A HAPPY NEW ERA!
あけましておめでとうございます。
新しい年、新しい時代、これから先もよろしくお願いいたします。
2011年は秋以降、予定に予定が重なり、恥ずかしながら結局、年賀状は書けないまま。
あまりブログとかを読まないであろう方のために少しだけ刷るかも知れませんが、
年明け早々に海外に行くこともあり、今年は1回休みにしていただければと思います。
以下の「つづき」では、年越しを目の前にいくつか感じたことを書かせていただいています。
2011年は、3月11日に地震と津波と原発の試練を迎えた日本も、その少し前に中東の春を迎えた国々も、ギリシアやロンドンの暴動やユーロの乱高下で激しく揺れたヨーロッパも、ニュージーランドも、シチリアも、そして北朝鮮も…さらには国だけでなく、偉大なリーダー、ビジョナリーを失ったIT業界も、世界中が「リセット」ボタンを押され、それぞれの人々が、それぞれのタイミングで、12月31日と1月1日の境い目よりかも、はるかに大きな「変化」を迎えた年だったと思います。
季節の移ろいを肌で感じ、1年の節目に襟を正すのはいいことだと思います。
ただ、今、我々がやらなければならないことの多くは、「1年」という短いスパンでの視野ではなく、もう少し長期の視点での展望を持つことだという思いを強めています。
2007年に「iPhoneショック」という本を出した頃から「今こそ、日本の家電業界は、秋のCEATEC、1月のCESといったイベントに追われて考え無しに走りつづけるのではなく、一度、立ち止まって、将来への展望をを見据えなければならない時期だ」と強く思いました。
その後、これはおそらく家電以外の業界以外にも言えることではないかと思うようになってきています。
実際、ファッションにしても、アートにしても、デザインにしても、日本は9月以降クリスマスまで次から次へと押し込むように色々なイベントが行われ、その1つ1つの内容をじっくり噛み締める時間も、余韻を楽しむ時間もなく、ただただめまぐるしく時間があっという間に過ぎてしまいます(これは私の時間管理が悪いせいかもしれませんね ;-) 。
ただ、もう21世紀に入って干支も一回り、ただただ流されて「昨日のつづき」をする流れは変えなければなりません。
十数年間、「昨日のつづき」を歩み続けた結果、我々は十数年前とはまったく違った社会環境、テクノロジー環境そして時間の流れの中で生きています。それなのに混雑した駅のホームで後ろの人に押されて「歩」を進めるように、あまり行き先も見つめずに、これまでと同じ歩調で歩き続けてしまっています。まるで崖に向かって更新するレミングのように…
我々は、これからのエネルギーの在り方を考えるのにしても、衣料、食品、住宅、交通、家電などのさまざまな産業を考えるのにしても、いや、さらには国家の在り方を考えるにしても、一度、リセットボタンを押された気持ちで、「1年単位」ではなく数年先まで見据えて考え直す必要があるのではないでしょうか。
私が、こう考えるのは、これは2011年の年頭の挨拶「 02011:the Revolution Goes On 」でも紹介した書籍「Clock of the Long Now」の影響も多分にあるのかも知れません。
(Steve Jobsが講演の〆めで引用した「Stay hungry. Stay foolish.」のStewart Brand氏の本です。人生観すらも変えるもの凄くいい本なのですが、残念ながら日本語版はありません)。
私も3月11日のできごとには衝撃を受け、ショックを受けた1人ですが、その一方で3/11以降の数週間、ここ東京でも普段とは違った「現場判断」が、そこかしこで見られ、日本が急に「皆が頭を使って動き出した」かのように感じ、非常に期待を持った側面もありました。
それまで、日本のそこかしこにはこびっていた思考停止による絶望的状態が、この「変化」で解決できてしまうような希望の光すら見ました。
ところが、何週間か目の月曜日を迎えた時に、ふと、また元通りの東京に戻ってしまいました。私は、これを「ずっと暗いままでいるよりはいいこと」と思う一方、何だかもの凄く大事な希望を失ったような複雑な気持ちで見ていました。
我々が過している「時間」は、もの凄い勢いで加速しています。
ちょっとでも気を抜くと、この新年の思いも、また何度目かの月曜日に押し流され、元の木阿弥になります。
ただ「昨日のつづき」に「歩」を進めるだけでは、いずれ行き着く先は「日本もかつては大国だった」とノスタルジアを語るだけの日々かも知れません(我々だけの話しではなく、次の世代、その次の世代もそうなることでしょう)。
日本人としての四季の移ろいの「風流」とその締めくくりの「1年」という単位は大事にしながらも、'90年代の産業がつくりあげた人工的な「1年」のスケジュールに流されない。今日が、そんな新しい時代の最初の日になればと思います。
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