アドビがマクロメディアを買収
これだけはさすがに無視ができない。
リンク: Adobe to Acquire Macromedia
しばらくは、NAB 2005で発表されたFinal Cut Studioが個人的TOP NEWSと思っていたけれど、このニュースは大きい。パソコン史に深く刻まれるできごとだろう。
正直、個人的にはCompaqがDECを買収したときよりもショックを受けたかもしれない。
ホリエモンのニッポン放送のニュースは完全に吹っ飛んだ。
これで長らく続いた、FreeHand 対 Illustratorの闘いも、
Go Live 対 Dreamweaverの闘いも一段落?
それにしても、この2つの会社が、これまでどれほど多くの会社を買収してきたかと思い出すと気が遠くなる。
AdobeはPaul Brainard率いるPage MakerのAldus社も買収した。
ロードアイランド州で、やたらととがったソフトをつくっていたCoSA(Company of Science and Arts)も買収した(After Effectを開発した会社だ)
FrameMakerのFrame Technologyも買収したし、細かいところを数え上げるときりがない...
Macromediaはさらにすごい。
Marc CanterがつくったMacromind社から始まって、これがSwivel 3Dという3Dモデリングソフトを作っていたPara-Compという会社と合併してMacromind Paracompになった。(Swivel3Dはいいソフトだったのになくなってしまった)。
次にAuthorwareという(やや)ライバル関係の会社を買収して今の社名「Macromedia」になった。
その後、いつのまにか、MacRecorderというオーディオ録音製品に付属していたSoundEditも、いつのまにかMacromedia製品になっていたし、Fontographerというフォントデザインツールも、そしてAltSys社が開発していたIllustratorのライバル製品、FreeHandもMacromedia社になった。
この頃からAdobe社とのライバル意識に燃え始めたMacromedia社は、つづいて、Photohsop対抗のxResを出す。
でも、Macromediaの運命を変えたのは、1997年にFutureWaveという小さな会社を買った時だった。本当に小さな会社で、MACWORLD EXPOにも、家族ぐるみでやってきて小さなブースで娘にデモをさせる、ほのぼのとした感じも伝わってくる会社だった。
しかし、同社が開発したFutureSplashというプラグインがMacromediaに高く評価され、やがては同社のコア・アセットにまでなってしまう。そう、Flash技術のことだ。
ちなみに、FutureSplashの創設者、Charles Jackson氏は、元々はSilicon Beachというソフト会社にいた。同社はPhotoshopの原形とも言えるDigital Darkroom、というソフトを出した会社だ。
これだけ多くの人の、努力、歴史、そしてエネルギーが、アドビという1社に集約したということに期待をする一方で、正直、怖さもある。
Mac業界では、かつて、3D系ソフト会社が次々と合併を繰り返し、Meta Creationsという大企業になった。
しかし、このMetaCreations社が、潰れてしまって、たくさんあった素晴らしいソフトが一斉に消えてしまう、という悲しい事件があった。
さすがにアドビほどの会社が、突然、なくなるとは思えないが、
それでも選択肢やバリエーションが消え、万が一の保険がなくなるのはちょっと不安だ。
Mac OS X v10.4 "Tiger"のCore Graphicsという技術を使えば、Mac専用にはなってしまうが、より少ない手間で、より強力なグラフィックアプリケーションが開発できるはず。
そういった先進テクノロジーをどんどん取り入れた若い対抗勢力の登場に期待したいところだ。
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