直感力こそ大事
月曜日、九州大学で行った学生向けセミナーで、外村仁さんが非常に重要なことを言っていた。
「直感力を大事にしろ」
こういうことを言うと「当てずっぽうということですか?」とか「そんないいかげんな!」という人がいるという。だが、実際、最後にモノを言うのは、この直感力ではないだろか。
私の知る人で、この直感力が鋭い人と言えば外村さんもそうだが、
元アップルの前刀さんもスゴい。
例えば彼が昔いた某メーカーの新製品なんかについて意見を求めると、すぐに「あ、あれはいいね」とか「いや、あれはダメでしょう」といった答えが返ってくる。
返答があまりに早いので、適当に答えているのかな?と思うと、「〜〜の部分のつくりがしっかりしている」とか「あれはきっと製品イメージをよくしようとして、初期のロットはかなり部品もいいものを使っているんだろう」といったことをスラスラと答える。そして、それを聞いているそのメーカーの人が「その通り」となる。
メーカー品だけに限らず、ちょっと野生の勘のようなものを感じることがある。
それに例のあの人、スティーブ・ジョブズが、まさにこの直感の人である。
Mac OSチームに古くからいるエンジニアの友人も「言われて悔しいこともあるけれど、確かに彼の直感の通りにすると、なるほどそれが正しい、と思わされることが多い」と語っていた。
最近の著書でも書いた開発中の部屋にズカズカズカっとジョブズが入ってきて「このボタンをもう少し大きくして真ん中に置いた方がいい」と言われた人物だ。
以前、大阪大学コミュニケーションデザイン・センター(CSCD)がApple Store Ginzaで「知デリ」というイベントを開催した。
某雑誌でレポートする予定が、新製品のニュースで流れてしまった。
ただし、このセミナーの内容は、非常におもしろく今でも深く記憶に残っている。
特に京都大学大学院理学研究科教授でゴリラの研究をしている山極寿一さんのお話は、ぜひまたお聞きしたい。
セッションが終わった後、どういうコンテクストだか忘れたが、ゴリラにとって「善悪」、「好き嫌い」それから何かもう1つの中では、どれが一番反応が早いかと聞かれた。答えは「好き嫌い」だという。何故なら「好き嫌い」は直感であって、頭で理由を考えたりする必要もないからだ。
直感というのは、DNAに組み込まれた記憶だったり、過去の積み重ねられたリアルの経験から生み出されてくるのではないだろうかと思っている。
ある程度、世の中の摂理や法則も、ある程度、リアルの経験を重ねていくと、脳だか体だかの細胞に、それに対する反応のプログラムが組み込まれていき、そこから直感力が生まれてくるんじゃないか。