Android/Open Handset Alliance:ベールを脱いだGoogle Phoneの正体

Gphone_2

これまで「Google Phone」、「gPhone」と噂されていた技術がついに発表された。
大方の予想通り特定の製品ではなく、世界のすべての携帯電話のためのオープンなプラットフォームだった。

Android
Open Handset Alliance


 残念ながら初期のメンバーに、日本の携帯電話メーカーは入っていないが、NTT DoCoMoとauの2社は参加しており、日本でもOHAの標準に準じた端末が登場することは十分期待できそうだ(ソフトバンクモバイルは、まずはiPhoneを獲得して、しばらくOHAについては様子見、ということだろうか)。
 ただ、オープンというからには、ぜひ、日本のメーカーにも直接、参加してもらって、キャリア経由ではなく、自らの足で立って真のイノベーションを目指して欲しいところだ。

 私としては、iPhoneの登場と、Android/OHAの登場で、世界の携帯電話が一気にスマートフォン時代に突入するのではないかと予想しているのだが、どうだろう。
 ちなみにここでいうスマートフォントは、フルキーボード内蔵端末といったカタチの上でのスマートフォンではなく、これまでの通話専用端末から徐々に進化してきた携帯電話ではなく、パソコン世界の文化を背景に携帯通信機能を融合した製品のことだ。

 日本市場でAndroid/OHAが受け入れられるということは、世界市場で成功している海外の携帯が、今後、ますます勢い良く日本市場に傾れ込んでくる可能性もある。
 2008年にはWiMAXなどの動きもあるし、来年は携帯電話業界激動の1年になりそうだ。

 Android/OHAについては追って、どこかの媒体に詳報を書くつもりでいる。

 なお、日本の携帯電話メーカーに、この激動の時代の生き抜いて欲しいという思いで、ITproにて「iPhoneの衝撃」という連載を書いてきた。興味のある人はぜひとも目を通してみて欲しい。
 (世界中が注目するiPhoneの凄さを例にして、日本のメーカーにそこから何か学べるものがないかというつもりで書き綴った連載だが、コメントを読むと、心配していた通り「それはアップルだからできること」といった具合に最初からあきらめムードの意見も目立つのが少々残念)。

 連載を書いた身としては、このAndroid/OHAとiPhoneが、どのような関係を築いていくのかも気になる関係だ(Safariと、Googleも開発に関わっているFirefoxのような関係?)。

投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2007年11月06日 | Permalink

群衆の叡知サミット、締め切り間近か!

Office Depot (in the very early morning)
気がついたら最後の更新からあまりに時間が経ち過ぎて、nobilog2が真っ白になっていた。

真っ白な状態で、1つだけイベントを告知。

TechStyle社企画の「群衆の叡智サミット2007」が11月1日に開催する。
詳しくはこちらのページから:
http://techstyle.jp/wocs/

「群衆の叡智」と聞いても、ほとんどの人は「?」かも知れない。
英語で言うと「Wisdom of Crowds」で、こちらのWikipediaのエントリーに詳しく書かれている:
Wisdom of Crowds

例えば、ジャック・トレイナー教授の「ビンの中のジェリービーン」という実験がある。
ビンいっぱいに詰まったジェリービーンの数を人に当てさせようと思っても、なかなか正確に当たられる人はいない。
しかし、被験者のグループに予想を出させ、意見を総計したところ極めて正確な数値になったという。
全体予想より正確な人は、常に数人はいるが、全体の予想は常に、かなり正確な答えになるという。

同様にスペースシャトルチャレンジャーの事故があったとき、シャトルに関係のある企業の3社の銘柄の株価が一斉に下がったが、2社は下げ止まった。ただ1つ下がり続けた会社が、実は事故の本当の原因に絡んでいた(と後でわかった)といったこともあったそうだ。

ジェームズ・スロウィッキー著の書籍、『「みんなの意見」は案外正しい』という本では、冒頭からこうした例がたくさん紹介されている。
「みんなの意見」は案外正しい「みんなの意見」は案外正しい
ジェームズ・スロウィッキー 小高 尚子

角川書店 2006-01-31
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テックスタイル代表取締役の岡田良太郎氏とは、一度もあったことがなかったが、いつも近い波長のようなものを感じていた。
ある日、彼がこの「群衆の叡知」をテーマにしたイベントをやりたいと誘いをかけてきた。
私はスロウィッキーの本は、まだ読んでいなかったが(実は今もまだ途中)、伊藤穰一さんがとりあげていたスコット・Eページの本、「difference」との関係も含めて、このテーマには興味を持っていた。
The Difference: How the Power of Diversity Creates Better Groups, Firms, Schools, And Societies
The Difference: How the Power of Diversity Creates Better Groups, Firms, Schools, And SocietiesScott E. Page


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岡田氏と渋谷で会うことにして、Foo Campなどの経験を語ると、彼もそれらの話を気に入ってくれて意気投合。
私なんかで大丈夫?かなり身分不相応なんじゃないかと思いながら、
同イベントの3つ目のパネルに参加することになった。

その他のパネルもそうだが、参加される方々はそうそうたるメンバー。
果たして私なんかがパネルで出てもいいのか、と心配になる。

しかし、スコット・ページもスロウィッキーも、「群衆の叡知」には意見の「diversity(多様性)」が重要であることを強く主張している。

一度はエクアドルに住み、日本でドイツ人幼稚園に通い、外人とイジメられた過去も含め、
人と違った経験、人と違った見方をすることなら、少しだけ得意かも知れない。
最近、同じようなニュース、同じような話題が、同じように紹介されているのをよく見かけるが、
私はそうなりそうだと思うと、すぐに逃げて、「どうやったら人と違うアプローチができるか」と考えてしまう。

このdifferentiation(差別化)、最近、我ながらよくできたと思ったのは、ITmediaのこちらの記事:
Mac OS X 10.5説明会:
「Leopard」店頭デモで確認しておくべき機能は?

Mac OS X "Leopard"の説明会に参加していたプレスは思ったよりも大勢いたようだ。
私は元々、他の仕事で忙しいので参考程度で、記事にするつもりはなかったのだが、ITmediaの編集者に「どうしても」と頼まれた。

しかし、他の仕事のかねあいもあり、あまり時間はかけることができず、1つ1つの機能を説明する記事は書けない。
他のメディアでは、しっかりとした記者の方々が書くしっかりとした記事が載りそうだし、私なんかがあっさりと書いたのでは、誰も私の記事なんか読んでくれない。

そこで記事を書く前に、考えに考え、あの説明会の内容を、翌日、Apple Store Ginzaに並ぶ人達がどのように役立てられるかを考えた。その結果、1人では試せない機能の話にフォーカスを絞り、「店頭デモで確認しておくべき機能」というアングルを取ることにした。その考えにいたる時間は30分もかかっていないが、それによりいつもの私パターンの網羅型記事に比べてトータルの時間は節約できたはずだ。

 このブログの読者ならご存知の通り、私は文章も雑で、散漫になりやすく、推敲が足りない。
 (おまけに語意が少なく、日本語の誤用と誤変換も多い ;-) )
 決してライターというタイプではなく、どちらかというと、この角度とアイディアで勝負をしているタイプだ。

 でも、それだけに、上記のイベントでも、ちょっとだけ他のperspectiveを加えるのに役立てるかも知れない。

 イベントでは、パネルの他にも、いろいろな企画を用意していて、参加者がそのまま「集合知(または集合愚)」の被験者となり証人ともなるかもしれない。

 仕事が溜まっていて、申し込み状況などをあまり把握していないが、もし間に合うようで、興味がある人は、ぜひ、今からでも参加を申し込んでみて欲しい。

投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2007年10月29日 | Permalink

新しい音楽の楽しみ方、「Rolly」いよいよ発売!

Rolly launch event
ソニーのRollyがいよいよ発売になる。

8月、ティーザーサイトで軽くブローをかました後、
9月はじめにはガジェット系のWebサイトにティーザームービーを戦略的にリーク、
そして9月中頃には、大々的な発表会とパーティーを繰り広げ、
そろそろみんなが気になり始めていた頃、ドーンと製品を発売。

パーティーで実物を見て以来、ブログに書かなきゃ、と思っていたのだけれど、
「忙しい」ループに陥って、すっかり書くのが遅れてしまったが、
なんとか発売前日には間に合った。

Rollyのどこが、気に入っているかというと、
「新しいライフスタイル」というと大げさかも知れないけれど、
「新しい楽しみ方」あるいは「新しい生活シーン」を提案していること。

iPod以降、アップルからは「ポケットに入れて持ち歩く」、「衣服のように身に付ける」、「車の中で聴く」、「リビングで聴く」といった「聴く場所」についての提案はいろいろあったけれど、
どうやって聴くかの提案はあまりなかったと思う(「and up」などiPod周辺コミュニティーからは、確かにそうした提案があったけれど)。

そんな中、いきなり出てきた「Rolly」。

Webで大きな話題となった(バイラル広告の好例といえそうな)ティーザームービー(あの「Disco、Disco、Disco!」っていう奴だ)、あれはRollyの世界のかなり先のビジョンを描いたものだった。

世の中にRollyと音楽にあわせてRollyを踊らせる文化が根付いた近未来を想定したビデオだった。
その時代には「Rolly」という遊びがあって、参加者が身体に「Rolly」のようなバンドを巻いて激しく踊りまくる競技というか遊びが浸透している時代のカルチャーシーンを映像化したもの。


実は「Rolly」発表パーティーでは、それ以外にもいろいろなムービーが公開されていて(混んでいてよく見えなかったが)カップルの男性がRollyに告白みたいなのを吹き込んで、それをカフェのテーブルでふりつきで再生してみたりといったRollyの利用シーン、Rollyのある生活の情景を見せていた。
(このあたりの映像はリークしないのだろうか?それとも発売が始まってから?)

 実はこういった利用シーンというか、生活シーンへの提案を含めた新製品って、最近のソニーには欠けていた気がするけれど、本当はこういう製品をだせることこそがソニーらしさのような気がする。

投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2007年09月28日 | Permalink

ドット絵好きに響く&design展、今日から

今日から新宿のリビングデザインセンター Ozone 6階、リビングデザインギャラリーにて、OZONEサポート展「&design展」がスタートしました(10月9日まで・10:30〜19:00・水曜休館・入場無料)。
&design exhibition '07

&designさんは昨年だか一昨年の100%designで取材+名刺交換をして、
今日のレセプションの招待状を頂いていました。

&designさんといえば家電をドット絵っぽいカタチにしたり、ドット絵をあしらってみた作品・プロトタイプ・製品で有名。MacやWindowsのアイコンをデザインしたアイコンの女王、スーザン・ケアも喜びそうです。
&design exhibition '07
今回の展覧会は彼らの2005年からの作品の集大成といった感じ。
3点の新作も飾ってあります。
&design exhibition '07
(手前のガラスのテーブル。天板をどう支えているかに注目!ぜひ実物を確認してみてください)

新宿または初台近くまで、行かれた方は、ぜひ気分転換に覗きに行ってみてください。

投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2007年09月27日 | Permalink

多様性が魅力のTHE NEW CONTEXT CONFERENCE開催

 今日からTHE NEW CONTEXT CONFERENCE 2007がスタートした。
 これは個人的に国内で開催するIT系イベントの中で、もっとも楽しみにしているイベントだ。イベントは26日(水)、いっぱいまでやっており、当日参加の枠も少しはあるようだ(Web業界のビジョナリーが講演する26日のセッションスケジュールはこちら

Created with Admarket's flickrSLiDR.
 NEW CONTEXT CONFERENCEというと、昨年、日本で大きな話題になる前にセカンドライフやLast.fmを紹介したイベントでもあるが、私がこのイベントを気に入っている最大の理由は、情報を先取りしたいからではない。他のIT系カンファレンスに違い多様なテーマを扱っているからだ。
 例えば昨年のカンファレンスでは、パネルの1人としてブラジルの文化庁デジタルカルチャー部門コーディネーターのClaudio Prado氏が名前を連ねた。
 今年のオープニング基調講演もソニーコンピュータサイエンス研究所取締役副所長の北野宏明氏が「ネットワーク・イノベーションのビジョン」というタイトルで、生物の免疫システムなどのしくみとネットワークルーター、人気Webサイトなどの相似性についての話をした。
THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2007
 いきなり途中から参加した人の中には、「なんでITのカンファレンスで生物の講義を受けなければならない」と疑問に思う人もいるかもしれない。
 しかし、実はこれこそが重要なことなのだ。

 一見関係のないようなテーマに類似性が潜んでいる事は意外に多い。そして、そうした他のパターンを学ぶ事が、いろいろな場面で、思わぬヒントを与えてくれる事がよくある。

 世の中のあらゆるものごとは意外なつながりを持っている。

 例えば最近、多くのWebデザイナーが注目する黄金比は、オウムガイの形とも類似性がある。
 SNSでの人のつながりや脳内ネットワーク、航空網、河川の形状といったものにも類似性がある。
 世の中、一見関係ないようでいて、実はものすごく関係が深いものが多い。
 もしかしたらゴルフのゲームを通して人生論を語ったり、歴史物の戦国武将やアメリカンフットボール/プロ野球の監督の行動を見て企業のリーダーシップを語るのも、これと通じるところがある。

 いくら話をしても、なかなか答えが出ないディスカッションが、まったく違うバックグラウンドを持つ人のひとことで、あっさり解決、ということだってある。
 解決に至らないまでも、自分とまったく異なるバックグラウンドを持つ人が、その人なりのフィルタを通して意見を述べてくれる事で、それまで見慣れたものが、まったく別のものにみえてくることはよくあること。

 おそらく、これまで関係ないと思っていた事が、頭の中で結びつき、新しい回路(ネットワーク)が生まれる事で、人間は少し賢くなるのではなかろうか。

 今日のカンファレンスで伊藤穰一さんが紹介していた「The Difference: How the Power of Diversity Creates Better Groups, Firms, Schools, And Societies」という本がおもしろそうだ(実は彼は同じ本を「Mozilla24」のパネルでも紹介していた)。本の中では、問題の解決方法について1人の専門家に聞くよりも、素人の集団に聞いたほうがいい回答にたどり着ける事が数学的にも解説されているという。

THE NEW CONTEXT CONFERENCE 2007

 大抵のIT系カンファレンスは、IT系の人々が中心だ。毎回2〜3社新しい参加者がいて、古株の大手が2〜3新発表をしてくれるので、IT系業界の中では根を張る議論ができるかもしれない。しかし、インターネットに精通していない一般消費者にも深く浸透させたい技術やサービスについて語るのであれば、もしかしたら、アーティストや百貨店の経営者など、ITと関係ない人の意見や視点ももらえたほうがいいのかもしれない。
 ちなみに北野先生の話によれば、人間の腸の中には、脳の重さと同じくらいの腸内細菌がいて、人間の身体の中の細胞をバラバラにしてDNAを調べると、全DNAのうちの95%までは、種類豊富な腸内細菌のDNA、その人固有のDNAはほんの5%ほどしかないらしい(このあたり、もし、私の理解が間違っていたら、誰かコメントで訂正して欲しい)。こうした腸内細菌の多様性が、我々の身体を守っているのだろうか。腸内細菌を取り除いたラットは、すぐに死んでしまうとい話だった。

 日本の社会で暮らしていると、プライベートの時間があまりにも軽視され、常に仕事に追われてしまいがち。そして、追われた生活を続ける事で、自分の将来の糧となる自分の中の多様性が制限されてしまう。
 そう感じている人にとって、THE NEW CONTEXT CONFERENCE(コンカン)は、ちょっとしたバランス系サプリのような役割を果たしてくれるーーまったくITに関係のない話ばかりだと、参加者が自分の頭の中で、話をつなぎあわせなければならないので大変だが、「コンカン」では、例えば北野氏の話にしても、生物の話をしながら、それをWeb 2.0やLongtailといったIT系の話題に結びつけながら話してくれるのもいいところだろうーーちなみに多様性に富んだイベントといえば、先日、行われたMozilla24もなかなかよかった。

 THE NEW CONTEXT CONFERENCE、今年はかなり参加者も増えていたようで、パーティーも大盛況だったが、万が一、今年逃した人は、ぜひとも来年こそは参加して欲しいと思う。

 ちなみに、私は今回のイベントの様子を「All-in-One INTERNET magazine 2.0」でレポートする予定だ。記事の掲載は、もう少し先になるかも知れないが、ぜひとも読んでみて欲しい。

以下、この話にやや関係がある話題:




投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2007年09月25日 | Permalink