時間の物質化、光の物質化

仕事がはかどらないので、BLOGエントリーで景気付け(!?)

一昨日、豊田市美術館の「河原温」に行ってきたばかりだが、
昨日が最終日というので庭園美術館に終わる2時間前に駆け込んだ。「田原桂一、光の彫刻」
なんだかおかげですっかりアートな週末になった。
「河原温 ーー意識、瞑想、丘の上野目撃者」は、時間の物質化を試みた作品が中心の展覧会だ。

"Today"と呼ばれるシリーズはアクリル・カンバスの上にゴシック体で作成日の日付を描いた「デイト・ペインティング」という作品をずらーっと並べたもの(全部ではなく今回は47作品がピックアップされている)。このデイト・ペインティングはその日のうちに製作できなかったものは廃棄するなどの厳しいルールのもと40年に渡って続けられてきた。
日付はアルファベット圏にいる時はその国の言葉で、それ以外の国ではエスペラント語で描かれている。
日記でもなく、a day in the life風の写真でもなく、河原氏の人生の中の1日を、やや無機質な日付の文字だけにエンコードするというあたり、なんだかちょっと宮島達男氏のアートにも通じるところがあるけれど、それをアクリル・カンバスを通してアナログな実世界のものとして物質化しているのが河原さんの作品、ということ?

today

「百万年ー過去」、「百万年ー未来」という作品もすごい。
人類の誕生は今から100万年前と言われている。そこで河原氏は100万年前(998000BCくらいから始まっているのかな?)から今にいたるまでの100万年間の西暦の数字をびっちり書き込んだ計4000ページ、過去編10巻、未来編10巻のバインダーをつくってしまった。
過去編の巻頭にはこれまでに生き、死んできたすべての人に捧げるという献辞が書かれている。そして、今から100万年後までの西暦を並べた未来編には「最後の一人のために」と...

kakomirai

この展覧会とは関係ないけれど、100万年の人類史の累計総人口(約160億人)の半分は1950年以後に偏っていると聞いたことがある(今日の人口は約60億人)。このたった50年間が過去編10巻のうちのどのくらいの厚みをしめるのか、ぜひ手にもって確かめてみたかった(作品はガラスケースの中。ミュージアムショップで文庫版が数万円で売られていたけれど、こちらもガラスケースの中)。

つづく、田原桂一がいどんだのは光の物質化。
パリに住み始めた頃、自室の窓を写真に撮り始めたことから写真家になったという田原氏の「窓」シリーズを含むたくさんの作品が展示されていた。
現代的なモノクロ写真とアールデコ様式の庭園美術館の内装がマッチするように工夫を凝らした展示も楽しかった。
一部の作品はガラスや石灰岩やアルミや布の上に印画したり、わざと厚手のガラスに挿んでそのガラスの中の光そのものを作品としていたり、「投影」、「透過」、「反射」といったナチュラル・フェノメナの要素すべてが作品に取り込まれている。

中でもやはり美しいのは、同じ被写体を印画したガラスを2枚ほど重ねている一連の作品だ。
まるでホログラムのような、リアルではないけれどリアルな立体感がなんだかたまらない。
この美術展はNHKの新日曜美術館でもとりあげられて、DVDに焼いてあるので、後からじっくり観るつもりだ。

hikari

この田原氏が生まれたのは1951年らしい。彼は100万年の累計人口のほぼ半分と時を共有してきたということか

投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2005年01月24日 | Permalink