iPhoneを通して考える通信のこれから:NetShareとNet Neutrality

iPhoneを無線ルーター化するアプリケーション、「NetShare」が登場した。

Engadget Japanese: iPhone 3GをWiFiモデム化する公認アプリNetShare、脱獄不要

だが、このソフトはその後、すぐに取り下げられる。
NetShare no longer available

iPhone開発者の規約に違反したこのソフトが、一時的とはいえApp Storeに通されたということは、App Storeの審査はアプリケーション単位で行うというよりは、企業単位の審査に基づいていることが明らかになった、と言えそうだ。今後、同ソフトを提供したNullriver社(他に「Tuner Internet Radio」を提供)にどのような処分が下されるかは気になるところだ。


ところで、このiPhoneの無線ルーター化については、さまざまな見方をすることができると思う。

先日、drikinとのSkypeチャットで、こちらのブログの記事が話題になった。

Thirのはてな日記:iPhone 3Gをモデム代わりにしてはいけない

回線を圧迫する無線ルーター利用は、他のiPhoneユーザーに迷惑をかけるからやらない方がいい、という内容で、正論だし、私もおおむね賛成だ。

しかし、その一方で、私はこの考え方には、賞味期限を設定する必要があるとも思っている。

私は今年から来年にかけては、まさに「ケータイ・ビッグバン」とも言える年であり、3つのレイヤーでさまざまな動きが活発化すると考えている(事業形態のレイヤー、端末テクノロジーのレイヤー、通信技術のレイヤー)。

 このうち通信技術のレイヤーではWiMAXやHSUPA、EV-DO Rev. Aといった通信技術(そしてその先にあるLTEなど)は、自宅の無線LANと区別がつかないほど高速な通信が売りになっており、おそらく携帯キャリア各社も「高速通信」をウリにしてくるはずだ。

 にも、関わらず、実際に契約を交わして端末を買ってみると「ネットワークに負担がかかるので、他の人のことを考えて、遠慮しながら使ってください」では、まったくもって看板倒れになってしまうからだ。

投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2008年08月01日 | Permalink

iPhone登場でSpider Proが大活躍

photo.jpg

※ PTPのページをみたらセミナー情報があったので、最後に追加しておきました。

Spider Proを使って、7月8日の0時から7月17日18:30までの間の
iPhoneのテレビ露出回数を調べてみたところ248回だった。

Spider Proにはコーナー内検索という機能がある。
テレビ内のコーナーに登場したアイテムを検索してくれる機能で、
例えばニュース映像の中にチラっと写っただけのポスターの中の文字まで、キッチリ検索できる。

考えてみたら今日は、あのiPhoneの大行列からほぼ1週間目。
テレビのニュース報道がSpiderから消える前に、
とりあえずすべての番組を保存して1枚のDVDに焼いておこうと思い、
コーナー内検索を実行してみた。

現在、私の家のSpider Proは、海外出張で長く家をあけることもあるので、
ビットレートを低めにして、その分、長い間、番組を保存できるようにしている。

探してみると、先週の8日くらいからiPhone関係のニュースがポツポツと出始めてきていて、
それ以降、今日にいたるまでの露出回数はなんと248回にもなっていた。
(残念ながら東京MXテレビはカウントできていない)

投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2008年07月17日 | Permalink

日本版人物検索は世界に根をはれるか!?

Safari006

「SPYSEE」という日本語の人物検索サービスが始まっていたようだ。

試しに自分の名前を入れて検索してみると、お馴染みの(そろそろ変更したい)プロフィール写真と過去に著書や過去に書いた記事、そして関連のある人物がグラフ形式で表示された。

SPYSEE: 林信行
ちょっと気になるのが人物を特定するURLの中に、人名を埋め込んでしまっている点だ。
同姓同名の人はどのようにハンドルするのだろう?

「Google Mapで広まった地図検索につづく、次なるビッグウェーブは人物検索ではないか?」
ちょうど1年くらい前、そんなことが話題に上った。
Tim O'Reillyも'07年4月のWeb 2.0 ExpoでデビューしたSpockをしきりに宣伝していた:

林信行のマイクロトレンド 第7回:地図の次は“人”──進化する検索

インターネット上のさまざまなサービスを、最終的にマネタイズしようとしたり、
実際にユーザーの間に定着させようとする時に、実は大事なのがいかに実生活/リアルの世界と関わりを持てるか、だと思っている。

Google Mapに代表される地図検索は、リアルの地理情報との対応があり、
それだけに利用者が表示される広告に抱く関心も高く、ビジネスとしての今後に期待ができる
(まだ地理検索向けの広告の出し方には工夫が必要だと思うが)。

それと同様に、まだ人物検索や時間検索もリアルとの関わりを築きやすい。
時間検索に関しては最近、ある大御所がビジネス化を考えていると話していると語っていた。実は私も以前から考えていた。
これはあれば非常に便利な技術であり、重要な技術でもあると思うが、マネタイズは難しそうだ。

一方、人物検索であれば、その人の著書やその人に関わる文献、あるいはその人が関わった作品やコンサートチケットなど広告的なものにも結びつけやすい。

また、今後、あとどれくらいかかるのかはわからないが、ジワジワと大きくなっていきそうなソーシャルグラフやオープン化時代のSNSといったものが広がる時代においても重要になってくるんじゃないかと思う。





投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2008年07月17日 | Permalink

iPhoneで、いい汗を流そう

iPhone launch Softbank Omotesando

最近、私も忙しいが、周りの人達も、皆、いい意味で忙しい。

以前、紹介した気になったら、その場で調べられる「マイ注釈」挿入ソフト「popIn」も、
その後、頑張ってメニューにwikipediaの機能を加えたり、以前からさまざまなところで話しているiPhone対応に向けて頑張っている(と、同時にわかりにくかったホームページも大改築中だ)。

小川浩さんの会社、MODIPHIもiPhone対応版を発表し、結構、好評を博しているようだ。

CloseBox and OpenPod: iPhone版MODIPHIが「だら見」に最適な件

iPhone対応アプリケーションを総覧できる「日本製iPhoneアプリ開発者リスト」も、
皆、仕事の合間の息抜き時間をつくって片手間ながら少しずつ情報を追加してくれている。
このwikiを提供してくれたConfluence Japanも、
今日は新たにRSSフィードを用意してくれたほか、
現在、iPhoneに最適化した1カラム表示に向けての改築を進めてくれている
(通常業務をつづける傍らで)
この改築が完成したら、popInのiPhone版やMODIPHIのiPhone版などの優れたWebアプリケーションやブックマークレットなんかも、wiki形式で紹介できればと思う。


ライター仲間も、みんな大人しい。
おそらく今月末くらいから大量のiPhoneムックや書籍が登場することだろう。
(私もそのいくつかには関わっていく予定だ)。

なんだか、iPhoneの登場で、
大勢の人がこれまでつづいていた惰性の仕事の延長ではなく、
「どうせiPhone関連の仕事をするなら、ここをこうして... いや、もっと、こんなことまでできるかも...」と創造力とクリエイティビティを発揮していい仕事に汗を流しているのを感じる。

みんなやっていることは違っていて、
周りが何をやっているか見回す余裕もなく、打ち込んでいる雰囲気が伝わってくるが、
それでいて、どこかでライバル達とも一体感であるとか連携感みたいなものを感じている。

実にいい雰囲気だ。

投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2008年07月16日 | Permalink

音の情景を楽しむ

IMG_3011.JPG
iPodが、なぜ世界的にあそこまで成功したか。
その理由はいくつもあると思うけれど、
無視できない大きな理由の1つに、
すっごくいいタイミングで「音楽って、実はすごく楽しいものなんだ」
と思い出させてくれたことがあるんじゃないかと思う。

音楽って本来、楽しいもののはずだったのに、

家電売り場では、
ひたすら高音質を追求している製品やら、小ささを売りにしている製品と、
楽しさを忘れてのスペック追求が続いていた。

一方のコンシューマーは、NapsterやらGnutellaなんかの登場で、
インターネット経由で、とにかく無料でやたらと手に入れまくることばかりをみんなが楽しんでしまい
じっくりと音楽を聴いて楽しむことが忘れられてしまった。
(実は私はNapsterなどは、ほとんど使ったことがなかったのだが、パソコン音痴の妹でも、
 当時、iTunesは知らなくてもNapsterは知っていたくらいなのだから、一般にもかなり
 広く浸透していたのは実感している)。

そしてこうした動きで、著作権団体やらレーベルやらが、やたらとDRMを声高に唱い始めて、
性悪説で、とにかく厳しくとりしまることが、やたらとニュースで取り上げられた
(私も記事を書いていた側の人間だ)。

そんな風に、音楽が「楽しさ」とか「心地よさ」といった、本来あるべきコンテクストから
切り離された形でばかり話題になっていたときに、
iPodは機械音痴にも簡単な使いやすいインターフェースで、
再びいつでもどこでも音楽を楽しめることの素晴らしさを再認識させてくれた。

あれから7年の時間が経ち、iPodはケータイ電話と融合するようになった。
iPhoneは、ここ数年騒がれていたWeb 2.0というものの便利さのすべてを、
いつでも思い立ったときすぐに、ポケットから取り出して簡単に利用できるようにした点が
なんといっても画期的だろう。

しかし、その便利さが注目されすぎるあまり、
再び音楽の楽しさが忘れられているような気がしないでもない。

投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2008年07月16日 | Permalink