掘れるQuickTimeムービー
(内容更新しました)
渋谷で土曜日まで毎夜開催のFriends of "X"に行ってきました。
なかなか楽しかった。バスケとか藤本さんといった日本の第一線で活躍中のデベロッパーが作品を展示しているんだけれど
中でも小池さんの「えもん」は「俺にも触らせてくれー」と叫びたくなるようなおもしろい作品。
これが一言で表しにくいソフトなんだけれど
言って見ばバーチャル彫刻ソフト!?
小池さんはそもそも「ロクロ」をつくりたかったとかいう話で
実際に適当に絵を描いておいてこれをグルっと回転させると簡単に3Dオブジェクトが
できあがる(「えもん」は柿右衛門のえもんとか...)
もっとも、ここまでは3Dソフトでもよくある機能
実はさらにすごいのは、こうしてつくったオブジェクトを掘ってしまうことができること
ブラシツールのようなものを使って簡単につくった3Dオブジェクトの上にペイントをすることもできれば、虫食い穴のようなものをあけることもできてしまう。
実はこの「えもん」はデーターの記録の仕方に最大の特徴がある
普通の3Dソフトは物体を数式で表しておいてそれをレンダリングするというしくみで
言って見ればドロー系グラフィックソフトにZ軸をたしたようなつくり
これに対して「えもん」は言って見れば3Dのペイントソフト
例えば512x512x512ドットの立体画像の場合、実際にこれだけの点1つ1つについて4ビット(赤、青、緑とアルファチャネル)を持っている。
つまり、1つ1つの3D作品は512MBとか数GBとかめちゃくちゃ巨大なデーターなんだけれど、これが最新のPower Mac G4なら結構、さくさくと動く。
オブジェクトを掘る、というのはつまりその部分のデーターを消しちゃう(あるいはアルファチャネルを透明に設定しちゃう)こと。で、ここで削りかす(ベクトルの向きの問題で消えなかったドット)がでるあたりもいってみれば現実っぽい
距離と呼ばれるスライダーがあって、これをドラッグすれば、物体の好きな位置での断面をみることもできる。
ところで、タイトルに「掘れるQuickTimeムービー」と書いたけれど
俺が感動したのはこの機能
実は、この「えもん」にはQuickTimeムービーを立体オブジェクト化する機能がある。
これがすごい!
ムービーの立体オブジェクト化とはどういうことかというと
ちょうどフィルムの一コマ一コマを切り取って積み重ねていったような状態になる
冒頭の静止画はこの立体ムービーオブジェクトを側面から見たところ
おもしろいのがたまにこの立体ムービーオブジェクトの側面に人の顔がうかぶあがることがある(図版の女性の顔)
これはこの顔の人物が一瞬横を向いたりして顔を水平方向に回転させた時、タイミングがあうとこうなる。
ちなみにこうしてつくった3Dオブジェクトも掘ることができる(つまり顔のあたりだけ3秒後の映像といった具合に掘ることもできる)
結構、巨大なデーターでを扱うソフトなだけに3次キャッシュの容量を超えるデーターになったとたんにググっと重くなるらしいけれど、それでも最近のPower Mac G4なら結構、さくさく動くようだ。
「これまで見たことがない不思議体験」と「何かに使えそうという強い印象」を感じさせる逸品。この機会にぜひ見に行くことをお勧めしたい!
個人的にはArs Electronicaへの出展を勧めたい。医療(CTスキャン関係)とか材料工学での応用なんていう話もあったけれど、このソフトはアートとしても優れていると思う。