iPhoneで「情報」と「アクション」の距離が短くなる
ここ半年くらい、ほぼ1〜2週間に1回(最大は週に4回)のペースでiPhoneについての話をしている。話しの内容は、聴衆にあわせて毎回、半分くらいはつくり起こしているが、半分くらいは毎回同じだ(iPhone関係の講演なら)。
その中でも、そうしたスピーチのエッセンスを、もっとも身近く凝縮したのが、
先日、Apple Store Ginzaのシアターで行われたmodiphi社の記者発表会かもしれない。
そう、ここのブログでは特に触れていなかったが、実は先日、popIn社に、続いてmodiphi社のアドバイザーに就任させてもらった。
そして、その初仕事(!?)として、同発表会で15分ほどのスピーチを行った。
ケータイWATCH: モディファイ、iPhone向けサイト構築ソリューションを発表
スピーチの骨子はこんな感じだ:
【1】iPhoneは世界的現象
7月11日に、iPhoneを買うための大行列ができた。
報道合戦も凄かった。
ただ、これは日本だけの現象ではない。
同じ7月11日、世界21カ国で同様のことが起きていた。
=iPhone現象は、テレビや雑誌で見たよりも、ずっとスケールの大きな現象だ
【2】iPhoneは世界進出のチャンス
iPhoneは年内中に70カ国で発売予定
App Storeも62カ国で展開予定だ
iPhoneはソフト開発者やアクセサリーメーカーにとって、世界進出のチャンスだ
【3】Webアプリも重要
iPhoneではWebアプリケーションもsecond class citizenではない
ちゃんとホーム画面上にアイコンも置けるfirst class citizen扱いになっている
【4】Web 2.0 in your pocket
iPhoneで、なんといっても革新的なのは、
ここ数年、世間を騒がせ続けてきた「Web 2.0」の便利なサービスを
ポケットから取り出して、いつでも、どこでも、すぐに使えるようにしたこと
(「Web 2.0」というバズワードが嫌いな方は*1参照)。
もちろん、これまでにもフルブラウザやスマートフォンはあったが、
一般の人でも快適に操作できるiPhoneのレベルまで使い勝手がブラシュアップされたことで
初めてそれが意味を持った
【5】情報獲得からアクションへの距離が短く
この【5】については、実際に私がmodiphi for iPhoneをどのように活用しているかを紹介した。
私のmodiphi for iPhone(RSSリーダー)には、
・親しい友人のブログ、
・よく読むニュースサイト
も登録してあるが、それに加えて
・「TOKYO ART BEAT」の数種類のRSS
・「みんなの経済新聞ネットワーク」のいくつか
も登録してある。
TOKYO ART BEAT(TAB)は、東京のアート情報のサイトだがこちらのページで、最も人気、スタート間近 、ファミリーで、もうすぐ終了など、多彩なRSSを用意している。
(New York ART BEATもある。休止中の関西ART BEATにも早く復活して欲しいところ)。
TABには、それに加えて、銀座、新橋 | 上野 | 表参道、青山といった場所別のフィードもある。
実はこれがすごく便利だ。
なぜかというと、例えば銀座で講演をした後、「銀座、新橋」のフィードをmodiphi for iPhoneで見て、おもしろそうな展覧会を発見。次の予定に行くまでの時間を使って、ちょっとした気分のリフレッシュをすることができる。
「みんなの経済新聞ネットワーク」も、同様の理由だ。
私の場合は、六本木経済新聞、銀座経済新聞、品川経済新聞、シブヤ経済新聞、自由が丘経済新聞の5つのフィードを登録してあって、これらのエリアに行ったときに、iPhoneで、その地域の最新スポットの情報を得ては、そこを覗きにいっている。
欲しい情報が、その場で獲得できて、すぐにアクションに結びつく。
これって小さいことのようでいて重要なことだ。
よく考えてみると、私がアドバイザーを務めるpopInも、
この情報獲得とアクションの距離を短くする会社なのかもしれない。
(つまり、新しいウィンドウやタブを開いて、調べものをしているうちに、
他のページに関心が移り、アクションを遠のけてしまう、という問題を解決するのがpopIn?)
popInをこのブログで最後に紹介してから時間が経っているが、
あれから実はじわじわとよくなってきているので、存在を忘れていた方はぜひ試してみて欲しい。
ちなみに、Flashも好きだし、技術としては素晴らしいと思うが、一部でいまだに採用されている「かっこいいアニメーション+SKIP INTRO」の文化は、ちょうどこれと正反対の文化なのかもしれない(もちろん、Flashコンテンツでも、獲得→アクションが短いものもあるし、Flashが悪いと言いたいわけではない。iPhoneでは見れないので、iPhoneユーザーには関係ないが...)。
自分の現在地に基づいた地域情報はおもしろい、という話しに戻ろう。
実はこのあたりは、au専用のNavitime、EZNaviwalkもかなり頑張っている。
最近は、GPSで現在地を認識すると、その周囲にある、
もっとも検索されている場所のランキングが表示されるが、あれもおもしろいサービスだ。
ただし、やはり今日のauの携帯では、まだ画面が小さすぎることや、多彩な情報に素早く直感的にアクセスするための操作方法が確立されていないことから「お、この当たりだとどんな場所がおもしろいんだろう?」と思いつつも、「あ、でも、その前に電車の時間だ」といって、なかなか寄り道検索にまでたどり着くことができない。マズローの欲求の階層でいうと、かなり高い階層にある「寄り道」欲求は、より低い位置にある次の目的地への移動の情報を獲得できるまで満たされないし、多くの人は、その下の階層が満たされた時点で満足してしまう。これは、より高い欲求を満たすためのハードル(=操作の面倒さ)が高すぎるという問題もあると思う。
iPhoneは、このハードルが低い(=大画面+高速動作+直感操作)ので、ついつい余計なことまで見てしまう。
そう、実はこれは某会社にも一度、提案したことがあると思うんだけれど、
これまでのスペック追求型(左脳型)の携帯電話がつくってきたのが、
ウォーキングナビゲーションの文化だとしたら、
iPhoneのような、感性追求型(右脳型)のケータイがつくりだそうとしているのは、
寄り道ナビゲーションの文化なんじゃないか、とか勝手に思っている。
実際、iPhoneは今のところ寄り道ナビゲーションの最高の友だと思う。
Twinkleを使えば、周囲数Km圏内にいる人の(Twitterの)つぶやきが聴こえてくるし、
Near Me[訂正します、正しくは「Near Pics」、コメント欄参照](や私が愛用しているExposure Pro[訂正します、正しくは「Exposure Premium」、コメント欄参照)を使えば、周囲数Km圏で撮られたFlickrの写真を見ることができる。
もちろん、マップ(=Google Map)を使えば、地図を通して、天空からの視点で周囲のおもしろスポットを見つけ出すことができる(しかも、地図でも見られれば、航空写真を通して、「うぉ!この地形おもしろそう」といったことを発見することもできる)。
部屋に閉じこもってボーっとしている間は、TwitterVisionのアプリケーションで世界の広がりを感じるのもいいが、外出中は、Google Mapとのマッシュアップで、自分の周囲5km圏内の地図上につぶやきが表示されるTwitterVision Localなんていうアプリがあるとさらに楽しくなるかも(もし、よければ誰かつくってください!そして、できればクレジットにidea: Nobiのクレジットを! -笑)。
一応、これでも米国の大学では一時、ジャーナリズムを専攻していたけれど、
記事を書く際に、重視すべきポイントというのがいくつかあって、
そのうちの1つがproximity
つまり、つまり読み手との距離的関係が近ければ近いだけ、記事に関心を持ちやすい、
というものだったけれど、実はこれからのiPhoneのアプリケーション開発では、
この位置情報ってものすごく重要だと思います。
「GPSおもしろそうだけれど、うちが出しているアプリケーションとは関係ないなぁ」なんて思っている開発者の方、実はそういうアプリケーションこそ、位置情報と掛け合わせるとおもしろいことができるかもしれませんよ!
*1:
私はなんとなくひと言で、簡単に雰囲気が伝わるので「Web 2.0」という言葉を使っているが、
この言葉にうさんくささを感じる人は、「CGM」や「UGC」、「Webアプリケーション」あるいは単に「便利なWebページ」に置き換えて読んでもらってもいい(言葉の仕事をしていながら、「言葉じりなんてどうでもいい。大事なのは概念だ!」と思っている私...)。
大事なのは、
1.ここ数年、急激な勢いで増えてきた生活にも役立つ便利なWeb情報サイトが急速に増えたこと
2.そうした情報は、これまでわざわざ書斎のパソコンの前まで行かないと見れなかったこと
3.iPhoneの登場で、そうした情報が、思い立ったときに、思い立った場所で参照できるようになったの3つだと思う。
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