ブログは会話 + 情報のディスカバリー

THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2007: DAY 2

「ブログは会話」これは伊藤穣一さんがよく言う言葉。

ブログの記事に1点の間違いもない完璧なものを求められていたら、堅苦しくて何も投稿できない。
 ある程度、思い込みや勘違いもコミコミにして、ある程度は「エイヤ!」で投稿するからこそ自分の意見が言える。それだけにブログでは記事そのものだけではなく、コメント(や場合によってはTrackback、人によってはdel.icio.usやはてなブックマークも)での対話までも含めて1つのコンテンツと捉えて欲しい。

 ただ、今日のブログが至らないところは(そしてSNSの方が進んでいる部分)、自分が書き込んだコメントに対して返信があっても、再びそのブログを訪問しないとわからないところ。
 この問題を解決すべく、しばらく、coCommentを試したが、残念ながら期待した変化は得られなかった(サービス自体はよくできているので、今後、また機会をつくって再挑戦したい)。
 そんな中、昨年末、Six Apart社がTypePad Connectというサービスを開始。これに衝撃を受けた。

 TypePadのブログに、TypePad ConnectのIDでログインしてからコメントを書き込むと、そのコメントに対して、返信があったときに、それがメールで送られてくる。しかも、そのメールに返信する形で、メールソフト(あるいはiPhone)からコメント返しができるのだ。
 これは「ブログの会話化」を、さらに一歩、押し進める革新的技術だろう。

 さて、昨日のブログにいしたにさんからトラックバックがあった。
みたいもん: すべてが記録される時代のログ:私的原体験編

 この記事で私の記事と一緒に平田さんの記事が紹介されている。

dh memoranda:次になにをするべきなのか

この平田さんの記事を読んで、いくつか「Web 2.0 in your pocket」的な視点で思い出したことがある。
twin peaks

平田さんの記事は、「ロングテールの中でのディスカバリー」つまり、溢れるばかりの情報の中から、いかにして重要な情報を発掘するかについての議論だと思う。
つまり、「relevancy」の問題だ。
nobilog2: 今年のキーワード:relevancy (2005/1/7)

私が最近、思っているのは、結局、たくさんある情報のうちrelevancyが高いのは、
次のいくつかの評価軸でスコアが高い情報じゃないかと思っている。


  1. 時間軸:最新の情報だから価値がある
  2. 人軸: 自分の親しい友人が発する情報だから価値がある
  3. 空間軸:すぐ近くで発せられた情報だから価値がある


1つずつ細かく見てみよう。

時間軸:
より新しい情報を検索するツールとしては、technoratiなどに代表されるブログ検索がある。
(残念ながら、好きな日時を指定して、その時点の情報を探すタイムマシン的な検索は、まだ実現していないが、Googleなどは日々の索引をアーカイブ化しているようなので、これを実現しやすい立場にある)。


人軸:
友達が発する情報を可視化するツールといえば、もちろん、Socialmediaのことだ。ブログ、SNS、そして最近、もっとも重要なのはTwitterなどのマイクロブログやFriendFeed、そして筆者も関わっているmodiphiのSMARTなどが、これに当たる。


空間軸:
ここで上の2つは「Web 2.0 Yesterday」、卓上のWeb 2.0でもできることだが、この3つ目の空間軸を実現するツールとして注目すべきなのが、この話しばかりで恐縮だけれど、「Web 2.0 in your pocket.」だ。

直前のブログ記事で、私のWBS 2.0での講演を紹介。その内、ビデオ4/5で一部途切れていると書いたが、実はそこで話していたのが、このGPSとSNSが連携すると、一体世界がどのように変わってくるかという話しだ。
iPhoneユーザーならもうご存知だろう。

TwinkleやBrightKite、NearMe、Exposure Proそしてloopt(米国のみ)のようなアプリケーションがあると、身の回りの情報を可視化できる。中には、ある場所にいくと、その場所に関連したTo Doリストの項目を表示するアプリケーションもある。

今、世の中は情報で溢れかえっている。
これまでの10年はいかに情報を集約するかが重要で、RSSリーダーなどのツールが注目を集めてきたが、これからの時代は、集まり過ぎてしまった情報の中から、いかにしてrelevancyの高い情報を浮き立たせるかにこそある。

modiphiのSMARTで表示されるツブヤキから抽出されたキーワードの表示なども、そうした方向性への挑戦の1つだ。最初から成功できるものではないが、つくってみたからこそ何が失敗かを先に学んで、次の改善に活かせる。

投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2009年01月02日 | Permalink