之さんが発案したのだけれど、海外の他のグーグル社員にもウケがよく、そのまま広がっていったらしい。

これら2つの新発表も素晴らしく、さっそくハマっているけれど、
実は今日の発表会では、個人的にもっと気になったことが2つある。

1つめはコレ(今、外出先でカードリーダーを忘れたので、自分でデモしたものをムービー化したものだけれど...):


投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2009年03月02日 | Permalink

マスコミもブログも、兜の緒を締める頃合い!?

ruin
書きたいことが貯まり過ぎて何から書いたらいいものか悩むが、、やはり、これだろうか。

今、私の発言が英語圏のITニュースで大きな話題になっている。
事件の全貌は、Apple Insiderか、私の英語のブログを読んでくれるのが一番いい(コメントもおもしろいのでぜひ!):

Apple Insider: Japanese "hate" for iPhone all a big mistake
nobilog returnes: My view of how iPhone is doing in Japan by Nobi (Nobuyuki Hayashi)

かいつまんで書くと、若いライターが功を急いで、ちゃんとした取材をしたわけでもないのに、自分の使いたかったセリフを私が言ったことにしてしまったという記事ねつ造事件で、私が「P905iが凄い!日本でiPhoneを持っていると間抜けに見える」といっていたことにされていた。

外出先でたまたまTwitterのSummizerで、旬な話題を読もうと思ったら「Why Japanese hate」というキーワードが出てきて、読んでみたら自分の名前がでてきてビックリ。さらに言ってもいないことが書かれていて、2度ビックリ、というパターンだが、もっとビックリしたのがSearch.twitter.comで、上のキーワードで検索してみると、ほぼ数秒に1件単位でこの気についての書き込みが増えていくこと(今日になってもまだ増えている)。

あわてて食べた気のしない夜食をかきこんで、Twitterしながら帰宅。
中目黒を過ぎた辺りで、米MACWORLD誌などにも記事を書いている有名な(そして信頼のおける)ジャーナリストのCyrus Farivarが、記事の著者をTwitter経由で紹介してくれた(ここでは個人攻撃はさけて、著者の名前は出さないことにしたい)。

Twitterを介しての彼のパブリックな会話が始まった。

その頃には、元の記事が訂正されていて「iPhone間抜け」発言が平田大治さんのセリフになり、「P905iが凄い!」発言は、昨年、Wiredの外部ライター、Lisa Katayamaが行ったインタビューの一部を引用したものと追記されていた(さすがに「都合良く引用」とまでは書いていなかったが)。

彼にとっての不幸は、セリフを言わせた相手が、私や有名ブロガーの平田さんだったことだ。

このような勝手な引用は、日本のテレビ、雑誌やWebでも日常茶飯事で、泣き寝入りしてしまう人も多いかもしれないが、あいにく、私や平田さんは、おそらく米国Wiredの若輩ライターよりかは、人脈も持っていれば、ブログを通しての影響力も持っている(それらを持っていない人に、泣き寝入りしろ、ということではない。今の時代は、感情的にならずに頑張ってうまく反論すれば、声が世界に通じる時代だと信じている)。

私は私の英語ブログ「nobilog returns」で、そして平田さんも彼の英語ブログで反論したところ、我々の反論に対する反響もあっという間に広がっていった。

iLoungeに始まり、MacDailyNewsiPhoneAsiaといったサイトやTorleyLivesといったブログに私の見解が紹介され、極めつけはアップル社の株価も左右するApple Insiderにも丁寧な記事が掲載されるという事態に進展し、掲載サイトに対しての一大バッシングが巻き起こった。

以前、Wiredに、この記事の元になった記事を書いたLisa Katayamaも被害者の1人で、自分の書いた記事が、連絡もなく、勝手に改ざんの上引用されたと憤慨しており、担当編集者のLeanderも個人的に謝りのメールを送ってきたし、私の中では、書き手や出版社に対してのわだかまりはないつもりだ。

でも、おかげで休む間がないというのも、事実で、Slashtdotのように、訂正前の間違った記事を、引用してそのままになっている媒体も多く、そうした媒体も広がりつつあるので「何言っているんだこの野郎。iPhoneを持っていない人間のヒガミだろう。」といったメールやらコメントも未だに見かけるし、そうなると気になって、パソコンなんか閉じてしまえばいいのだけれど、ついつい気になってみてしまう(もっとも、気持ちは2日前の「あ〜〜、こっちにもこんなことが書かれている。どうしよう」から「あらら、まだ引用している人がいる。しょうがないなぁ(苦笑)」くらいに変わってきた)。

たまに、拝見している「らばQ」さんにも、私や平田さんの名前こそ出てこなかったが、背景説明なしで記事が紹介されていた(まあ、確かに説明するのが面倒くさいというのはわかるし、責めるつもりはないし、 @otsune さんがはてなブックマークのコメントで言及してくれていたのをみただけで、ちょっと満足している部分もある)。

昨日まで、平然を装いつつ、ちょっと、落ち込んでいる部分もあったが、そんな時、古川享さんにfacebook経由で心に響く言葉を頂いたのにも勇気づけられた:

Nobi-san, your qualification as a Professional Jounalist will never be changed with such a wrong quote. It is a good chance to ciculate your deep insights of the iPhone in Japan.
I had hundreds of such wrong quotes for last 30years, but the myth I learned was, not try to accuse the publisher nor poor writer, but to stick with what you belive in.
I myself and whole of the audience are at your side!
Thx, SamF



投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2009年03月01日 | Permalink

セカイカメラ in action

初日は撮り忘れたセカイカメラの動画を今日撮ってきました。
こんな感じです。



PlaceEngineを使った場所のスキャンは5秒に1回くらい、ということなんですが、
それなりに自然に動いていた印象です。
また空中に漂っているエアタグの写真は、実は半透明なので、向こう側が透けて見えます。



ついでにもう1つ...

投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2009年02月19日 | Permalink

セカイカメラ、世界デビュー

Sekai Camera World Premiere

ついに世界デビューを果たした「セカイカメラ」、2日前にTechCrunchのSerkan Totoと一緒に取材をして、すぐにブログに記事を書くはずが、古川享さんからのメールで予定変更に...

家路への電車を途中で進路変更し、六本木ヒルズへ「未踏プロジェクト」の成果発表会を聞きにいくことになりました。こちらでもセカイカメラに負けないくらい、世界を変えるかもしれない、新しい文化を生み出すかもしれない素晴らしい成果がいくつか発表されていて面白かったです(後述します)。

でも、まずは「セカイカメラ」、(現実)世界デビューの紹介から。
「Rooms」という招待制のファッションイベントでSoftbank Telecomのバックアップの下、
華々しくデビューした「セカイカメラ」の様子は、既にテレビニュースでも報道されているので(YouTubeで検索してみてください)、
そちらを見た人も大勢いるかもしれない。

どんなものか知らない人は、百聞は一見に如かずで、まずはモノを見てもらうのが早いので、こちらのビデオを見て欲しい:


iPhoneのカメラを通して周囲の世界を見渡すと、そこに他の人が書いた書き置きのコメントや記念写真、音声のメッセージなどがエアタグとして表示される。
そんな夢のシステムだ。

TechCrunch 50で発表された当初は、多くの賞賛を浴びる一方で、
今のiPhoneでそんなものができるわけがない、といった批判もたくさん浴びせられた。
しかし、世の中、どんなことも「できない」と言ってしまえば、そこでおしまいだ。

「やりたい」と「どうやったら、できそうか」をうまくつなぎあわせて、初めてイノベーションが生まれる。

2001年に最初のMac OS Xが出たときも、「ひどいOS、これでMacはオシマイだ」だとか、
散々、酷評されたが、結果としてそのMac OS Xが、新しい開発コミュニティーをMacに取り込み、Macを復活させ、iPhoneまで誕生させることになる。

誰かが会議室で「不可能」といったからやめてしまうのでは、一介のコンピューターメーカーであるアップル社が音楽販売ビジネスに乗り出す、といったこともなかっただろう。しかし、アップルは「不可能」とは考えずに、「どうやったら可能になるか」を考えた。だからこそ、今、米国でもっとも多くの楽曲を売っているNo.1の音楽販売会社になりえたのだ。

今の日本は、私と同年代の中間管理職が、ただ議事録に「会議に出席しました」という記録を残すためだけにいっているような考えのない寸評や匿名掲示板やユーザー名の影に隠れてブックマークに書き残される、安全な場所からの一切の責任を取らない論評攻撃によって殺されている気がしてならないので、つい脱線してしまった。

Sekai Camera World Premiere

さて、Roomsというファッション系イベントでデビューしたセカイカメラの最初のバージョンは、
VAIO type Pなどでも採用されている、「PlaceEngine」の技術を使って半径5メートルほどの精度で位置を特定し、その位置に関係するエアタグを、(iPhoneに電子コンパス機能がないので)まずは方位無関係で表示し、向きは指でフリック操作をして手動で合わせる、というシンプルなしくみ。
(その代わり、向き合わせ用のランドマークをたくさん登録した、ランドマークレイヤーを用意しようとしているようだ)

開発者のトンチ・ドット、井口氏も、決してこれで満足しているわけではなく、「今回、見せたセカイカメラでは、まだ本格的にやりたいことの3%しか実現していない」ことや、「Android上で動いている試作版は、電子コンパスを使って位置合わせもちゃんとできていること」を語っていた。

まもなく、暖かくなる頃までに最初のバージョンがリリースされれば、
それがきっかけで、新たな問題点も発見されれば、「こんなこともやりたい」という新たな目標もでてくるはずだ。
そうやって、まずはモノを出しては、さらにそこから開発が進む。
これこそがWeb 2.0時代の開発の特徴でもある「Perpetual Beta(永遠のベータ)」の基本コンセプトであり「セカイカメラ」も、まさにそれを実践してくつもりだという。




ちなみに、日本ではiPhoneコミュニティーにしか知られていなかったセカイカメラだが、
フランスではTwitterなどと並んで「NetExplorateur 10 2009(世界を変革する10のインターネット技術)」の1つに選ばれている(ちなみにTwitterが、どれほど革新的なものに変わったかについても、別の機会に紹介したいが、私のブログの更新ペースが遅くて、待てない人は、こちらの記事を参照して欲しい)。

さて、未踏の成果発表についても簡単に書こう(あと1時間で外出。明日は講演、月曜日も講演、週末は、書き物の仕事があるので、またしばらく更新が止まりそうだ):

投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2009年02月19日 | Permalink