最終日と素晴らしい本の話
今日はいろいろなものの最終日だ。
3月7日から期間限定でオープンしていた「Think the Earth SHOP」のリアルショップ(@ルミネ荻窪店4階)も今日が最後なら、Kosuke Fujitakaさんの活動の1つ「101Tokyo.com」の「101Tokyo Contemporary Art Fair 2008」も今日が最後。オープニングには頑張ったが行けなかったので、今日こそ行こうと思っている(Fujitakaさんは、Tokyoで誕生した人気のWebサイト、Tokyo Art Beatの海外版第1号「New York Art Beat」の立ち上げで、現在はNY在住なので、できれば11時からの彼が司会のセッションに出たい。
やはり今日が最終日となる森美術館の「アートは心のためにある : UBSアートコレクションより」のオープニングの時、南條館長は「みなさん、アートを買いましょう。飾りましょう」と言っていた。
そのアートを変える場所、「Tokyo Art Fair」も、実は今日が最終日。こちらもオープニングを逃した。ブースはたくさんあるが、果たして回れるのだろうか。本当は今日、国際フォーラムの前を通り過ぎたのだが、時間がなかったので素通りになってしまった。
素通りしたのは、冒頭で紹介した「Think the Earth shop」のあるルミネ荻窪で、Think the Earthの上田壮一さんによるトークイベントがあったからだ。
とにかく本の大好きな上田さんのトークイベントは、ルミネ内の八重洲ブックセンターのど真ん中で行われた。
「Think the Earth」といえば、つい最近、「みずものがたり」という素晴らしい本を出したばかり。
みずものがたり―水をめぐる7の話 | |
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Amazonより詳しくみたい人は、こちらの公式ページからー> 公式ページ
水の不思議な性質(この不思議な性質がなければ生命は生まれなかったかもしれない)、琵琶湖のほとりで行われている「かばた」など水をうまく活用する人間の知恵など水にまつわる7つのストーリーが大人も子供も関係なく楽しめる形で並べられている。
何よりもところどころにはさまれている写真が、なんとも素晴らしい(ツバルの写真は、きれいだけれどやはりちょっとショッキング)。この本をつくり、全国の小中学校や高校に配ったというダイアモンド社も素晴らしいと思う。
で、今日はこの本の話が聞けるかと思ったら「自分の本の話をするのもなんか無粋だし」と、「みずものがたり」の紹介は簡単に済ませて、あとはひたすら「みずものがたり」のヒントにもなった他の人達の写真集や絵本を紹介し続けた。
上田さんの、こういう姿勢がカッコいい。自分も同じようには感じる部分はあり、自分の本を宣伝するのは、あまり得意ではない。とはいえ、「そうも言っていられないか」と、自分の姿勢を貫けないあたりが、なんともカッコ悪くて悔しい部分だ。
イベントはまず、絵本の紹介から始まったポーランドの絵本『しずくのぼうけん』の紹介で始まった。実はこの本へのオマージュと呼べる部分は「みずものがたり」にもある。
つづいてネタバレ付きで紹介されたのがレオ・レオーニの『スイミー』。これ、どこかで聞いたことがあると思ったけれど、たぶん、以前の「みんなの会」で聞いたんだな。上田さんからはレオ・レオーニの名前は少なくとも10回は聞いていると思う。
つづいて紹介された写真絵本の『くものかたち』。これもかなり欲しい1冊!「これ本当にレタッチしていないの?」と疑いたくなるような凄い雲の写真が登場する。
つづいてアーティスティックな絵本で『魚がすいすい』と『小さな池』(これもめちゃくちゃ絵がきれい)、『エリセラさんご』(資料性もあってよさそう)。
そして、科学好きの心をくすぐる『おしっこの研究』、『せいめいのれきし』(Classic!)。
解説を聞いていて感動した。『クジラの跳躍』(DVDも出ているそうだ。この本は絶対に買いたい)。
さらに日本では売っていない飛び出す絵本の『wide-mouthed frog』。
そして「「みずものがたり」を書いている間に出会いたかった」という『水の大研究』。
『マッコウの歌』。かばたの話が出てくる『おじいちゃんは水のにおいがした』。
『ひとしずくの水』、『砂漠の虫の水さがし』。
飾らない海の姿をひたすら写し続けた美しい写真集の『New Waves』。
『海中顔面博物館』、『空の名前』、『水のことのは』。雪の結晶の写真ばかり2453個も集めた『SNOW CRYSTAL』。
これら、どの本をとっても、1つ1つ素晴らしく、すべてが欲しいくなってしまう。
特に欲しい1冊も、いらない1冊も選べないくらいに、すべてが素晴らしいーーきっと上田さんの熱意のこもった解説を聞いたからなおさらそう思うのだろう。
あのトーク、録音してあったようだけれど、ぜひ、Podcastにして流して欲しいな。
もし、私でよければボランティアで、編集しに伺いますよ!
本当は、あの場所、あの時間を共有した人だけが知っているのが「粋」であって、それをわざわざこうやってまとめてしまうのは「無粋」という気はしているのだけれど、友達で来たかったけれど、これなかった人のことや、後でトークの内容を話したら、「もっと知りたい」と言って来た人達だけにでも、共有したくて、こうやってブログの記事にしてしまう。
でも、さすがに、上田さんから教えてもらった素敵な本すべてにamazonのアフィリエイトを入れる無粋はちょっとできない(と、意識しすぎることも無粋かもしれないが...実は単純に面倒というのもある。なので、アフィリエイトをいれるのは、「みずものがたり」とあとで紹介する2冊だけにして、その収益は「バングラデッシュサイクロン」など、このページのトップの項目に寄付することにしようーー>この手間を自動化して欲しい)。
本当はNGOとかの活動をサポートしたい人のために、NGOのアフィリエイトのアカウントを用意してもらって、自分のブログのアフィリエイトを通して直接、寄付とかのサポートができれば美しいと思う。これはNGOにやってもらうべきなのか、amazonにやってもらうべきなのか?
というわけで、上で紹介した本はリンクも何も入っていませんが、ぜひ、検索エンジンを使って、他の人達の評判もみながら、じっくり探してみてください。
いや、インターネットに頼らず、本屋でも図書館でも、リアルな場所で、その手にとって確かめてみて欲しい。
おそらく、ここで名前だけ聞くよりも、実物を手に取ってみた方が数倍欲しくなるはずだ。
そして、それだけ「欲しい度」が高まったところで、買った方が絶対に満足度も高い。
さらによければブログなどで、このトークイベントのことを話題にして、上田さんの紹介本を本屋に揃えてもらう、Think the Earthの本を揃えてもらう、といった本屋に対してのアクションにもつなげていけたらいいのかもしれない。
同じようなトークを、ぜひ、今後、他の場所でもやって欲しいし、もっと大勢の人にも聞いてもらいたいと思う。
上の本で気に入った本が多ければ、あなたは絶対に「Think the Earth」の活動も好きなので、彼らのサイトも訪問してみてください:
Think the Earth
「アースリウム」やauの携帯電話で楽しめる「live earth」も、本当にいいですよ!
さて、今、数えてみたら上の本だけでも20冊あったのだけれど、実はこれがすべてではない。
最後に紹介された2冊は特に心に焼き付いた。
1つはRobert Weingartenの『6:30 A.m.』。
Robert Weingarten, 6:30 A.m. Robert Weingarten Cantz 2005-04 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
自分の家の窓から見える海。地球の自転と公転によって、そして日々の天候によって、1度として同じ表情を見せない海を毎朝6:30に撮り続けた一冊。
写真家のホームページに、その一部が掲載されているが、なんとも美しい。
6:30AM Gallery
そして最後はまるで映画のようなドラマチックなページづくりと(写真の絵づくり)が感動を呼ぶPhilip Plissonの「La Mer」。
La Mer | |
Philip Plisson Yann Queffélec See details at Amazon by G-Tools |
これだけ素晴らしい本を知っている上田さんの特にお気に入りの一冊だ。
日本のAmazonでも、同じ本かはわからないが英語の「The Sea: Day by Day」という本ならある。
ただ、個人的にはフランス語版が欲しく、こちらはアメリカやフランスのAmazonにしかないようだ。ただし、この写真集、かなり立派で(上田さん曰く)5kgはありそうなので送料が心配だが。
The Sea | |
Philip Plisson Yann Queffelec おすすめ平均 海と共に生きていこう。 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
ちなみにPlissonさんのホームページも見つけた(こちらも英語とスペイン語版ある):
Plisson.com
このサイト、ちゃんとオンラインショップがあって、本はもちろん、カレンダーやポスターも売っている。
ここで冒頭の話に戻るわけだが、このPlissonさんやWeingartenさんの作品は、私にとって買いたいアート、飾りたいアートなのだと思う(できればPlissonさんは「La Mer」のあの豪華本を本棚に飾りたい。そしてWeingartenさんはプリントを壁に飾りたい)。
この海という好きなモチーフに、悠久の時間という概念を掛け合わせた杉本博司の「Seascape」もそうだ(あのオープニングのときにポスターを買いそびれたのが悔しいなぁ。)
トークでは、上田さんが「日本ではなぜかこういう写真集の人気がない」と話していたのが印象的だった。たしかにそうだよな、と思う。最寄り駅にある小さな本屋でも、素敵な写真集を見ようと思うと洋書コーナーにいかなければならない。
もっと、こういう写真集が日本でも売れるようになって、「こういう素晴らしい写真家を撮れるカメラマンが増えればいいのに」と上田さんは言っていたけれど、これも同感だ。
私の友人にも素晴らしい写真を撮っているカメラマンは多いが、そういう本が受け入れられる文化が育てば、彼らの活躍の場も増えるはず。
自分が実用書しか書いてないで、こんなことを言うのもなんだけれど、実用書ばかりでなく、もっとみんなに右脳のための本や、心のための本にも投資して欲しいと思う。
実用書でつめこんだ知識ばかりで世界をつくろうとしても、果たしてそれでみんなが幸せな世の中になるんだろうか。
パソコンが世の中を便利にした割に、人々が相変わらず忙しいのと同じで、なんか、「頭でっかち」でアンバランスな進化をしてしまうんじゃないか。
そうならないためには、狭い視野で目の前の問題を理詰めで考えるのではなく、もっと広い視野で、自分がどんな世界を美しいと思って、自分の子供だったり後世の人達だったりに残したいかを考えるのも重要なんじゃないか。
人間は左脳だけでなく、右脳とか感性とか、そういうものとのバランスが保ててこそ健全な思考ができると信じている。
エキサイトの竹本朝直さんは、しばらくデジタルな仕事をやると、今度はしばらくアナログな仕事をやるという。私もそんな感じを目指して、デコボコながらデジタルとアナログ、実用と感性のバランスをとって行きたい。
それにしてもルミネ荻窪のThink the Earth shopはかなり危険だ。
Webのショップもそうだが、思わず欲しくなる「いい感じ」のものが、たくさん揃っている。それをリアルで見せられてしまうと、買わずにはいられない。
気がつくと、前から気になっていた「Sound bum: Traveling with Sounds」をはじめ、気になっていたものを買い込んでしまった。
ついでに、気になっていた「地球時計」の第2弾、「wn-2」もしっかりチェックしてきた。ここのコーナーは思いっきり上田さんの世界になっていた。
上田さんの活動の原点とも言える1冊「地球/母なる星」がwn-2の後ろに飾られているのが印象的だった。
さぁ、今日は101TokyoとArt Fairだ。