主戦場はEverywhere

一時はそこかしこに書かれていた「ユビキタス」という言葉が、最近なりを潜め気味だが、
それと入れ替わるようにして(社名に「ユビキタス」が付く会社が勢いを増し)、
本当のユビキタス時代がやってきた印象がある。

昨日、友人がサプライズの誕生日パーティーを主催してくれたが、
なんとその会場を発見した方法が、GPS情報を絡めたiPhone用Twitterクライアントの「Twinkle」
(なんと、お店のオーナーと主催者が職場も近ければ、住んでいる場所も近かったため、やたらとTwinkleで、よくお互いを見る関係になり、そこからメッセージを送って会場が決まった)。
ちなみに参加メンバーも主催者によってTwitterで集められた。

このノリだと、次回からは、パーティーの名目もTwitterで募集してみる、なんてことになりそうだ(笑)。

さて、最近、私の講演でよく言っている、iPhoneの登場による一番重要な変化は、
これまで数年間、Webニュースや雑誌、書店のITコーナーを騒がせ続けた「Web 2.0」の技術が、いつでも、どこでもポケットの中から取り出せるようになってしまったことだ。
 「便利、便利」と騒がれていた、Web 2.0系サービスの情報も、これまではパソコンの前に座って初めて得られるものだった。
 それが、冷蔵庫の中をみながらであるとか、ホームで電車を待ちながらでも、いつでも参照できるの時代になったのだ。

 新規Web 2.0系サービスの開発競争も一段落し、今、Web 2.0戦争は、新しいフェーズを迎えつつある。

 アップルのiPhone戦略については100%そうとはいえないかもしれないが、少なくともGoogleのAndroid端末については、端末が売れるかどうかよりも、これまでパソコンの前に座っている時しかサービスを利用してくれていなかったユーザーを、いかに長時間(24時間の生活時間のうち、いかに長く)サービスを利用し続けてもらうかの戦いにシフトし始めている。

 もちろん、このWeb 2.0戦争の第2フェーズではYahoo!も重要なプレイヤーだ。

 米国のYahoo!では、もう2年ほど前から「Yahoo! Go」という構想を発表し始めている。



実はこの波が、密かにYahoo! Japanにも広がり始めている。

明日(10/1)のCEATECにおける、ヤフー代表取締役社長の井上雅博氏の基調講演もそのあたりがテーマになりそうで、楽しみにしている。

Jerry Yang talking about Web 2.0 at Yahoo! Japan 10th Anniv event
実は、前の前の記事で紹介した、Yahoo!製の携帯電話スタンドも、このEverywhere構想に関係した取材をしたときにいただいた。

私は以前、Salling Clickerというソフトにであってから、世界中のほとんどの人が、1人1台、常に肌身離さず持ち歩く携帯電話は、やがて、デジタルライフスタイルの新しいハブ(万能リモコン)になるんじゃないかと考えており、講演のスライドでも、そう紹介している(ITproの連載でも、そう紹介している「第3回 iPhoneブームを終わらせないアップルの戦略」)。

6月にJEITAで行った講演から、講演スライドに新たに加えさせてもらったのが、こちらの写真だ(ちなみに講演のスライドは、常に6割近くを新規でつくりおこしている。なので、いつもギリギリまでスライドができあがらない):
P1160504.JPG

孫さんがSoftBank 923SHを紹介しているところだが、このSoftBank 923SH。製品ページにいっても、あまり書いていないが、シャープのAQUOS携帯と連携ができる。

「Y!」ボタンを長押しすると、最新型AQUOSの画面に、フルハイビジョン画質に最適化されたインターネットコンテンツ、「Yahoo! Japan for AQUOS」が表示されるのだ。

 いったい、どんなコンテンツが用意されているのかをみてみたいけれど、量販店にいっても、テレビの映像しか流していない、というわけで、Yahoo!さんにお邪魔させてもらってみせてもらった。

画面イメージはこんな感じだ:

Yj_aquos_topYahoo_menu_2

 CEATECにいって、シャープのブースを訪れる人は、「薄さ」だ、「大きさ」だといまだにスペックシート競争を続けている新製品もいいけれど、ダマされたと思って、この「Yahoo! Japan for AQUOS」対応テレビでFlickrの写真コンテンツとフルHD解像度のYahoo!マップ(の航空写真)を見せてもらうといい。

 量販店でよくみるテレビ映像(動いている映像)では、フルHDテレビの本当のきれいさはわからないが、このFlickr写真とYahoo!マップは、圧巻だ。
 もし、デモの準備があるようなら、ぜひ923SHとの連携も試してみて欲しい。
 まだ、ちょっと「惜しい」ところもあるけれど(特に携帯電話側の赤外線ポートの位置!!)、それでもテレビ用のリモコンで同じことをやろうとしたら、ちょっと大変そうな操作が、ソフトウェア次第で自由にボタンレイアウトを変更できる携帯電話の特性を実感できるデキには十分なっているんじゃないかと思う。

 Yahoo! Japanは、ソフトバンクケータイはもちろん、AQUOSやBRAVIAといったテレビとの連携、そして、これからはカーナビとの連携も深めていく模様。

 これからのWeb 2.0企業は、日常生活のどのシーンで、どれだけ多くのプレゼンス(存在感)を持てるかがカナメ。

 そういう意味では、携帯電話が一番、重要だけれど、それ以外にも、これまでのIT業界では、誰も考えつかなかったようなコラボがどんどん、生まれてくるはずだ。

 個人的には、一番、最初にTOTOやINAXと手を組むIT企業はどこかにも注目している(笑)。


Everywhereの時代をeverywareと綴って紹介した名著はこちら(英語)
Everyware: The Dawning Age of Ubiquitous Computing
Everyware: The Dawning Age of Ubiquitous ComputingAdam Greenfield


Amazonで詳しく見る
by G-Tools





投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2008年09月30日 | Permalink