世界遺産 秘めた力
とりあえず状況説明のメールだけ送って、ほとんど1日寝ていました。
といっても、病気だからといってそんなに1日中眠りにつけるわけではなく、ベッドからテレビも見ていたのですが、またしても、ザッピングしていただけなのに、おもしろい番組を発見してしまいました。
NHKスペシャルが放送80周年を祝ってつくった「世界遺産秘めた力 〜災害列島・日本より」
法隆寺の五重塔にしても記録に残っているものだけでも震度6以上の地震に5回以上(?ーうろ覚え)あっています。それにも関わらず1400年近い年月、無事に建ち続けています。
これと同様に全国にある三重塔、五重塔の中には、過去幾多の大地震を乗り越えてきたものがたくさんあります。
番組では五重塔、三重塔だけでなく、合掌造りの家々や厳島神社の本殿が過去何度にもわたる台風をいかにして乗り越えてきたかなど、今に残る世界遺産に秘められた自然災害をかわす力の科学的解明に挑んでいます。
厳島神社では本殿の周りの回廊(だったかな!?)が、非常にゆるくツギが当てられているだけで、波がくると、それにあわせて大きく上下に揺れてしまう。これが実は防波堤の役割を果たしているようでした。
合掌造りの家々は山間の谷間に、屋根が風の通り道に沿う形で建てられており被害を抑えています。
一番、時間をかけて検証されたのは、三重塔、五重塔でした。
番組では都立大学講師の藤田香織さんが、実際にこれらの塔にセンサーをしかけて、揺れる様子を解明したり、まったく同じ構造の数分の1モデルを実際に揺らしてみてその動きを確かめたりといった実験の様子もレポート。
五重塔は各層が独立した構造になっており、真ん中を周りに接しない形で心柱という長い柱が貫いています。
どうやら地震が起きると、まず下の層から揺れ始めて、その層が心柱にぶつかる、するとその上の層は心柱に押されて下の層とは逆の方向に揺れる、その上の層はさらにその逆と、揺れ幅が小さくなりながら上の層に伝わっていき、全体として地震のエネルギーを吸収してしまうようです。
これ以外にも各層を支えている台座の部分にも、揺れを吸収するしくみがあったり、現代人をも上回るノウハウには本当にびっくり。
ピラミッドづくりにしてもそうですが、どうしてこういうノウハウって知識として保存されずに消えちゃっているんでしょうね。
番組は心柱のしくみを応用した高層ビルや厳島神社のしくみを応用した新しい防波堤開発の様子を紹介して終わります(これってネタバレ!?)。
これらの情報、実は個別にはいろいろな番組で見たことがあります。藤田香織さんも前にやはりお昼のNHKの番組ではお見受けしたことがあります。
でも、きれいな映像でここまで、ちゃんとまとめられていると見る価値も高いと思います。
もし、再放送を見かけた際は、ぜひ見てみて下さい。
災害のこと以外にも、姫路城の修復などから、建立時と同じ方法でメンテナンスしている建築は、世界遺産として認める、という新しい世界遺産の基準が定められた過程とか、過酷な環境に建つ日光東照宮がどうやって、過去と同じ状態を維持し続けているかとかも紹介されています。
それにしても厳島神社の防波堤にしても、五重塔の耐震構造にしても、こうした古きよき日本の技術って、まるで柔(やわら)のように、強い力にうまく身を委ねながら、そのパワーを吸収していく、というのが共通点ですよね。
なんだか、こういうのがデジタルに応用されている例ってあるのかな?
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