Everyware講演のビデオが公開
IT業界を代表する名スピーカーといえば誰を思い浮かべるだろうか?
スティーブ・ジョブズ?ラリー・レッシグ?
こう書いていて、また思い出してしまったけれど、
今日行われた「THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2006」のレッシグの基調講演も素晴らしかった。
もし、まだレッシグのスピーチを見たこと、聞いたことがないという人がいたら、
ぜひとも、だまされたと思って、こちらのFlashムービーを見て欲しい。
ムービーにはレッシグ氏の姿は出てこないが、レッシグ氏ならではの個性的なスライドとともに、
ittousaiさんがつけた字幕が表示される。
http://ittousai.org/mt/archives/2003_04/free_culture.html
今からもう4年以上前の講演のスライド+音声+日本語字幕だが、
何度見ても一向に魅力が衰えることがなく、繰り返し見てしまう。
石谷さんも繰り返し見ちゃっている、という。
Read Write文化とRead Only文化の共存を訴えた今日のスピーチも、
ぜひ、いずれ上のような形で「共有」されればうれしいのだが....
石谷さんが関係者に聞いたところ「検討」はしているようだ。
ジョブズとレッシグ、この2人のスピーチは、ちょっとした音楽ライブパフォーマンスや
舞台芸術を見るくらいのすごさ、楽しさ、感動があるが、
現在、私のリストで、これにつづく3番目に来ているのはアダム・グリーンフィールド氏だ。
この7月、慶応義塾大学のデジタルメディア・コンテンツ統合研究機構(DMC Institute)で近著、「Everyware: The Dawning Age of Ubiquitous Computing 」の内容をまとめた講演を行った。
前日、キャスタリアの山脇社長が、「彼のスピーチはすごい」と言っていたので、どんなものか気になっていたのだけれど、実際に見てみたら本当にかっこよかった。
ジョブズのように製品を売り込むスピーチではなく、世の中に伝えたいメッセージがあって、
それを魅力的かつ効果的に伝えるスピーチで、そういう点でもレッシグのスピーチと重なるところがあるけれど、内容も素晴らしければ、そのプレゼンテーションも素晴らしい。
スライドのデザインされたかっこよさでは、レッシグに勝っている。
実はそのスピーチがWeb上から見れるようになった。
「Everyware: The dawning age of ubiquitous computing - A talk by Adam Greenfield」
コンピューターのユビキタス化する中で、それをつくる人、使う人達にいくつかの注意を促す内容。
深沢直人が唱えるという「振る舞いの中にとけ込むデザイン」という話では、
SUICA(関西はICOCA?でしたっけ?)のような公共交通用ICカードが、香港ではどのように使われているかを紹介した。
香港の女性は、読み取り機の前に来ると身体をクルっと半回転させ、ハンドバックの中に入れたままのカードをリーダー部分にぶつけ、スピードを落とさず、そのまま歩き去っていくという。その姿にはなにか独特の優雅さもある、という。
グリーンフィールドは、これはカードリーダーが許容する読み取り範囲と認識スピードから生まれてきた振る舞いであって、日本のスイカ(関西ではイコカ)もほぼ同じようなシステムでありながら、まったく、わずかなシステム上の違いから、まったく違う振る舞いが形成されていることを指摘している。
グリーンフィールドの話は、こんなおもしろいエピソードをところどころに交えながら進んでいく。
ちなみに彼は、トヨタやソニーといった会社もクライアントに持つユーザー・エクスペリエンス・コンサルタント。
それだけに、ユーザビリティーやHCI(Human Computer Interaction)的な考察も奥深く、非常に刺激的な内容だ。
ドン・ノーマンやHCI(Human Computer Interaction)といった分野に興味がある人にもぜひとも見て欲しい。
もっとも、本当は一番見て欲しかったのは、日本でユビキタスコンピューターの開発に携わっている企業のリーダーや現場の開発者達(つまり、ほとんどのメーカーの人々)。
でも、講演が英語だったせいか、ひどい雨が降ったせいか、あるいは事前の告知が不十分だったせいか、あまり人が集まらなかったのが残念でならない。
そう、あえて書かずにきたが、実はリンク先の720MBのムービーは、英語のスピーチで、
先のレッシグ・スピーチのような(ittousaiさんによる)素晴らしい字幕もついていない。
見たところ映像はCreative Commonsで公開されているので、ぜひとも誰か頑張って字幕をつけて欲しい(ittousaiさんいかがですか?忙し過ぎ?)
もちろん、私も100%他力本願するつもりはなく、協力できる範囲では協力していきたいと思う。
なお、レッシグやグリーンフィールドのスピーチをおもしろく印象深い物にしているのはNarrative、つまり「物語力」だと思う。
これについて今、平野日出木さんの著書「物語力」で人を動かせ!―ビジネスを必ず成功に導く画期的な手法を読んでいるが、非常に説得力がある。
ちょっと前の「ロジカル・シンキング」ブームで、話をロジカルに展開して製品を売り込むようなスピーチが増えているが、こうしたスピーチ。なんか、納得がいくような、そこは違うんじゃないかと思ったり、左脳ではOKだと思っても、右脳が拒否反応を示すことがある。
これに対して心にしみこむようにして残るのが「物語力」のあるスピーチ(なんて、書いているけれど、仕事が貯まりすぎて本もまだ半分までしか読んでいない)。
平野さんから、この本の話を聞いた時は
「まさにその通り!」と思って、最近、森美術館で行われた「ストーリーテラーズ:アートが紡ぐ物語」の話とか、いろいろ話したっけ。
何か「最近、俺が頭のどこかで思っていたのはそれだよ、それ」と思わせるような出会いがあると、自分でEurekaしたときと同じような興奮と刺激を覚えるもの(言わば、外的Aha!?)
まあ、このあたりの話は、また機会を改めて書くことにして、山積みの仕事という現実に戻ります。
言いたいことは4つ。
1.アダム・グリーンフィールドという名前、ぜひとも覚えておいてください
2.どなたかぜひ彼の講演に字幕を!
3.「物語力」で人を動かせ!―ビジネスを必ず成功に導く画期的な手法もおもしろいですよ。スピーチをする機会が多い人はぜひ一読を!
4.アダムが講演を行った慶応義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構の運営委員でもある村井純さんが明日、「THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2006」で基調講演を行います。私はラジオに出たとしても、これには間に合うように行く予定。
イベントをオーガナイズしたアンドレアス・ボーヴェンのブログ、
chosaqにも詳細が書かれています。
スティーブ・ジョブズ?ラリー・レッシグ?
こう書いていて、また思い出してしまったけれど、
今日行われた「THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2006」のレッシグの基調講演も素晴らしかった。
もし、まだレッシグのスピーチを見たこと、聞いたことがないという人がいたら、
ぜひとも、だまされたと思って、こちらのFlashムービーを見て欲しい。
ムービーにはレッシグ氏の姿は出てこないが、レッシグ氏ならではの個性的なスライドとともに、
ittousaiさんがつけた字幕が表示される。
http://ittousai.org/mt/archives/2003_04/free_culture.html
今からもう4年以上前の講演のスライド+音声+日本語字幕だが、
何度見ても一向に魅力が衰えることがなく、繰り返し見てしまう。
石谷さんも繰り返し見ちゃっている、という。
Read Write文化とRead Only文化の共存を訴えた今日のスピーチも、
ぜひ、いずれ上のような形で「共有」されればうれしいのだが....
石谷さんが関係者に聞いたところ「検討」はしているようだ。
ジョブズとレッシグ、この2人のスピーチは、ちょっとした音楽ライブパフォーマンスや
舞台芸術を見るくらいのすごさ、楽しさ、感動があるが、
現在、私のリストで、これにつづく3番目に来ているのはアダム・グリーンフィールド氏だ。
この7月、慶応義塾大学のデジタルメディア・コンテンツ統合研究機構(DMC Institute)で近著、「Everyware: The Dawning Age of Ubiquitous Computing 」の内容をまとめた講演を行った。
前日、キャスタリアの山脇社長が、「彼のスピーチはすごい」と言っていたので、どんなものか気になっていたのだけれど、実際に見てみたら本当にかっこよかった。
ジョブズのように製品を売り込むスピーチではなく、世の中に伝えたいメッセージがあって、
それを魅力的かつ効果的に伝えるスピーチで、そういう点でもレッシグのスピーチと重なるところがあるけれど、内容も素晴らしければ、そのプレゼンテーションも素晴らしい。
スライドのデザインされたかっこよさでは、レッシグに勝っている。
実はそのスピーチがWeb上から見れるようになった。
「Everyware: The dawning age of ubiquitous computing - A talk by Adam Greenfield」
コンピューターのユビキタス化する中で、それをつくる人、使う人達にいくつかの注意を促す内容。
深沢直人が唱えるという「振る舞いの中にとけ込むデザイン」という話では、
SUICA(関西はICOCA?でしたっけ?)のような公共交通用ICカードが、香港ではどのように使われているかを紹介した。
香港の女性は、読み取り機の前に来ると身体をクルっと半回転させ、ハンドバックの中に入れたままのカードをリーダー部分にぶつけ、スピードを落とさず、そのまま歩き去っていくという。その姿にはなにか独特の優雅さもある、という。
グリーンフィールドは、これはカードリーダーが許容する読み取り範囲と認識スピードから生まれてきた振る舞いであって、日本のスイカ(関西ではイコカ)もほぼ同じようなシステムでありながら、まったく、わずかなシステム上の違いから、まったく違う振る舞いが形成されていることを指摘している。
グリーンフィールドの話は、こんなおもしろいエピソードをところどころに交えながら進んでいく。
ちなみに彼は、トヨタやソニーといった会社もクライアントに持つユーザー・エクスペリエンス・コンサルタント。
それだけに、ユーザビリティーやHCI(Human Computer Interaction)的な考察も奥深く、非常に刺激的な内容だ。
ドン・ノーマンやHCI(Human Computer Interaction)といった分野に興味がある人にもぜひとも見て欲しい。
もっとも、本当は一番見て欲しかったのは、日本でユビキタスコンピューターの開発に携わっている企業のリーダーや現場の開発者達(つまり、ほとんどのメーカーの人々)。
でも、講演が英語だったせいか、ひどい雨が降ったせいか、あるいは事前の告知が不十分だったせいか、あまり人が集まらなかったのが残念でならない。
そう、あえて書かずにきたが、実はリンク先の720MBのムービーは、英語のスピーチで、
先のレッシグ・スピーチのような(ittousaiさんによる)素晴らしい字幕もついていない。
見たところ映像はCreative Commonsで公開されているので、ぜひとも誰か頑張って字幕をつけて欲しい(ittousaiさんいかがですか?忙し過ぎ?)
もちろん、私も100%他力本願するつもりはなく、協力できる範囲では協力していきたいと思う。
なお、レッシグやグリーンフィールドのスピーチをおもしろく印象深い物にしているのはNarrative、つまり「物語力」だと思う。
これについて今、平野日出木さんの著書「物語力」で人を動かせ!―ビジネスを必ず成功に導く画期的な手法を読んでいるが、非常に説得力がある。
ちょっと前の「ロジカル・シンキング」ブームで、話をロジカルに展開して製品を売り込むようなスピーチが増えているが、こうしたスピーチ。なんか、納得がいくような、そこは違うんじゃないかと思ったり、左脳ではOKだと思っても、右脳が拒否反応を示すことがある。
これに対して心にしみこむようにして残るのが「物語力」のあるスピーチ(なんて、書いているけれど、仕事が貯まりすぎて本もまだ半分までしか読んでいない)。
平野さんから、この本の話を聞いた時は
「まさにその通り!」と思って、最近、森美術館で行われた「ストーリーテラーズ:アートが紡ぐ物語」の話とか、いろいろ話したっけ。
何か「最近、俺が頭のどこかで思っていたのはそれだよ、それ」と思わせるような出会いがあると、自分でEurekaしたときと同じような興奮と刺激を覚えるもの(言わば、外的Aha!?)
まあ、このあたりの話は、また機会を改めて書くことにして、山積みの仕事という現実に戻ります。
言いたいことは4つ。
1.アダム・グリーンフィールドという名前、ぜひとも覚えておいてください
2.どなたかぜひ彼の講演に字幕を!
3.「物語力」で人を動かせ!―ビジネスを必ず成功に導く画期的な手法もおもしろいですよ。スピーチをする機会が多い人はぜひ一読を!
4.アダムが講演を行った慶応義塾大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究機構の運営委員でもある村井純さんが明日、「THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2006」で基調講演を行います。私はラジオに出たとしても、これには間に合うように行く予定。
イベントをオーガナイズしたアンドレアス・ボーヴェンのブログ、
chosaqにも詳細が書かれています。