iTMSは今後も99セント

CNet Japanの記事:iTMSの楽曲価格、99セントで据え置き--アップルと主要レーベルが合意
によれば、米国のレーベル各社がiTunes Music Storeでの楽曲販売価格をつりあげようとしていたが、結局は従来通りの99セントに落ち着いたらしい。

実はこうした楽曲販売料金の値上げ交渉の動きは水面下ではあるが、日本のレーベルの方が先行していたといわれている。アメリカでの動きは、日本でのこうした動きや着うたフルなどに影響を受けたものだといわれている。

これについては、一体、日本のレーベルが楽曲にどれほどの値段をつけようとしているのか気になっていたが、これについてはソニーのNetJukeを使い始めてわかった気がする。

NetJukeというのは、ソニーのインターネット接続可能なステレオコンポのことだ。
インターネットにつなげば、パソコンを持っていない人でも簡単に楽曲をオンラインから購入できるという製品。
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これが使ってみると予想以上にいろいろおもしろい。
実はラジオをHDDに予約録音機能もあり、InterFMのラジオ番組「PC Talk」に出演するようになってからは手放せなくなった。
楽曲販売のサービス、any musicも、iTunes Music Storeとは、まったく異なる文化を持つおもしろいサービスで、だまされたと思って触ってみて欲しいサービスの1つだ。
(これについてはいずれauのサービスも含めiPod対抗製品を紹介する別の記事で書きたい...と、実は2ヶ月以上思いつづけている)。

さて、話しを戻そう。問題はここで販売されている楽曲の価格だ。
iTunes Music Store同様に150円の曲や200円の曲もあるが、高い曲もある。
例えば子供にせがまれた映画公開中のアニメの主題歌は1曲368円というありえない価格だ。

高くても売れそうな曲はできるだけ高く売ろうという発想なのである。これではiTunes Music Storeのように、「検索結果をまとめ買い」といった豪快な買い方はできず、購入時にも慎重にならざるを得ない。

個人的には、どの曲も価格は同じだけれど、人気がある曲は、その分、大勢の人が買い求めるから儲けも大きいというiTMS的発想が好きだ。

たしかに安易につくった曲と、時間をかけお金をかけてレコーディングした曲では、曲の製作にかかるコストも違うかもしれない。でも、コストをかけた曲が売れる曲だとは限らない。聞く側もコストをかけてくれと頼んだわけではなく、アーティストの側が「きっと、その方がいいものがつくれるはず」と勝手にコストをかけただけのはずだ。

まあ、アーティスト本人がこの曲を高く売りたい、この曲を安く売りたいと主張して、それで値段が変わっているのであれば、それはアーティスト側の商才の問題であって、リスナーがどうこういう問題ではない。

しかし、その一方でこんなニュースも報道されている:
ITmedia:「デジタル音楽の売り上げ搾取」でアーティストがSony Musicを提訴

日本のマーケットスケールを考えると、楽曲単価を高くせざるを得なくなるという部分は、まったく理解できないわけではない。でも、なんとかコストをあげずに逆に音楽市場を活性化して売り上げそのものをさらに向上させるという方法もありだと思う。

今はiTMS-Jだけでなく、ソニーのany musicにしても、auのMusic Portal(やEZ FM!)にしても、そうしたポテンシャルを秘めたサービスが次々と登場していると思う。



なお、出版社からも強くいわれているので(言い訳 ;-)改めて宣伝しておくが、「アップル・コンフィデンシャル2.5J」では、iTunes Music Storeの誕生の物語だけでなく、同サービスが不正コピーの蔓延で不況にあえぐ音楽業界をどう救ったのかについても紹介した。



iTunes Music Storeはビデオもおもしろい。
この記事のBGV:Gabin: Into My Soul
Gabinのおもしろカッコいいビデオ、DEE DEE最高!日本ではあまり話題にならないけれど、フィレンツェのレストランでもかかってて思わず興奮(笑)

投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2006年05月02日 | Permalink