久々の大仕事

いい製品は、いいインスピレーションを与え、いいディスカッションを生み出してくれる。

ここしばらくブログもmixiも更新が滞っていたのは、急に引っ越しが決まったことに加え、
iPhoneの発表で急に忙しくなったというところが大きい(執筆中の書籍も長い間、中断してしまった>スミマセン)。

いくつかの会社の経営者と会って、話しをしてきたり、
いくつかの雑誌から取材を受けた。

そして、自分自身でもいくつか記事を書いた。

そのうち、3つは自分でもかなり気に入っている。
1つ目は、ascii.jpに書いた「iPhoneは大きな森を生み出す“最初の木”」という記事だ。
Oomori
書きたいこと、書くべきことが、あまりにたくさんあったため、前、後編にわけることになった。
後編が長過ぎて、前中後編にまたがてしまった。

iPhoneは大きな森を生み出す“最初の木”(前編)
iPhoneは大きな森を生み出す“最初の木”(中編)
iPhoneは大きな森を生み出す“最初の木”(後編)

前編はmac24というWebニュースサイトに掲載されたが、
その後、ascii24のリニューアルで、中編と後編はascii.jpに掲載されるということも重なり
読んでくれる人がいるのかハラハラしながら見ていた。

しかし、評判は上々なようで、友人のshioさんが取り上げてくれたのをはじめ、いくつかのブログでもこの記事の話題を見かけた。パーティーや飲み会であった人達からも、この記事の話題が出ることが多く驚いている(最近、いろいろと接点が多い松村太郎さんもこの記事を読んでくれていたようだ)。

2つ目は、テクノロジー・リーダーのためのコンピューティング情報誌、「COMPUTERWORLD」で、表紙にも唱われている「iPoneの衝撃!」という記事だ。

月刊 COMPUTERWORLD (コンピュータワールド) 2007年 04月号 [雑誌]
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同誌のHOT TOPICS、昨年はInternational CESの話題を書かせてもらったが、今年はCESから話題を奪ってしまったMACWORLD Expo、特にiPhoneの紹介の記事となった。HOT TOPICSには、それまでにも何度か書かせてもらったが、編集長の河原さん自身が「iPhone」に大きな衝撃を受けたようで、特大の11ページの記事になった。
おまけに世界中で、米国に本社を持つIDGの強みを生かして、ところどころにサンフランシスコ支局からのコラムが入っていたり、日本の他の媒体ではなかなか見かけないiPhoneの写真なども掲載されている。

「大きな森」では、iPhoneの背景にある意味合いなどを深く追った。
それに対して「iPhoneを衝撃発表!コンピュータ・ベンダーの名を捨てたアップルの行く手」と題されたこちらの記事では、iPhoneの詳細な機能や、そのすごさをできるだけ細かく紹介したつもりだ。

同じComputerworldには、他にも見逃せない記事がある。
特集の「エンタープライズセキュリティー」も読み応えがある。
個人的にこれから重要になっていくだろうと思っていた
「エンドポイント・セキュリティ」についての記事をしっかり押さえてあるのがいい。

そしてもう1つが、いよいよ本格的に広まりそうなイントラ・ブログ/社内SNSの記事だ。
そしてイントラブログの代表的事例といえばカシオ計算機の「C's Cafe」だが、
それをつくり、ここのブログにもたまにコメントをしてくれている川出浩司さんや同じグループのリーダーの原裕一さんも登場していて、イントラブログ導入の経緯などを6ページにわたって詳細に語っている。
導入事例などで重要な情報は、実は細部に宿んでいることが多いが、6ページもあると、それがたっぷり読めてなかなかいい。

私が元々、川出さんと知り合ったのは毎日コミュニケーションズのこちらの本を共著していたときだ。
ビジネスブログブック〈3〉イントラブログと社内SNSの可能性ビジネスブログブック〈3〉イントラブログと社内SNSの可能性
小川 浩 佐藤 匡彦 林 信行

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この本を書いていたときには、今すぐにでもイントラブログが広まってくれることを期待していたが、実際にはまだまだこれから。ただし、今年こそは大きな動きが起きるのではと期待している。


話しが横道にそれたが、私が先月書いたお気に入り記事の最後を飾るのはこれ:
MAC POWER (マックパワー) 2007年 03月号 [雑誌]
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MACPOWER最新号の
「iPhoneを生んだ偉大なるクリエイティブ・ディレクター Steve Jobs」という特集記事。

仕事が貯まっている時期に発注を受けたので、最初は資料の提供などの協力に止めるつもりだった。
移動途中の恵比寿でスペイン料理を食べながら特集の構想を聞いていて「これは受けなければならない仕事」だと確信した。俄然やる気が出て、何を食べたのかも覚えていない。帰り道では、ページ割をどうしたらいいかばかりを考えていた。

1年に数回、インスピレーションとやる気を与えてくれる仕事が来る。今回はそれが年明け早々にやってきたらしい。

記事の内容は、iPhoneというアップルの歴史を大きく変える新製品の発表を契機に、
いくつもの革新的製品で世の中のしくみを変えてきた、
スティーブ・ジョブズという偉大なクリエイティブ・ディレクターの足取りを今一度、確認しようというもの。

アップル創業からiPhone発表にいたるまでのジョブズを、貴重な歴史写真や伝説に残る名言でまとめている。
もっと、細かく足取りを追いたい人は、ジョブズの伝記本を買った方がいいかもしれない。
大谷和利さんが訳したスティーブ・ジョブズの再臨―世界を求めた男の失脚、挫折、そして復活や昨年話題になったスティーブ・ジョブズ-偶像復活などいい本がたくさんある。
拙著の「アップル・コンフィデンシャル2.5J(上)」、「アップル・コンフィデンシャル2.5J(下)」でも、それなりに詳しくジョブズ像を伝えている。

だが、MACPOWERの記事ではジョブズがこれまでに残した名言や、ジョブズについての名言を中心に記事をまとめた。

最近ご無沙汰していた雑誌編集長から「記事読みましたよ。悔しいぐらいにいい」といった感想をもらったりと、こちらの記事も評判は上々のようで、こちらとしてもうれしい。

ちなみに同じMACPOWER、個人的にはMoMAの「Skeepwalker」の記事が載っていたのがうれしかった。
他にも桑原茂一さんと宮沢章夫さんの対談やらギャラリー桜の木の記事がよかったなぁ。


さて、MACPOWERというと、以前、私自身が深く関わっていたこともあり、いろいろな人からいろいろな人から評判を聞く。

多くは「あの雑誌はいったいどうなっちゃったの?」といったものだ。
雑誌の売れ行きが、まだ好調な間に大英断で方向転換に踏み切ったMACPOWER。
昔からの愛読者の中には、それを悲しみ、今のMACPOWERを批判する声が多い。
高橋編集長をはじめ、MACPOWERの編集者たちも、そのことは重々、承知している。

でも、いつまでも同じような記事を繰り返して収束していく前に、
誰かが大きな方向転換をして、パソコンが当たり前になった時代の、
新しい雑誌の形を模索しなければならない。
その使命をまっさきに受けたのが、今のMACPOWERだと思っている
(一応、今では数ヶ月置きに記事を提供するだけの外部の人間なので、一応、外部の人間としての意見として読んでほしい)

そうした考えに共鳴する人も多いのか、最近では、MACPOWERを改めて買い始めたという人の声を耳にすることも少なくない。

Macは技術的にも優れたパソコンだが、その一方で、常に新しいカルチャーをつくっていきたパソコンでもある。
技術の部分への共鳴が強い人は、今のMACPOWERに反発し、
カルチャーの部分への共鳴が強い人は、今のMACPOWERが好き、という印象も受けている。

この間、初めてあった日本在住が長いフランス人(日本語も読めて、好きな本は「徒然草」!)は、「日本のMac事情も知らないとと思って、本屋に行った。一番、きれいだったのでMACPOWERを買った。」と答えていた。
「日本のMac雑誌はとてもきれいだ」と驚いていて、記事の内容にも大変満足していたようだ。

「いわゆるMac雑誌」とはベクトルを異にしてしまったMACPOWERだが、今回の特集は旧MACPOWER愛読者と新MACPOWER読者の接点になり得る記事になるのではと、ちょっと思っている。
次の号からは、また普通のMACPOWERだけれど、それでも次号予告とかを読んでもらえればMACPOWERが、いかに新しいMac雑誌のあり方を真剣に模索し続けているか伺い知ることができる。

久々のブログ記事が宣伝になってしまって申し訳ないが、興味のある人は、
ぜひ手に取って読んで頂ければと思う。

投稿者名 Nobuyuki Hayashi 林信行 投稿日時 2007年02月17日 | Permalink

  • Re: 久々の大仕事


    MACPOWERは方針転換してからの方が好きです!
    年間購読してます。

    投稿者名 iwasaky

  • Re: 久々の大仕事


    MACPOWERの記事、読ませていただきました。

    投稿者名 koji