おサイフ携帯の本領発揮は3ヶ月後

関東の私鉄やバス会社が新たに発行するIC乗車券「PASMO(パスモ)」が来年2007年3月18日より運用開始となる。
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詳細はこちら[CNet Japan:私鉄・バス「パスモ」とJR東日本「スイカ」 カード1枚で相互利用

最初にこのニュースを聞いた時には、うれしい気持ち半分、「また新しいICカードか!?」という気持ちも半分だった。
でも、素晴らしいのは、このカードがJR東日本のが発行する「Suica(スイカ)」との相互運用ができること。
つまり、今あるおサイフ携帯で、ついにそのままJRの電車だけでなく、私鉄やバスにも乗れる。

私は取材のモチベーションが落ちないように、ほとんどの取材先に片道最大40分前後で行ける場所に住んでいる。
このため電車の路線などの選択肢も多いのだが、おサイフ携帯のau W41CAを使い始めてからは、私鉄とJRが選べる場合、数分送れてもSUICAが使えるJRを選ぶようになっていた。JRの構内だと、ついつい雑誌や飲み物もSUICAで変える買えるのも大きな理由だ(ついでにホームが広いし、電車が人を詰め込み過ぎの私鉄ほどは混まないことも)。

パスネットやバス共通カードも買ってはいるが、
「使う時にない」、「あったと思ったら使用済み」、「残金いくらだか解読不能」、「衣替え後にポケットから」
と不満だらけだった。

これが来年からは携帯1個で済むのかと思うと、かなりうれしい。
■交通チケットがようやく統一化

以前から、バスも電車も1つのカードで乗れるのが理想だと訴え続けてきた。
バスで、パスネットを出して「それは電車だけです」と、運転手に(本当に)白い目で見られたこともあるが、
New YorkのMetroCardやロンドンのTravelCardでも、「1つのカードで」は実現していた。

それに遅れること、十数年、日本でもようやく、チケットの統一化ができるのは、本当にうれしいことだ。

■次は料金面の工夫を

だが、理想をいえば、次はMetroCardやTravelCardのように、1日中、同じ料金で乗り放題になることかな。
実際、都内では、そうでもしてもらわないと、交通料金が高過ぎる。
1人で行動する分には電車+バスでもいいけれど、3人以上で移動する場合はタクシーの方が安いことも多いのだ。

1日乗り放題にしないまでも、せっかく、同じ1つのICカードでつながるのだから、例えば同じ親会社の鉄道からバスへの乗り換えでは、料金が安くなるとか、そういうインセンティブをつくるべきだろう。

「ただ支払いの便をよくするだけ」ではなく、もっと「公共交通機関を使いたくなる」ような工夫が必要だ。

そもそも、一昔前と比べると、公共交通機関は、中も外も宣伝だらけになって、交通費以外にもいろいろ収益源ができているはずなのに、それが利用者に還元されている感じが一切しない。
いまでも路線によっては、人間の尊厳を損ねるように満員電車に人を押し込んでいる光景を見かけるし(私はそういう電車には意地でも乗らない)、運賃値上げのニュースは聞いても、値下げはなかなか耳にしない。

■ICカードは、オープンな2.5規格へ収束を!

ところで、タクシーの話をすると、11月1日からタクシーでもEdyが使えるものが増えてきている。
「ヤッター」と喜んでいたのもつかの間。この間、乗ったタクシーは「iD」のみの対応で、ガッカリした。

そういえばローソン、ナチュラル・ローソン系も「iD」だけだ。

でも、「iD」はDCMXというドコモの携帯ユーザーだけしか使えない規格。
MNPで勢いがあるauや、何かと話題になる(そしてなぜか私の周りでは乗り換え/追加購入ユーザーが多い)ソフトバンクの携帯では使えないわけで、こんな規格を採用するタクシー業者やコンビニエンスストアは、しがらみがあるのかもしれないけれど、先見の明がない気がしてならない。

その点、これまでnobilog2ではあまり褒めたことのない成田空港は、ほとんどのお店がSUICAとEdyの両方に対応しているーーその他でもそういうところが増えてきている。

残念ながら、今からICカード規格を1つにまとめるのは難しいかもしれないが、せめてSUICAとEdyの2つだけに集約できるようにして欲しいというのが、ヘビーユーザーの視点からのお願いだ。
 その点、「パスモ」は新規格ではあるけれど相互運用という形を取った点ではエライし、これをカウントして2.5枚と言ってもいいかもしれない。これからおサイフ携帯を始める人は、SUICAの代わりに「パスモ」で始めてもいい、と思う。

■今後はポイントカードも収束を

ところで、実は私は最初、おサイフ携帯にはそれほど関心がなかった。
(現在は、端末でそのまますぐにクレジットカードからお金をチャージできる点も含めて、ものすごく気に入り、かなり使用頻度があがっている)。

そんな私がおサイフ携帯に興味を持ったそもそものきっかけはtsulogのこの記事だった。
W41CA: EZ Felica

そう、おサイフ携帯は、ただ支払いの機能だけでなく、日本中にゴマンとあるポイントカードの類いを収束してくれる機能もある。通常のサイフの他に、ポイントカード専用のカード入れを持ち歩く(それもかなりパンパン)私にとって、これを1つに集約できるという機能には、目から鱗がおちる思いだった。
 とはいえ、今のところ集約できるのは、ヨドバシカメラやビックカメラといった量販店、それから私は使っていないけれどマツモトキヨシやらカラオケ店、チェーンの居酒屋など。
 いずれ、これに美容院やら、タイ古式マッサージやら、岩盤浴やらのメンバーカードも集約してくれると、非常にうれしいのだけれど...

 どっちにしても、2007年のおサイフ携帯事情は、かなり楽しいことになりそうだ。

P.S.もっとも、個人的には(最近、私の周りで特に購入者が多い)MotorolaのRAZRや、Nokia、hctといった海外勢にも惹かれるが。日本の携帯メーカーは、「日本の携帯は世界一」の言葉に踊らされ過ぎ、キャリアのいいなりでイノベートすることを忘れて、魅力ある端末をつくる能力が落ちてきてしまった気が。国産メーカーだとカシオくらいしか惹かれないなぁ(あとはソニーエリクソン?)

投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2006年12月22日 | Permalink