バスの中からWeb日本語文化圏のつづき
今、成田空港に向かうバスの中で、これを書いている。
36時間後には、アップル社のWWDCが始まるので、その取材だ。
取材内容は、いつも通りITmediaで速報、その後、Microsoft MactopiaのApple's Eyeの連載で紹介、
さらにascii.jpにもコメントを出す予定で、いくつかの一般誌にも(競合しない形をみつけて)記事や写真を提供する予定だ。
WWDCの開始が待てないという人は、ITproで「iPhoneショック2」と言う連載を始めたので、そちらも参照して欲しい。
「iPhoneショック」は、日本のメーカーで働かれている方々のために書いた本で、
iPhoneが携帯電話業界にどのようなインパクトを与えたかを紹介し、
日本のメーカーに、来るべきiPhone時代(出版はiPhoneの日本発売のはるか前だった)に備えるよう警告したものだった。それなりの好評価をいただいたが、その後、この本を実現してくれた担当編集者がしばらく職場を離れていたこともあり、日本発売後にアップデートすることができずにいたが、今回、無事、職場に復帰したことで、続編が書けるようになった。
続編ではところどころにAndroidや、
アメリカではこの週末から発売が始まった「Palm Pre」などの考察も入れてみる予定だ。
さて、先月の「Google IO」の基調講演(Google Waveではない方の、初日基調講演だ)を見た人と、見ていない人では、Webの世界の見方が大きく変わってしまっているはずだ。
'98年、アップルはiMacで、それまでのフロッピーディスク、シリアルポート、SCSIといったレガシー技術を潔く切り捨て、USBに代表される「モダンIO」と呼ばれる技術を採用。
これを契機にパソコンのハードウェアの水準は大きく前進した(Windows機でUSBが標準的に搭載されるようになったのはその後だ)。
今、これと同じことがWebの世界で起きようとしている。
これまでのWebブラウザからHTML 5ベースのGoogleやMozillaが「モダンWebブラウザ」と呼ぶ技術への移行が始まろうとしているのだ。
そして、この「モダンWebブラウザ」の急先鋒がWebKitベースのGoogle ChromeやSafari、そしてFirefoxである。
ただ、これからの時代は、パソコン以上にモバイル(ITphone)からのWeb利用が加速的に重要になってくる。
そしてこのモバイルの世界のモダンWebブラウザの代表格こそが、
iPhone、Android、Palm PreそしてNokiaの端末が採用しているWebKitベースのブラウザなのだ。
先月、NTTドコモの発表で、夏モデルの新端末ではブラウザのJavaScript対応なども強化して...といったことが発表され、それを喜んでいた開発者もいたが、このブラウザを受け入れたのでは、またしても日本はガラパゴス化の罠に陥ってしまうのではないかと心配だ。
もしかしたら、このドコモ新ブラウザはなんとか寿命の短いものにして、
早くAndroid主体の製品ラインアップに移行してもらうか、
そうでなければ、次のブラウザでは、世界水準となる「モダンブラウザ」と技術の擦り合わせをして欲しいと思う。
(そうでなければ、世界中の他の携帯電話メーカーや、世界中のIT企業にドコモブラウザを使うように呼びかけて、ドコモスタンダードをグローバル化するかのどっちかだ)。
いずれにしても、携帯電話の世界だけしかみていない人が、規格を決めてしまうと、世界に根を張る技術はつくれない。さまざまなバックグラウンドを持つ人を集めてきた多様性を内包したチームをつくることは、だからこそ重要で、シリコンバレーのスタートアップ企業やアップルは、これがちゃんとできている印象がある。
例えば男性エンジニアばかりが集まって主婦をターゲットにしたアプリケーションをつくった場合と、主婦を交えた混成チームでつくった主婦向けアプリケーション、どちらが理にかなったものになりそうかは簡単に想像がつくだろう。
これからの日本は、こうした混成チームの中に、グローバル視点を持った人も、どんどん投入していかなければならない。なぜなら、何か新しい技術をつくって最初のうちはいいけれど、日本のスケール感では、あっという間に天井が見えてしまうからだ。
いずれ世界で商売をしているメーカーが、何倍もの規模の売り上げで研究開発を重ねていった時、日本のメーカーは本当に大丈夫か?
大雑把に端末コストの半分がハードのコスト、半分がソフトだとした場合。世界規模で展開しているメーカーなら、出荷する台数が多い分、ソフト開発費の負担がどんどん圧縮できて、価格競争的にも強みを発揮するのは明白だ。日本のものづくりは変わっていかなければならない。
だからこそ、狭い知識しか持たない筆者ではあるが、その知識のすべてを活かして「iPhoneショック2」を書かなければならないと思っている。
最近、講演の中で「人間のガラパゴス化」という話しをよくしている。
メディアの記事は、日本の「端末がガラパゴス」だというけれど、実はそう書いているメディアの側の視点もガラパゴス化してしまっていることが多い気がする。
日本の文化を守ることは大事だけれど、その一方で、どこかにグローバルの視点をもっていないと、これからの時代はやっていけない。
と、ここまで書いて、このバスの中で書きたかったのはそんなことではなかったことを思い出した。
でも、気がつけばそろそろ空港(パスポートどこだろう...)
機内では仕事をするか、寝るかのどちらかを決め込む予定なので、
nobilog2の更新は、またしばらく滞りそうなので、
みなさんとはしばらく、上記各媒体の記事でお会いできればと思う。
P.S.このブログ記事をあとで読み返してみておかしいと感じたところや、気がついた誤字脱字は、勝手に直すかもしれない。
今、パスポートのチェックが終わってそろそろバスがターミナルに到着...
P.S.空港で、今、話題のTIME最新号を入手した。表紙はiPhoneで動くTwitterだ。今、この組み合わせが世界規模で大きな革命を起こしている。ご存知の通り、TIMEは技術誌ではなく、一般誌だが、その表紙にこの組み合わせが出てくるほど、このインパクトは大きい。果たして日本の一般メディアで、気概をもってこの革命をとりあげるところはあるか?もし、あっても道筋がわからなければ「GAP勉強会」で検索して、次回から参加して欲しい(残念ながらメディア関係者のみでお願いします)。