Twitterのもう1つの魅力:気軽に失敗できること

[FooCamp '07より]

最近、iPhoneに加えてTwitter関連の講演をすることが多い。
多くの講演では、これまでいくつかの書籍やWebの記事で書いてきた「時間軸・親密軸・空間軸」の話しをするのだが、時間に余裕があるときには、私が考えるTwitterのもう1つの魅力に触れている:気軽に失敗できる魅力についてだ。

日本では、まるで「失敗したが最後」とでも言わんばかりに、異常に失敗を恐れる風潮があるが、「失敗は成功の元」という言葉の通り、実は失敗の経験を積んでいる人の方が、ものの見方にも多様な視点が盛り込まれ、奥行きがあるものだ。
シリコンバレーなどでは、こうした失敗の経験が評価される文化があり、それが数多くのイノベーションを生んでいると思う。
(関連記事: ascii.jp:「失敗を恐れるな」──日本の若き才能、シリコンバレーでベンチャーを学ぶ

2007年に参加したオライリー社のイベント、FooCampではベンチャーの経営者らがお互いの失敗を自慢し合うセッションも行われ(冒頭の動画。当時はまだSticamを使っていた)、Twitterの社員がその前身であるOdeoの失敗の理由を語る一幕もあった(なぜか音声の録音に失敗していたようだ。残念)。


投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2010年03月01日 | Permalink

ブログ移転しました。これからはnobi.comでよろしくお願いします


フリーコンサルタント兼ジャーナリストの林 信行(Nobi)です。
2003年2月に最初のブログ、「nobilog」をスタートした後、
2003年12月に2つ目のブログ、「nobilog2」をスタートしましたが、
今回、1996年から所有していた自分のドメイン、nobi.comに戻ってきて
本格的にブログ活動を再開することにしました。

新しいブログはiPhoneにも対応しています。

nobi.com

トリニティ、星川さんのFingeristを使った名演奏が光った
AUGM OITAでブログ移転を発表させていただきました。


投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2010年02月20日 | Permalink

未来をデザインするアップル:次はメディア・ハブ?

未来をデザインするアップル:次はメディア・ハブ?

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今年、まだ挨拶をしていなかった方、あけましておめでとうございます。
最近、情報発信はTwitterだけで手一杯になっていました(こちらでご覧いただけます→ Twilog.org/nobi)。
今年は思いも、場所(アドレス)も新たにブログを復活させようと思います(Stay Tuned!)

今年は2000年紀、2つめのdecade、'10年代の最初の年、いろいろ新しい変化が始まる年でもあります。

私もフリー編集者の山路達也さんと組んで、2000年代最初の10年に起きた変化をまとめようと取り組んでいます(できれば皆さんからのフィードバックを反映させた上で本にまとめようと思っているので、どんどん引用して意見をもらえればと思います): Firstdecade.net/blog

特に今年は出版、ラジオ、テレビといったメディアが大きく変わるターニングポイントになりそうです。
今日、私がおもしろいコンテンツ(雑誌やラジオ番組、テレビ番組やiPhoneアプリ)をどこで見つけているかというと、そのほとんどはTwitterになりつつあります。

Twitterで友人の「今、NHK総合でやっているドキュメンタリーがおもしろい」というツブヤキを見れば、テレビをつけて、選曲が何チャンネルになっているか、何が放映されているか確認もしないうちに、リモコンの「1」のボタン(東京でのNHK総合のチャンネル番号)を押しています。

Twitterで土曜日の夕方「今日のAVANTIのゲストは◯◯さん」と言って気になる人の名前が呟かれていたら、すぐにラジオを付けて東京FMを聞くでしょう。
「このニュースおもしろい」とリンクが書かれていれば、そのWebページを見るし、「本がおもしろい」と書かれていれば、その本を買う。

最近、新聞社のホームページのトップページも、好きなブログのトップページも、ほとんど見ず、おもしろい情報はTwitterで発見して、入り口をすっ飛ばして、直接、そのコンテンツの中身にダイレクトに飛んでいます。
これは昨年秋以降、modiphiの小川浩氏が講演などでも言っていたことだが、今ではTwitterから誘導される「人々のコンテンツ消費」力が、旧来のメディアにも広がりつつ、しかも、その数的なパワーも相当なものになってきたことは、Twitterを紹介した「週刊ダイヤモンド」新年号が大売れしていることによっても証明されているのかも知れない。

J-CAST:ツイッター企画バカ売れ 「負けた」雑誌のつぶやきとは

さて、Twitterと言えばiPhoneというくらい、Twitterの成功においても大きな役割を果たし続けているiPhoneだが、そのiPhoneを出すアップル社も、今、大きなメディアの変革を行おうとしている。
アップルは米国時間の27日に、Special Eventを開催し、そこで新しいカテゴリーのデバイスを発表する、と噂されており、その新デバイスが、メディアビジネスにも大きな変化をもたらす可能性があると言われている。


投稿者名 メンテナンス用 投稿日時 2010年01月22日 | Permalink

9〜10月期のイベント案内(+日本の製造業を変えるのはTCかも!?の概略)

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久々のブログ記事がイベントの宣伝でスミマセン。

実は2つ、3つほど下書きしてある記事があるのですが、例によって長くなりすぎて仕上げないまま数週間眠らせてあります。

9〜10月は何かとイベントが多い時期ですが、私が講演をするイベント、
1参加者として参加するイベントも一緒にいくつか紹介します。

9月25日(金)【出演】東京ゲームショウ・ステージイベント:「iPhoneから見たゲームの未来

最近、iPhoneはゲーム機としても大きな注目を集め始めています。
今、ゲーム業界にとって最大の課題は、タイトルのカートリッジ販売からオンライン販売への移行です。
実はこの課題を一番、最初にクリアして、圧倒的な成果をだしているのがiPhoneです(詳細はこちら
ゲームショウ・ビジネスデイ2日目のこのステージイベントでは、ゲーム機としてのiPhoneの最新事情を紹介する一方で、
・カプコン
・ゲームロフト
・コーエー
・スクウェア・エニックス
・バンダイナムコゲーム
の5社がiPhone用の最新タイトルを披露してくれます。中には年末まで発売にならない、国内初披露となるタイトルも含まれています。

 また最後には特別ゲストとして、最近、某ブランドとのコラボレーションを行ってテレビなどでも注目を集めたあの会社が、あの話題のソフトを紹介してくれる予定です。

ビジネスデイのため、入場は、事前登録バッジ、ビジネス招待券をお持ちの業界関係者とプレス関係者のみとなります。





投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2009年09月23日 | Permalink

以前からあった機能を「特別」にするiPhoneマジック

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歯医者での待ち時間、Twitter経由で知り合ったplanetofgoriさんのブログに
iPhoneは宣伝の仕方が巧みである」というおもしろい記事がある。

記事の中で、planetofgoriさんは、
・最新のiPhone 3GSの電子コンパスは、日本の携帯ではとっくの昔に搭載している

ことなどに触れており、iPhoneは宣伝の仕方がうまいと書かれている。

実際にiPhone 3GSが電子コンパスを搭載するはるか前に、京セラのau携帯は電子コンパスを内蔵して、EZNaviwalk(Navitimeの中でも最高峰のau専用版)との素晴らしいインテグレーションを果たしていた。
さらにiPhone 3GがGPSを搭載するはるか前から、日本の携帯電話ではGPSの搭載が当たり前になっていた。

ちなみにアップルは、何もしないでもiPhoneが話題になることに任せてか、
iPhoneの宣伝にはそれほどお金をかけていない。
わずかに放送されているCMの中でも、コンパス機能は無視されてしまった機能の1つだ。

私がメーカーの人向けに講演をする時、私と同年代の中間管理職の人からは冷たい視線を浴びる。
「ガラパゴス、ガラパゴスって言わないでください。」
「講演にあったiPhoneの〜〜機能と、〜〜機能と〜〜機能は、我々がとっくの昔、'xx年代にやっていた」
と言われたこともある。

私は30分以上の時間がある講演では「大事なのは仕様ではなく、人々の暮らしぶりにどんな変化をもたらすかのことだ」と言っている。

ゆるめの講演では、ブルース・リーの写真を出して「Do not think. Feeeeel.(考えるんじゃない、感じるんだ!)」と話しているのだが、
彼らには和製携帯の敵、「iPhone」の話しが出たとたんに、耳をふさいでしまうのだろうか。
そんな細かな話しは聞いていなくなってしまっているのかも知れない。
あるいは、私が早口すぎて、聞き逃しているのかも知れない。

もしかしたら、文字情報にすれば、少しは伝わりやすくなるのかも知れないと思って、新たにブログにまとめようと思った。

■「ただ搭載した機能」と「人々が使う機能」は別物

 まず訴えたいのは、「◯△機能を搭載している」ということと「〜〜の◯△機能が楽しい」というのは、まったくの別物、ということだーーこれはモノヅクリに関わっている人、たとえメーカーのハードエンジニアにしても、ソフトエンジニアにしても、最終的にGOサインを出す人にしても共通の認識として持ってほしい。

 例えば小学校の学芸会で「クルミ割り人形」をやったとしよう。子供たちも1ヶ月一生懸命練習して、たまにつっかえたり、横から先生が出てきて、次の台詞の出だしを言ってあげないと、止まることはあるけれど、一応、最後まで無事に終了する。
 観客たちにもストーリーの内容は伝わるし、文字情報としての台詞もちゃんと伝達されている。

 しかし、だからといってキエフ・バレエ団のクルミ割り人形を1万2000円払って見に行っていた人が、同じ学芸会のクルミ割り人形に1万2000円を払ってまで見てくる、ということにはならない。

 ただ搭載していることと、一般の人々を本当に楽しませることとは、まったく別のことだ。
 日本の携帯電話には、本当に数えきれないほど多くの機能が搭載されているが、あなたはそのうち、一体、何割くらいを本当に使っているだろうか(これは実際に携帯電話をつくっているメーカーの人たち、規格を押し付けている、といわれているキャリアの人たちにも聞きたいくらいの質問だ。)。
 10以上の機能を使っている、という人がいるだろうか。
 使わない機能をたくさん詰め込んでも、それはただの無駄だ。
 無駄に端末コストをあげて、アプリ開発者からビジネスチャンスを奪っているだけに過ぎない。
 iPhoneのアプローチは、最初から搭載している機能は最小限。その代わり余計な機能をつくらない分、1つ1つの機能をしっかりとブラシュアップして、人々が喜んで使いたくなるレベルにする、というアプローチをとっている。

 その結果、これはまだAppStoreが出てくる前の統計だが、8割の人が10以上の機能を使っているという結果を出している。

■「Web 2.0 in Your Pocketの革命」も使いやすさ、から生まれた

 中でも顕著なのが、私が言うところの「Web 2.0 in Your Pocket」の革命を引き起こしたWebブラウザのSafariだろう。
 iPhoneが登場する以前から、日本の携帯電話にもiモード(的なケータイサイト)だけでなく、パソコン用のWebページも見れた方が便利と「フルブラウザ」なるものが搭載された(呼び方が「PCサイトビューアー」だったり、「PCサイトブラウザ」だったりと、キャリア単位で名前まで囲みをしようとするところは非常に日本的)。

 最初の頃は、ブログディナーで「これでiモードのビジネスモデルは崩れる」、「携帯新時代突入だ!」などと騒いでいたが、実際には「使いにくさ」の壁があまりにも高く、せっかく、機能が搭載され、その後、定額で使えるようになっても、そんな革命は起きなかった。

 しかし、ブラウザをただ搭載しただけでなく、それを人々が初めてまともに使おうと思うレベルにまで昇華させたiPhoneが登場したことで、本当のモバイルインターネット革命がやってきた。

 これは、これまでの講演や日経BP ITproの連載でも使わせてもらったスライドで、日本のiPhone 3Gが発売される前、初代iPhoneの発売から8ヶ月後のグラフだが、スマートフォンとしての出荷シェアではiPhoneは28%で2位に甘んじているものの、実際にWebブラウジングに使われているWebサーバー側から見たシェアを調べるとiPhone(とiPod touch)が圧倒的で70%のシェアを占めているのが、わかる。
やはり、Webブラウザにしても、「ただ搭載する」ということは、目的の半分しか達成していないことを意味しているようだ。


(参考:iPhoneショック2:第1章 相次ぐ主要WebサービスのiPhone対応,IT業界の主戦場はIT Phoneへ

ちなみに、モバイルWebブラウザの利用シェアに関する統計は、最近のWWDC 09でも紹介された。そちらの最新の統計によると、iPhone/iPodタッチの利用シェアは65%、2位はAndroidで9%(iPhoneの6分の1ほど出荷していないことを考えると、そこそこ検討していると言えそうだ)となる。

電子製品に搭載された機能は、ただ搭載の有無だけではなく、
人々が本当に使おうと思う品質を達成しているか否かで評価されるべきだ。
そして、そうした評価をしようとすると、残念ながら、今の日本の携帯電話のレベルは非常に悲しいレベルになってしまっていると言わざるを得ない。


似たような例はいくらでも出せる。

リアルな絵を描くのが得意だからといって、ただリアルさを追求しているだけの画家では売れない。
どんどん写真と区別がつかなくなるからだ。
写真ではない絵画ならではの工夫がなければ誰も才能を認めてくれない。

講演者の肩書きがどんなに立派でも、ただ棒読みで原稿を読むだけの講演では人々の心は動かない。
聴衆が誰であるかを考え、その人たちが共感できる事例や旬な話題を用意し、
聞く側のモチベーションを高く維持することも講演者の仕事のうちのはずだ。

優れたお母さんたちは、幼児の健康を気遣って、
離乳食に、ただ、お医者さんに勧められた食材を入れるだけでなく、
子供たちが、それをいやがらずに食べるにはどうしたらいいかを考えて、
混ぜてみたり、隠してみたり、細かく砕いてみたり、と工夫をしている。

だが、日本の製造業では、こういった価値観が軽視されがちなのが残念だ。
工業デザインの世界やアートの世界では、今、日本人の作家の評価は驚くほど高いのに、
製造業の経営者たちには、そうした価値が伝わっていないのだろうか。

■楽しさはサードパーティーのソフトにも伝播している

もう1つ、私がよく出すストーリーを書こう。

投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2009年07月07日 | Permalink