macworld expoに関する4つの話
MACWORLD EXPO 2008の取材でサンフランシスコに来ている。
スティーブ・ジョブズに習って、4つの話をしよう。
1つ目は「海外取材の話」、2つ目は「記事の話」、3つ目はiTunes Movie Rentalではなく「劇場映画の話」そして最後は「Bookの話」だ。
まずは「海外取材の話」だ。
Expoの取材は、フリーランスにとっては大きな赤字となる。
旅費や滞在費、交際費と出費がかかる上に、こちらに取材に来ている間は、他の執筆の仕事が止まってしまうので収入も減ってしまうダブルパンチだ。
取材期間中のわずかな執筆記事も、最近は米国でのExpo開催と同時に、日本で説明会を行ってしまうため、米国にいるよりも日本にいた方が詳しい情報が得られることになるので、トリプルパンチとも言える。
ただし、最近はスポンサーや友人のおかげで赤字を最小限に止めることができている。
それどころか今年は厄年だというのに(そして厄除けのお守りを忘れてきているにもかかわらず)久しぶりに赤字にならずに済みそうだ。
これまでは大抵は、マイクロソフトMacTopia、Web媒体1つ、紙媒体1誌にスポンサーになってもらっていたが、今回は初めてMacTopia+Web媒体2つがスポンサーになった。
では、それらの媒体にどんな記事を書くのか。
ここからは2番目の「記事の話」だ。
ITmediaとascii.jpという競合するWeb媒体に同時にスポンサーしてもらうことは難しいと思い、最初は断ったのだが、ITmediaは「速報や取材記事」、ascii.jpは「分析記事」ということで折り合いがついた。
内心、「そんなかき分けはうまくいくのか?」と心配だったが、今のところうまくいっているようだ。
もっとも、なかなか余裕がなくITmediaも、書くのがかなり遅れてしまっている。
ただし、かなりたくさん特ダネも掴んでおり、どちらの記事もこれからが本番だ(最初、あわてて書きすぎたので、後半戦は少しじっくりまとめてから公開しようと思っているので楽しみにして欲しい)。
Expoは、新発表の製品も重要だが、その製品に対する人々の反響や、Expoというイベントそのものの雰囲気(熱気)や、出展者のちょっとした工夫なんかにも、日本の開発者、サードパーティーそして一般ユーザーに対しての重要なヒントが隠されている気がする。いずれの記事でも、「製品紹介」だけでは伝わらないオーラ的な部分を伝えられるように工夫した。
これまでの記事は、こちらのとおり:
ascii.jp
「Goodbye, MD」の次は、「Goodbye, 光学式ドライブ」──林信行が読み解くMacworld
ITmedia:
「MacBook Air」から「Time Capsule」まで、4つのテーマで語られたスティーブ・ジョブズ氏基調講演
Macworld Expoで一番“熱い”のはマイクロソフトかも
その薄さにため息が出る:Macworld Expoのアップルブースで気づいたこと、聞いたこと
Expo出展数は488へ増加:“生ジョブズ”への遠い道のり——「Macworld Expo 2008」開幕直前リポート
今年は何が出る?:Macworld Expoの会場で驚いた3つのこと
既に書いたように本番は、まだまだこれからで実はこの後、いくつか隠し球の記事が控えている。
もっとも、どうやらアップル社がブロガー向けの説明会を行ったようなので、ちょっと焦り始めている。
報道で大事なのは視点、多種多様な興味、多種多様な視点を持ったブロガーの方々が取材したとなると、もしかしたら特ダネの1つ目については先を越されるかも知れないと心配している。
万が一、そうなったらブースレポートで挽回させてもらおう。
Expoに出展するのはアップル社だけではない。マイクロソフトやアドビ、ファイルメーカーといった大型サードパーティーに紛れて、開発者数人の小さいながら優秀な製品をつくっているサードパーティーを見つけ出すことも楽しみの一つだ。
17年間の取材で、何度か素晴らしいサードパーティーを発掘した。最近はインタビューやミーティングが増えて、じっくりと1つ1つのブースを回る時間がなかったが、今回は最終日、昼飯を抜き、喉をからして、ほぼ全ブースをまわった。
短時間にあまりに多くのブースを観たため、まだ頭の中で整理しきれていないが、いくつかまだあまり紹介されていないおもしろい製品を見つけることができたと思う。
つづいて、3番目、「劇場映画の話」。
晩飯抜き、軽い朝食、昼飯抜きの取材の後は、ちょっとだけ自分へのご褒美ということで84分間の休養をいただいた。
LOSTのプロデューサー、J.J. Abramsがつくった映画「Cloverfield」を観てきた。
昨年、アップル社の映画予告編サイトに「01-18-08」という謎のトレーラーが載った。
後から数字の羅列は映画の公開日だとわかった。
それからしばらくして、映画のタイトルが、「Cloverfield」だとわかったと思うと、YouTubeに謎の世界各国語ニュースが掲載されはじめ、それらが「Cloverfield」に関係しているのではないかという情報が流れ始めた。
とにかく、今、全米でも一番の話題の映画を「01-18-08」に飛び入りで観れたのはラッキーといえよう。
感想?
さすがJ.J. Abramsという感じだ。
人の予想を裏切って、「えっ?」と言わせるのがうまい。
映画が始まってすぐに「えっ?」と言わされ、その後も「なるほど、こういう演出で来たか」と思わされっぱなしだ。
登場人物も徹底的にシリアスだったTVドラマ「LOST」と比べると、ちょっと主演キャラクター(じゃあ、ないのか?)の設定がコミカル過ぎた印象もあったが、最後までまったく展開が読めない楽しい映画だった。
映画のスタッフロールが終わるまで、何が起こるかわからないので、まばたきもできるだけせずに観たが、見終わった私の感想を一言だけ書かせてもらうと、「え?吉田ガヌは...._」だった。
もしかしたらガヌのことは知らない方が、より没頭して映画を楽しめるかも知れないので、ここではあまり触れずにおこう。
最後はMacBook Airの話ではなく、「Book」の話だ。
ただ、MacBook Airについても、一言だけ書いておくと、MacBook Airの薄さと美しさは、ちょっと感動モノだ。
あの薄さを実現するために、削ったモノも多いが、それはそのままサードパーティーのチャンスでもあると思っている。
「日本の満員電車で押されても大丈夫かが心配だ」と聞くと、展示員に「すごく頑丈だよ。手で押したり、ひねったりしてごらん」と言われた。たしかに薄いアルミ板1枚だとどうかわからないが、アルミ板2枚が貝殻のように重なっていることもあってか、なかなか頑丈な印象だった。
今回は取材が赤字にならないということもあれば、出荷まで2週間あるし、「とりあえずオーダーしておいて厳しそうなら後でキャンセル」という裏技も教えてもらい、すぐにオーダーしてしまった。
MacBook Airのおいしい話はスポンサー向け記事にとっておかなければならないのでこれくらいにしよう(笑)
ただ、こちらにいる間に、他の本についてうれしい知らせが来た。
「iPhoneショック」も「スティーブ・ジョブズ〜偉大なるクリエイティブ・ディレクターの奇跡」も、予想以上に売れていると言うことで増刷がかかったそうだ。
どちらの本も、大型書店でないと見つけにくかったり、後者については本棚への収まりが悪いので、あっても変なところに置かれていたりすることがある。そこへ来て売り切れ店も出てきたようなので、ちょっと入手しづらいかもしれないが、ぜひ、じっくり立ち読みし、納得した上で買っていただければと思っています。
Web経由で買うときには、ぜひ、上の書名のリンクをクリックして、「参考になった書評」を書いているブログ記事からアフィリエイト・リンクをたどって買うことにしましょう!
(アフィリエイト=「いい記事に対するチップ」くらいの感覚で、いいレビュー記事にアフィリエイト収入が入るー>いい記事が増えるー>本を買う文化が育つー>アフィリエイトビジネスも発展する、という循環ができるといいですよね...)
そうそう、今、amazonを見ていて、また1つおもしろい発見をしました。
ジョブズの本の紹介をみると、下の方に、こんなことが書かれている。
各カテゴリー内でのランキング:
1位 ─ 本 > 歴史・地理
2位 ─ 本 > ノンフィクション
3位 ─ 本 > コンピュータ・インターネット > ハードウェア・周辺機器
なんと、ジョブズ本、歴史書の中で1位だそうです。
iPhoneショックは「本 > ビジネス・経済・キャリア > 出版社別 > 日経BP社」で6位だそうです(が、その分、メーカーの方からいろいろいい反響を直接いただいているので、それはそれで満足。この本がきっかけでMACWORLD視察に来ていたメーカーもあったようです)。
話があちらこちらに飛びましたが、ITmediaにもascii.jpにも、そしてMacTopiaにも、まだまだMACWORLD EXPOのレポートがあがるので楽しみにしていてください。
最後に、これはどこの記事でも使うことがなさそうなので、基調講演の列に並びながら書いた、記事用の当日朝のメモを公開:
6時半ちょっと過ぎ
ホテルを出る
近場と言え、機材も重いので会場まではタクシー
Apple Storeの前を通る
アラブ人のタクシー運転手が「Apple Storeを指さして。あの会社、知っているかい?電話の会社だよ(It's a telephone company)」といったのが印象的
タクシーをおりるとき
「なんだこの列は?」と聞かれたので、
「これはその電話の会社のイベントだよ」と教えてあげた
6時45分頃会場に到着
プレスの列がMoscone West内ではなく、外だったので驚いた
こんなの初めて
7時近く
中に通される
プラチナパスが優先
プラチナパスの人数が多くてびっくり
入場料は1500ドルくらいだったはず
8時頃
オランダのOne more thingと仲良くなる
Webcastingを含めたコミュニティーサイト
HDVのビデオカメラを持ってきて取材
SMSを使ってライブキャストをするという
日本の携帯電話、P905iに反応
「これじゃあ、日本でiPhoneが売れるわけがない」
オランダではRFIDで個人情報を盗まれることに敏感なようだ
「オランダで一番、有名なMac開発者はAssistivewareのデビッド・ニーマイヤーだ。ぜひ取材してあげて」と伝えた。
オランダのMac雑誌は相変わらず「Mac Fan」一誌だけのようだ
8時10分
体力温存のために座ることにした。
8時30分
列が動き出しそう
この後、ホールに案内され、基調講演の取材が始まりました。
つづきは、こちらで...
MACWORLD Expo 2008、スティーブ・ジョブズ基調講演ストリーミング放送