「Georg Jensenの100年展」
—北欧の光が育んだthe art of Silversmith
今日から森美術館で新しい展覧会が始まる。控えめでエレガントなシルバーウェアをつくるデンマークの工房、Georg Jenseーーその創業からの百年を振り返る「Georg Jensenの100年展」だ。
11月21日まで約3週間の開催だが、昨晩はその内覧会が行われた。
ヴィヴィアンナ・トールン・ビューローヒューベの腕時計「Watch 326」は最高にエレガントだし、ピッチャーとかの流線型のフォルムも果てしなく美しいけれど、正直に言うと、それほど自分向きの展覧会ではないと思っていた。
実はシャンパンを飲んで、軽く流して、もう1回、COLORSと小沢剛展を見てこようとも思っていた。
でも、予想以上に感動して、3回も繰り返し見てしまった。
(COLORSと小沢展の3度目は、また来月にでも行くことにしよう)
季節をテーマに分けて展示するという展示方法にも驚かされたけれど、展示方法ーーとくに照明ーーがすごくよかった。
2つ目から3つ目の展示室に行く途中、ちょっと無駄なスペースがあって「興ざめ」と思っていた。でも、角を曲がったら突如、「冬」の部屋の見とれてしまうほどきれいな光のアートが目に飛び込んできたは特に美しい。さらに、そこから「早春」を経て、「春」の部屋へと段々壁の色も明るく暖かくなっていくのがなんとも素敵だ。
「春」の部屋の入り口にあるキム・バックの「ボウル 1386」も、初めて見るわけではないと思うけれど、ついつい見とれてしまった。
そう、この展示「春」で終わっていることからもわかるように実は「夏」で始まっていて、各部屋にはその季節を思わせるデンマーク絵画も飾られているんだけれど、最初に駆け足で見ていた時には、最初の部屋が「春」なのかと思っていた。
実はそれほどまでにデンマークの光はデリケートで弱い?
「春」の部屋を出ると、大きなプラズマディスプレイでGeorg Jensenの百年を振り返るビデオが流れているんだけれど、これがまたおもしろかった。故ヴィヴィアンナ・トールンも登場する。その中に出てくるGeorg Jensenの職人が言うにはデンマークでは昼と夜の区別がつかない日々が長く続くのでその分、光には敏感なのだという。
なるほど!
同じ人がまた北欧のアートは常に自然を意識しているのが特徴だと語る。
最初の方で展示されている作品はたしかに自然をモチーフにしているものも多いけれど、後半のピッチャーやボウルの優美な曲線はいったいどこから...と、思っていたら、ビデオに一瞬、風に揺られるススキのような葉っぱがでてきた。その風になびく様が、頭の中でピッチャーやボウルの曲線につながった。そうそう、鳥の姿を連想させるピッチャーもあるし(実際にハミングバードとか鳥の名前がついているみたいだ。ピッチャーのうち1つは恐竜図鑑で見た始祖鳥を連想させたけれど)。
この最後のビデオ、面白いけれど長かった。おまけに目の前(CITY VIEW内)で、東京国際映画祭のスポンサーがDJを呼んだイベントをやっていてうるさくてほとんど聞こえない(字幕読んでいるからいいんだけれど)。
でも、今回の展覧会から森美術館の展示の設備もなんかぐっと大人の雰囲気になったかも(絵画作品の前に置かれる柵みたいな奴もちょっと立派になってたし)。
帰りにはちょっとしたお土産ももらえましたーーMAMCお得でかも ;-)
なお、帰りCOLORS/小沢展に行こうとも思ったんだけれど
そういえば見たいのにまだ見ていなかった「表参道2006展」を見てきました。
表参道同潤会青山アパート跡地が、2006年に向けて安藤忠雄さんの建築デザインのもと生まれ変わるわけるだけだけれど、それを中心に戦後から2006年までの表参道の歴史とこれからがわかる展示で、森都市未来研究所らしいミニチュア&テキスト&ビデオ情報満載の展示。Jensen展の余韻も残したかったし、ちょっとInformation overloadぎみだったので5分の1も見れないまま退散してきたけれど、こちらもおもしろかった。ただ、映像と音声の同期がとれておらず、音質も悪過ぎの安藤さんビデオはなんとかして欲しかった。
前に安藤さんの講演に行った時、東京の風景で一番、最初に見て感動したのが表参道だといっていたけれど、その表参道が、舶来文化の街から、若者の街そして世界トップレベルの建築家の建造物が並ぶブランド街に進化していく模様をあれだけ立体的にいろいろな角度から見れるチャンスはなかなかないかも。
なんか、東京国際映画祭もやっていて、CITY VIEW(展望台)に、立ち入り自由の小映画館もできているし、東京国際CG映像祭とかの周辺イベントもやるし、COLORSとか小沢展もやっているし、結構、今週末の六本木ヒルズは充実しているかも。
なお、COLORSと小沢展については、また今度行った時にでも書こうかな...
ただ、COLORSの赤の部屋はちょっとキューブリック映画の雰囲気かも、青の部屋もスタート直後は窓を閉め切っていたけれど、その後、しばらくして夜景が見えるようにしたところ(今もそうなのかな?)、最近の夜景って実は青色ダイオードの影響か結構、青い光が混じっていて結構、部屋の雰囲気をよくしていたと思う。
一方、小沢展はローテク・バーチャルリアリティーといった感じで、こちらも結構楽しめる。On Goingで製作中の展示もあるし...