訃報:Macの父、ジェフ・ラスキン氏亡くなる
APPLE LINKAGEさんでショッキングなニュースを知った。
Macintoshプロジェクトの生みの親、ジェフ・ラスキン氏が亡くなったようだ。享年61歳。
ラスキン氏は、現在、発売されているMacの直接の生みの親ではないが、アップル社で元々、Macintoshプロジェクトをスタートさせた人物であり、ユーザーインターフェースから考えたパソコンの重要性を説いた人物。
最近では「デスクトップ(GUI)は間違いだった」として、もう1度、最初からパソコンのユーザーインターフェースを考え直そうとした著書、「ヒューメイン・インターフェース」を著わしている。
Macのグラフィックエンジンとして長く愛されてきたQuickDrawも、ラスキン氏が1967年(私の誕生年)に書いた論文のタイトルから取ったもの。
実はMac OS(そしてLisa)のQuickDrawなど主要部分をつくったビル・アトキンソンはラスキン自身がアップルに引っ張ってきたという経緯がある。
しかし、やがてアップルの経営陣に疎まれていたスティーブ・ジョブズが、Macintoshチームにやってくると、ジョブズはそれを自分のプロジェクトにしてしまい、ラスキンが目指すのとはかなり方向性が異なる初代Macintoshを開発。その上、ラスキンを実質追い出してしまう。
それ以来、スティーブ・ジョブズとジェフ・ラスキンの間では、深い確執があったのだけれど、実はその後、ジョブズとラスキンは子供が同じ小学校に通っていると言う縁で再会し、学校の活動(問題教師をどうこうする、ということだったかも)で、関係が良くなる。
この話、どこで読んだのか本棚を探したけれど、文献が見つからない。後で、見つかった時点で追記しておきます。
ワンボタン・マウスの発明者でもあるラスキン氏、入力機器そのものからつくり直したいという考えの持ち主で、サードパーティー製の片手入力キーボードなどのデモもかけつけて、積極的にデモを行ってくれるいい人でした(ここいらへんの考え方や今のデスクトップを失敗と考えているあたりは、ダグラス・エンゲルバートにも通じるところがあるかも。2人の対談を聞いてみたかった)。
なお、ラスキン氏に関する情報はGoogleで検索するとたくさんでてくるが、Ricohのページや松田純一さんのページ、そしてAppleと題されたページがお勧めかも。
松田さんのページにも書かれているアップル・コンフィデンシャルを持っている人は、そちらを読んでみると詳しく載っている(今は入手が難しいし、時期的に買うことはそれほど強く勧められないかも...)。
ただ、どうせ買うなら冒頭でも紹介した「ヒューメイン・インターフェース」で、彼が目指していた「THE(The Humane Editor)」について読んでみるのも悪くないかも。
このプロジェクトはおそらく、これからも彼の遺志をついでThe Raskin Centerでつづけられることだろう。
なお、Raskin氏の公式Webサイトはこちら
ちなみに、Apple Linkageの元ネタになっていたサイトは、こちらで、ここに生前のラスキン氏のムービーがあがっている:
http://digibarn.com/friends/jef-raskin/index.html
ちょっと、このネタではAmazonアフィリエイトを入れる気にはなれなかったけれど、こういう時、例えばこのネタのアフィリエイトによる収益だけはTHE Humane Environment/Editorの開発金として寄付、とかそういうことができるようにならないのかな?