未踏ツアーのプレゼンがYouTubeに

土曜日、無事に帰国したものの、そのまま風邪でダウン。
明日の講演までに、なんとしても声を取り戻さなければと格闘している林です。
ascii.jpでの未踏ツアーのレポートは本日掲載される4日目のレポートで、
あるいは明日、開催される「未踏ツアー報告会」のレポートでおしまいの予定だ。

しかし、このツアーについては、
その後もいくつかの媒体で、レポートする予定だ。
記事が掲載されるごとに、どこの媒体か明かして行こう。

mitoh @ google

もっとも、記事掲載が待ちきれないという人には、
古川さんのブログを参照して欲しい。

古川享ブログ
私なんかが、いろいろなしがらみで書けないツアーの秘密部分も、そのままスパっと気持ちよく書いてくれている。

ちなみにツアー参加者では他にマッシュマトリクスの富田慎一氏がブログレポートを行っている:
snippets from shinichitomita’s journal

さて、未踏ツアーの最終日(正確には最終日前日)は、選ばれた4社がグーグル社でのプレゼンテーションを行ったが、その様子がYouTubeにあがっていたので紹介しよう。



最初に挨拶を行っているのはグーグルの日本人社員の方。

 本当はこれとの比較用に2日目のVCを前に、皆が緊張してカチカチになっていたプレゼンテーションの様子も掲載したいところ。

 この2日目と比べてあまり進歩のないプレゼンテーションもあるが、驚くほどの進化を遂げたプレゼンテーターもいる(今回、失敗を繰り返さず、大きな前進を果たしたヒーローはなんといってもAltPaperの鎌田長明さんだろう)。
 アメリカの大学に行っていた経験がある人は、この光景をみて懐かしいと思うかもしれない。多くの大学で必須のCommunicationの授業で、毎回、こういったプレゼンテーションをさせられていたからだ。おそらく自分が壇上に立ったら彼らほど立派にプレゼンテーションはできないかもしれないが、彼らのプレゼンテーションを聞いていると授業で聞いていた注意事項を思い出す。

最初に結論を持ってくること(それをやらないことは、プログレスバーを表示せずに時間のかかる処理をしてしまうようなものだ)。アイコンタクトを取ること、自信を持って話すこと、などなど...

日本の大学でこうした特訓をどの程度受けるかはよく知らないが、
これからグローバル市場で活躍して行く起業家を育てるなら、こうした授業は必須。
ぜひとも、日本の大学でも少しずつとりいれていってもらえたらと思う。

そして、今回、未踏に参加した人達には、ぜひともYouTubeなどを使って、
他のアメリカ人達のプレゼンをよく見て学んで欲しい。

2日目のErnst & Youngの方々の特訓で、プレゼンテーションの基本の論理は学んだはず。
ただし、論理だけ頭に叩き込んで、うまくなるというのはなかなか大変だ。
一番いい勉強方法は、うまい人のプレゼンを何度も何度も見ることだろう。

個人的にはGoogle TechTalkもいいが、TEDTalksExplanation in Plain Englishシリーズもかなりお勧めだ。


また、今回の未踏ツアーは、日本人の日本人による日本人のためのイベントだったが、今回のツアーに参加した人達には、ぜひ次は本場シリコンバレーのベンチャー起業家達が参加するイベントに体当たりで参加してみて欲しい。

ちょうど、いい具合に私が昨年参加したFoo Campのレポートがインターネットマガジンに掲載されたので、こちらで雰囲気を掴んでもらうといいかもしれない:

Foo Camp―GoogleやWikipedia創業者も参加するオライリー主催プライベートイベントの全貌【前編】

さて、今回の未踏ツアーを通して、何人かの人とメールを通してやりとりがあった。
これから書く未踏レポートでも書かなさそうな話題なので、以下で取り上げよう。
Apple

アップル社やDANGER社を訪問したとき、そしてグーグル社でたまたま再開した知り合いと話していて話題に上ったのが、仕事と生活の話。要するにワークライフバランスの話だ。

 シリコンバレーでは、みんなどんなに忙しくても、家族で一緒に夕食を食べることが大前提となっている。インターネットが発達してしまったせいで、夕食の後、自宅の書斎で仕事のつづきをしたり、テレカンを行ったりすることも増えてきたようだが、それでも、仕事とプライベートをきっちり両立することが求められている。人間としての威厳やら尊厳がある程度、守られているわけだ。

 実はシリコンバレー在住の友人がバレーでもう1つ見逃してはならないのが、ワーキングマザーを受け入れてくれる体制がしっかりしていることを指摘していた。しかし、こうした環境が整いやすいのも人間としての尊厳がリスペクトされ、「ワーク・ライフ・バランス」のやじろべえの腕がワーク側だけでなく、ライフ側にもしっかり伸びている。
 そうした背景があるからこそワーキングマザーの起用についても、ちゃんとした大抵が整うではないか。
 逆に日本は「会社のためにちょっとだけ我慢して」という切り札を使うことが常習化してしまって、ワーク・ライフ・バランスが、ワークだけに伸びているひずんだ状態にいても、今更、どうにも修復できないところにまでつき進んでしまったのではないか。1つ1つの改悪は半歩ほどの改悪でも、それを積み重ねれば取り返しのつかない状況を生み出しかねない。どこかで抜本的な軌道修正をしなければならない。でも、誰もそのリスクを負おうとしない。

 未踏ツアーの1週間は、風邪の熱と原稿書きにうなされながら、そんなこともちょっと考えさせられた1週間だった。

投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2008年03月17日 | Permalink