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Pinterestが教えてくれたSteve Jobs「1000のNo」の感覚

かれこれ2年近くPinterestにハマっている。

 

知らない人のために簡単に説明すると、Pinterestとはインターネットで見つけた素敵な画像を建物なら「建物」、アート写真なら「写真」といったボード(自分専用のエリア)にピン留めしてコレクションをつくり、その世界観を楽しむサービスだ。

 

例えばこちらは「死ぬまでに行ってみたい素敵な旅行先」の写真を集めたボードだ。


私のPinterestの「死ぬまでに行きたい素敵な場所」ボード

インターネットでせっかくステキな写真を見つけても、大抵は「わー、きれい!」で感動してそのままで終わってしまう。

 

でも、Pinterestなら、自分の心を躍らせるいくつかの分野それぞれについてボードをつくって、そこに素敵な画像や動画をピン留め&コレクションすることが出来る。

 

ITにやや詳しい人だと「そんなことはEvernoteでもできる」とか「私はtumblrを使っている」とか言うかも知れない。たしかに機能で見ると近いことが出来ないわけではない。

 

でも、例えば友達の誕生日に選んだステキなギフトでも、きれいなラッピングであげるのと、そこらに余っていたシワシワのコンビニ袋に入れて渡すのとでは、受け取る側の気持ちの嬉しさが違うと思う。

Pinterestは(少なくとも英語メニュー表示の状態では)ステキなモノをステキなまま(あるいはさらにステキに)コレクションし、人に見せたり、たまに自分でも覗いたりして楽しむ箱として「美しさ」の点でも非常に魅力的に仕上がっている。

見た目だけの問題ではない。Pinterestでは、そうやって収集したステキな画像を、いくつでも自由につくれるボードに分類してコレクションを簡単に仕分けできるのも特徴だ。

さきのようにカテゴリーで分類することも出来れば、人によっては赤いものだけ、青いものだけと色で分けて収集している人、ハートに見えるもの、さらにはこれは後日、別の記事で紹介したいが、もっと抽象的な分類で集めたピンで1つの世界観をつくる、といったこともできる。

 


黒いものばかりを集めたボード


西洋風ながら侘び寂びを感じる写真

これだけでもPinterestを使ってもらう理由としては十分だが、このサービスの魅力はまだまだある。

クリエイティブな仕事をしている人達から大きな支持を得ているPinterestは、やはりクリエイティブな人達のことがよくわかっている。

ボードに収集した画像は出典元にリンクされるという緩やかな原則がある。Webで見つけた素敵な画像を自分のPinterestのボードに投稿するには、ブックマークレットというものを利用する(IT苦手な人には、この設定だけ難しいかも知れないが、説明通りに勧めれば2分で終了する。また、やらなくてもPinterestは楽しめる)。

この設定をきちんとこなした上で、インターネットで見つけた素敵な画像をピンすると、自動的にピン留めすると、ちゃんとその画像を見つけたページにリンクする。

つまり、後でボードを見返して「この商品をやはり買いたい」と思ったら、ピン留めした写真をクリックして、大元のページに行き商品を注文することも出来る。これはあなた自身だけでなく、あなたのボードを見ている他の人達も同じで、素敵な写真をあなたが見つけてきて、それに他の人々が共鳴することで、写真の大元を宣伝してあげることができる。初期のPinterestのユーザーの間には、ちゃんと大元とのつながりを残そう、という文化がそれなりあった。
 

Pinterestに似ているtumblrでは、誰がその画像を気に入ったか(リブログという操作をしたか)は可視化されているが、出典元を明確に残そうという文化はそれほど強くない。

今ではPinterestにピン留めされている多くの写真の出元が、このtumblrになってきているので、最近では出元がわからないピンも多い。私も昔は画像検索という技術で出典元を探して、リンクを編集していたが、今は作業が追いついていない。この少し面倒な作業をしている人が、私以外にも数名いることからも、Pinterestには、やはり、何か自然とクリエイターに対してリスペクトを払おうと言う気持ちを生み出す文化的要素が根付いているのではないか、と勝手に思っている。

 

 


Pinterestに登録した写真は大元にリンクしている。リンクが違う場合は訂正することも出来る。

さて、ここまではただのPinterestの魅力紹介だが、こちらのブログ記事で一番、伝えたいのはそこではなく、私がPinterestを通して「プチSteve Jobs体験」ができた、という話だ。

 

Steve Jobsは、かつてビジネス雑誌のインタビューでアップルがイノベーションを続ける秘訣を聞かれて「1000の事柄にNoという」と答えていた。この言葉は最近、アップル社の公式ホームページにある「Designed by Apple in California」というビデオでも使われている。

 

 


Designed by Apple in California(日本語版では「かぞえきれないNo」と訳されている)

この言葉を「『1000言ってもNo』と言われるので提案しない方がいい」と解釈されると、まったく逆効果。アップルではそれだけ常に色々な人が面白いアイディアを出し続けている、という意味に捉えて欲しい。

 

それだけ皆が常に頭をフル回転させていろいろ提案しているが、「やっぱり、これはアップルの基準に満たない。止めよう」と、かなり高水準のアイディア以外を潔くバサっと切り落とすことで、アップルは本当に卓越して素晴らしい製品しか出さない会社としての体面を保ち、ブランド力に磨きをかけている。

これは非常に勇気がいることだが、アップルの今日での成功を考えると、決して無駄なことではないと。いや、アップルだけではない、多くの有名なアーティストや有名デザイナーが、この潔さと勇気が求められる「No」を毎日繰り返しているはずだ。

「Yes」、「Yes」と何でもくっつけてしまうと、それでなんとなく仕事をやった満足感は得られるかも知れない。でも、それを洗練させて世の中に出す本当のクリエイティビティーとは、そこから「No」を繰り返して物事を洗練させていく行為の中からこそ生み出される。

と、理屈ではわかっていても、なかなか、この感覚を身につけるのは難しい。

私もいくつか書いたスティーブ・ジョブズ本の中で「1000のNo」の話を書いてきたが、やや頭でっかちに想像だけで捉えている部分があった。

 

その「1000のNo」を実体験として、

私の感覚に結びつけてくれたのがPinterestだった。

 

 

2012年1月、最初にPinterestに参加した時、Pinterestのサービス側の設定で、自動的に私のTwitterやFacebook上の友達合計数千人をフォローしていた。

この状態で見たPinterestは、実はあまり魅力的なサービスに見えなかった。

 

 


しかし、中にはとてつもなく素敵な建物や旅行先の写真もあり、これを自分のボードにrepin(ピン留めする)しながら緩やかに楽しんでいた。 最初はきれいな建物写真と海外のこれまで知らなかった素敵な場所の写真を発見できることだけが動機でPinterestを使っていたが、正直、今ほどはPinterest愛が強くなかった。


私が素敵と思う建物を集めたボード

しかし、ある時、あまりにも趣味の悪い画像ばかりあげる人がいたので、その人のことをunfollow(つまりフォローを取りやめる)ことに決めた。

 

これが「Eureka」モーメントとなった(つまり「我、発見せり!」の瞬間)。

 

誰だったか忘れたが、よく知る人だし、別にTwitterやFacebook上では、変わらず友達のままだし、まだ使う人の少ないPinterestでunfollowしたからといって、本人も問題にしないだろうという判断だ。 ここであることに気がついた。 Pinterestのホーム画面には、自分がフォローしている人が最近、ピン留めした写真の一覧が表示されるのだが、その人1人のフォローを止めただけで、Pinterestのタイムライン(ホーム画面)に並ぶ写真が、とたんに引き締まり、魅力がグっと増したのだ。


アンフォローによるタイムラインの変化before(再現)


アンフォローによるタイムラインの変化after(再現)

 

これが私的には素晴らしい発見だった。

 

試しにもう1人、あまりよく知らないけれど自動的にフォローしていた人を1人アンフォローしてみると、Pinterestのタイムラインが、さらに引き締まってステキになった。

 

嫌な奴と思われるかも知れないが、気がついたら、その後、結局、1000のNoどころか数千のNoをつづけて、最初は確か2000人近く自動フォローしていた相手を、次々とアンフォローし最終的に500人ほどにまで減らしてしまった(その家庭でステキと思う人は新たにフォローしていた)。

 

ホーム画面がめちゃくちゃ(私的に)素敵な世界になっていた。

キャパを大きくして、幅広い価値観を受け入れることは、それはそれで重要だが、一方で「これは私向きじゃない」というものに対して次々と正直にNoをつきつけることが「世界観づくりの1つの方法だ」とこの時に学んだ。

 

「私はこういう世界観、こういうテイストを目指す」と言って、それに沿うものをあげようとしても、実は結構、難しい。

 

例えば答えが合っている必要はないので、まったくの自分の偏見的な想像でいいので「レディー・ガガ」あるいは「きゃりーぱみゅぱみゅ」が好きそうなアート作品を20個思い浮かべてみて欲しい。

 

最初の3〜4個までは簡単だが、そこから先は難しい。

何かピカソの作品を思い描いたら、そこからの連想でピカソの他の作品をあげることはできるかもしれないが、だんだんと一つのベクトルからの連想に集約していって、やがて、行き詰まってしまう。

 これに対して、あらかじめ1000のアート作品を検索で見つけてきて、そこから「これは違う」「これも違う」と2人のイメージに合わなさそうなものをはじいていくと、それなりに多種多様でいいバランスを保ちながら、しっかりと相通じる価値感でまとまった集合体がつくりやすい。

 

Pinterestは、この「No」ということで、絞り込みながら一つの世界を築きあげていくアプローチの素晴らしさを私に教えてくれた。

 

ちなみにPinterestが、もう1つ素晴らしいのは、Twitterのように人単位でフォロー/アンフォローをするだけでなく、なんとボード単位でフォロー/アンフォローができる点だ。

 

例えばある人と洋服の趣味はめちゃくちゃあっていて、その人がピンしている洋服は全部見たい!と思いながらも、「洋服の趣味は好きだけれど、アート作品の感性は合わない。」と思ったとしよう。

そんな時、Pinterestでは、その人の他のボードにピンされたものはすべてフォローしつつも、アートのピンだけはアンフォローするといった具合にボード単位でフォロー/アンフォローが出来るのだ。

 

これが自分のホーム画面に表示される画像を、非常に細かくデリケートに調整できる秘密となっている。

クリエイティブな仕事にたずわる人、そうじゃないと思いながらもちょっと興味がある人は、自分の感性を磨くための訓練として、ぜひPinterestを使い始めてみて欲しい、と思う。

 

実は私がPinterestから学んだ人生レッスンは、まだまだたくさんある。

 

再び、できるだけ時間をあけずに、他の魅力も紹介していけたらと思う。

 

ちなみに私のPinterestのページはこちらになる:

http://www.pinterest.com/nobihaya/


投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2013年12月03日 | Permalink

  • Re:Pinterestが教えてくれたSteve Jobs「1000のNo」の感覚

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  • Re:Pinterestが教えてくれたSteve Jobs「1000のNo」の感覚

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