マッシュアップが抱える課題/APIの公開
現在、都バスや東急バスが提供しているバス運行情報(接近情報)は、両社が個別に行っているもので、連携もとれていなければ、フォーマットもバラバラなのだ。もちろん、APIも公開されていない。
Web 2.0といわれるいくつかのトレンドの1つにマッシュアップーーつまり、機能(API)を公開しているいくつかのサービスを組み合わせて新サービスをつくりだす、というものがある。FlickrをベースにつくられたSpell with Flickrなんかはその好例だろう。
しかし、Web 1.0的な、今のバス運行情報では、こうしたマッシュアップはできそうにない。
例えばNAVITIMEやそのライバル会社がバス接近情報を絡めた移動情報サービスを提供しようとした場合、何らかの独自な方法でバス接近情報を取得するよりも、各バス会社が提供するオフィシャルな情報に依存した方がいいに決まっている。
そうやって情報を活用してもらうことによって、これまで移動手段としては選択肢の最後に埋もれがちだったバスが、より多くの人の目につくようになるーーこれはバス会社にとってもメリットのあることのはず。
おそらくバス会社も、ケチケチして情報を出し渋っているのではなく、単にこういったWeb 2.0的発想がないだけなのだと思う(そんなバス会社のSEの方々にはぜひこちらの本を読んで欲しい:Web2.0 BOOK)
さて、ここで問題。
もし、こうしたバス会社が「そういうことならぜひAPIを公開したい」と思ったら、どうすればいいんだろう?どこかのコンサル会社に相談?新たにWebエンジニアを雇う?なんとか、そのまま今のスタッフだけで、Web 2.0の波にのる方法はないのだろうか。Wikipediaとかの文化トレンドをみていると、それも可能なんじゃないかと思えてくる。
例えばフォーマットの統一だ。最低でも情報のフォーマットを統一してくれれば、後からそれを活用したいと思っているエンジニアが、アダプター的なソフトとそのAPIをつくってくれればいい。もちろん、あまりスマートなやり方ではないけれど...
もしかしたら、都バスは今提供している絵を使った親しみやすい画面を今後も採用したいと思っていて、東急バスは文字だけで十分だと思っているかもしれない。そんな場合は、どこか1つ別のURLを用意して、そこで統一フォーマットの情報提供を行なえばいい。
もしかしたら、バス会社のWebエンジニアは、Web2.0のトレンドもAPIのつくりかたもわかっていて、単に上司がそうしたニーズを理解していないだけかもしれない。それならそれでうれしい限り、ぜひともどこかで運行情報のあるべきフォーマットについて世界的視野でディスカッションを行なって欲しい。
マッシュアップに活用できるAPIを提供するのは必ずしもGoogleやYahoo!といった大手ばかりではないと信じている。そうではなくて飛行機会社とかバス会社あるいは街の書店や商店街のホームページといったところでもAPIが活用されるようになってこそ、いろいろおもしろいことが起きてきそうだと思う。
今後はもう少し、そういったディスカッションも行なわれていけばうれしい。