ビッグデータ vs クリエイティブな直感
22年以上、世界トップクラスの科学者やデザイナー、経営者など色々な人々を取材してきたが、この人は「頭がいい」と思う人と話をすると必ず出てくる話題が「顧客や知人との対話の中に繰り返しでてくるテーマは重要なテーマ」というもの(このテーマ自体が、私の人生の中で繰り返し出てきているのが面白い)。
さて、私にとって2012年、繰り返し接することになったテーマがビッグデータ vs 人間の直感というものなのだが、今日、Twitterを見ていたら、New York Timesが、まさにこの話題を記事にしているのを目にした:
Sure, Big Data Is Great. But So Is Intuition.
It was the bold title of a conference this month at the Massachusetts Institute of Technology, and of a widely read article in The Harvard Business Review last October: “Big Data: The Management Revolution.”
エリック・リースの「リーン・スタートアップ」が本になる前から、彼のプレゼンに出てくるスライドを勝手に拝借して、さまざまな企業に、今の時代は、「製品の完成」をゴールにし、そこめがけて全力を投じるのではなく、むしろ製品を出してから、そこへの反応を集め、そこから学習し、改良のイテレーション(反復)をあげていった方が、成功率の高い製品がつくれる。
これはソフトウェアの開発だけの話ではなく、ハードにも応用できる考えで、現にアップル社もApple Storeなどを通して顧客からのフィードバックを綿密に集めている、という講演を2008年頃から何度もしてきた。
昨年秋、Gartnerのアナリスト、David Cappucioがあげた2013年の10のトレンドの予想を見たところ、その1つに「Actionable Analytics」というのがあるが、これがまさにそうした非ソフトウェアの分野にリーンスタートアップの考えを取り入れようとうものだ。
事業の中で取ったアクションを、個々の社員が持つスマートフォンやタブレットのようなデバイスを使って記録していけば、それがビジネスインテリジェンスにつながるデータとなる。そうしたアクションに対しての顧客らの反応を集計していけば、ビジネスをより成功率が高い方向に細かく軌道修正しつづけ、大きく道をそれない形で実践できる、という。
ただ、こうしたアナリティカル(分析的な)ビジネスの方法は、実は「外さない」だけの「他社と横並びで良い」状態をつくりだすだけで、なんだかんだいって最後の最後は、経営トップのクリエイティブな直感が重要なのではないかと最近、思い始めている。